【感想】『おまえなんかに会いたくない』乾ルカ|心の傷は、時間がたっても癒えることはない!

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乾ルカ『おまえなんかに会いたくない』

ケイチャン

ケイチャン

今回ご紹介する一冊は、

乾ルカ 
『おまえなんかに会いたくない』です。

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【感想】「心の傷は、時間がたっても癒えることはない!」

思春期と青年期を描く群像現代小説

高校時代をあなたはどう思い出しますか?

懐かしく同窓会があれば出てみたい
そう思うあなたは
きっと今を程よく満足して生活し
高校時代もまあまあ充実していた
そんな幸せな方なのでは

僕はと思い返せば
公立高校に落ち
まさかの滑り止め私学に行くこととなり
どん底なメンタルからスタートの高校生活でした
けどなぜか担任の先生に気に入られ生徒会をしたり
男子校の気軽さから友達も増え
まあまあな高校生活でしたね

さて女子高生が笑顔を振りまく写真と
反比例するような厳しいタイトルが
目を引く本書ですが
表紙のイメージ通りにいじめられっ子の復讐が
ストーリーの縦軸になっています

「心の傷は、時間がたっても癒えることはない!」

身体の傷はそのうち治るが
ココロの傷はそうはいかない
何度も思い出す度に痛み
傷口はぐちゅぐちゅと酷くなる

クラスのカースト
学級の女王、クイーンビーの井ノ口
陽キャのキング、花田
カーストブレイカーでトリックスターの三井
そして・・
空気の読めない異分子、岸本

それぞれの過去と
横軸でコロナ禍の今に苦しみ
過去の自分の行動に葛藤する
大人になった、かつての高校生を
リアルに描いた群像劇です

イジメが悪いと単純な勧善懲悪にならず
それぞれのキャラクターを掘り下げた描写が
登場人物たちを立体的な姿にします
そう、まるで高校時代にクラスにいた
そしていま、周りで一緒に働いている
あのみんなのように・・

ラストで迎えるタイムカプセル開封での対決シーン
成長した登場人物たちが
どう思い動くのか・・深い読後感を得ることでしょう

作品紹介(出版社より)

北海道道立白麗高校・第二十七期卒業生3年6組の元クラスメートたちに、校庭に埋めたタイムカプセルの開封を兼ねて同窓会を開催するはがきが届いた。同窓会SNSも立ち上がり、10年前の高校生活を懐かしみながら盛り上がていく彼ら。しかし、ある日、「岸本李矢という子を覚えていますか」という書き込みが……。爆弾ともいえる書き込みに、ある事実が明らかになっていく。それぞれの思いで苦悩する登場人物たち。新型感染症で変わっていく世界の中、同窓会は近づいていた……。高校時代の「いじめ」に対して、関わった人々の心の移ろいと葛藤を描いたリアルな青春群像劇。

作品データ

タイトル:『おまえなんかに会いたくない』
著者:乾ルカ
出版社:中央公論新社
発売日 : 2021/9/8発売

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