【感想】『パパイヤ・ママイヤ』乗代雄介|あなたと居る時だけ、素の自分でいられるの

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パパイヤ・ママイヤ|乗代雄介

ケイチャン

ケイチャン

【2022年78冊目】

今回ご紹介する一冊は、

乗代雄介 著

『パパイヤ・ママイヤ』です。

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【感想】「あなたと居る時だけ、素の自分でいられるの」

迷える青春少女小説

人気の無い河口の干潟で、友情を育む2人の少女の物語
滔々と流れゆく川べりで、流木の跨り、おしゃべりに興じる
そんな叙情的なシーンが印象的でした

家族が嫌いなの・・
パパ(父)が嫌いなので、パパイヤ
ママ(母)が嫌いなので、ママイヤ
SNSで出会った2人は、共通の悩みで急速に仲良くなるが
性格はぜんぜん違うのでした

アル中の父親が無理なパパイヤは、バレー部の次期キャプテン候補です
熱心に部活動に打ち込むが、人間関係に疲れてしまう
そんな一般的な女子高生です
スマホを投げ捨ててしまいたい!そんな衝動にかられる

一方のママイヤは特殊で複雑です
自由奔放な芸術家の母のもと、不自由なく育てられるのだが
現在母は恋人の住むベルギーにいて不在
ママイヤは中卒ニートです
恋人を選んだ母が憎い!

「あなたと居る時だけ、素の自分でいられるの」

のどやかな河口の干潟に、流されて、打ち上げられたかのように出会った奇跡
防犯スプレーで咳き込んだり
ボトルに詰めた絵を探したり
ホームレスのおじいちゃんと遊んだり
それは普通では得られない、特別な時間です

わちゃわちゃとじゃれるかのように語られる
ひと夏の2人の少女の姿が愛らしいのです
多感な年ごろにつきものの、意地や体面から
2人でいる時だけ解放される、その喜びが伝わります

そして2人は気が付くのです
片意地を張って、自分を偽るのは辞めよう
2人でいる時のように、普段から生きるのだ!

それぞれが再び自分の生活と向き合うことを決意して
物語は終わります
鮮やかな青春小説でした

作品紹介(出版社より)

わたしたちの、奇跡のような一夏の物語
17歳の夏、SNSで知り合ったパパイヤとママイヤは木更津の小櫃川河口の干潟で待ち合わせをして、初めて会った。アル中の父親が大嫌いなバレーボール部のパパイヤと、芸術家の母親に振り回されて育った、写真が好きなママイヤ。二人は流木が折り重なる”木の墓場”で週に一回会うようになり、心を通わせる。
そして、奇跡のような出会いは、二人の夏を特別なものに変えていく――

「なりたい自分だって気がするんだよね、あんたといる時だけ」

少女たちの儚くも輝かしい一夏を瑞々しい筆致で描く、新時代のガールミーツガール小説。

作品データ

タイトル:『パパイヤ・ママイヤ』
著者:乗代雄介
出版社:小学館
発売日:2022/5/11

作家紹介

乗代 雄介(のりしろ・ゆうすけ)

1986年北海道生まれ、法政大学社会学部メディア社会学科卒業。
2015年「十七八より」で第58回群像新人文学賞受賞。
2018年『本物の読書家』で第40回野間文芸新人賞受賞。
2021年『旅する練習』で第34回三島由紀夫賞受賞。
著書に『十七八より』『本物の読書家』『最高の任務』『旅する練習』『ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ』がある。

乗代 雄介 の作品紹介

『本物の読書家』(2017/11/22)
『最高の任務』(2020/01/11)
『旅する練習』(2021/01/14)
『皆のあらばしり』(2021/12/22)
『十七八より』(2022/01/14)
パパイヤ・ママイヤ』(2022/05/16)

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