【サイドストーリー】『夢の雫、黄金の鳥籠』篠原千絵|皇帝以外は全て奴隷?そんなこと認めない!

396 views
夢の雫、黄金の鳥籠 1-16巻セット|篠原千絵

ケイチャン

ケイチャン

【関連作品紹介】

今回ご紹介する一冊は、

篠原千絵 著

『夢の雫、黄金の鳥籠』(コミック)です。

PR

【感想】「皇帝以外は全て奴隷?そんなこと認めない!」

オスマン帝国を舞台とした歴史少女漫画

ロシアvsウクライナ戦争の停戦交渉がトルコで行われました
このニュースに関して現在のウクライナ地方の出身で
オスマン帝国最盛期の皇帝スレイマンの皇妃となった
ヒュッレムについて少し話題のなりましたが・・

実はこの話、少女漫画で連載中なんです

それが今回ご紹介する『夢の雫、黄金の鳥籠』です

始めの数巻は知らずに読んでいたのですが
途中で気が付き、ゾクゾクっと背骨に電気が流れました
うおッこれロクサーネの話ぢゃね?
なんて人を題材にとったんだ!と

ロクサーネとは『ロシア人の女』の意味です
ヨーロッパではこちらの通称が有名です
ロクサーネことヒュッレムは現在のウクライナ地方で
奴隷狩りに遭い、売られた先がオスマン帝国宰相イブラヒムでした

ここからは本作の内容になります

イブラヒムに心を惹かれるヒュッレム
しかし彼女の美貌と知性に目を付けたイブラヒムは
ヒュッレムを皇帝スレイマン1世に献上するのでした

大奥編がスタートです
並みいる美女の中、イブラヒムの思惑どおり
皇帝スレイマン1世の寵愛を得るヒュッレム
いびる第一夫人ギュルバハルをものともせず
次々と子供を産むヒュッレム
あなたなど敵ではないわ!

そう、ヒュッレムの敵はギュルバハルごときではないのです
それが・・
『オスマンの兄弟殺し』と
『皇帝は結婚をしない』なのです

「皇帝以外は全て奴隷?そんなこと認めない!」

オスマンの兄弟殺しとは、皇帝に即位した者が
後継者争いを防ぐために、自身の兄弟を殺すという
オスマン帝国の習慣です
身震いする程に恐ろしいことですね!

当時の皇子たちとその母たちは
どのようなメンタルだったのでしょうか?
いずれ殺し合う運命、本物のデスゲーム
これがヒュッレムの息子たちの運命なのです

そしてもう1つが皇帝は結婚しない、これです
オスマンは過去に敵に皇后が奪われ辱めを受けたことがありました
このような屈辱は2度と味わいたくない!
そこでとったオスマンのぶっ飛んだ解決方法
それが皇帝が結婚しなけりゃいいぢゃん、なのです

いつまでたっても身分は奴隷の妾
ヒュッレムはその慣習に立ち向かう決意をする
奴隷のままでは自分も子供も守ることは出来ない
今こそ悪習を打ち破るのだ!

今の日本で言えば女性天皇が誕生するくらいの
大改革に相当するのでしょうか
いずれにせよヒュッレムは
のちに壮麗帝と呼ばれるスレイマンを相手に
そして愛するイブラヒムを敵にまわして
その知性の限りを尽くして立ち向かうのです

ここまでが16巻までのお話

史実では策を弄したヒュッレムが
見事にスレイマンと結婚するのですが
漫画ではどのように展開するか楽しみです

そして僕は千人にも及ぶ美女を思いのままにしてるのに
あえてヒュッレムだけを愛したスレイマンも
素晴らしいと思うのです
てか、スゲーよスレイマン!
なかなか出来ることじゃないぜ

たくさんあるということは、無いと同じこと
スレイマンは、星の王子さまで言う
たった1つのわがままなバラを手に入れたのですね

過酷で極限状態とも言える後宮で生きるヒュッレムを
生き生きと描く篠原千絵の画力もさすがなのです
とくに切ないシーンを描く表情が、見事
数本の線が雄弁に心情を語るのです

いかがでしょうか?
皆さん興味を持っていただけましたか?
少女漫画なんて・・と思う男性の方
少女漫画を読まないなんて
漫画の世界を半分損していますよ
ぜひ読んでみてください

作品紹介(出版社より)

巨匠・篠原千絵の描く本格ロマン・サーガ!

16世紀初頭、北の寒村・ルテニアからさらわれた
少女・アレクサンドラ。
遠く海を越え、奴隷として売られることになった少女が出逢ったのは
ギリシャの商人を名乗るマテウスという青年。
マテウスに買われ、彼の屋敷に連れていかれたアレクサンドラ。
そして、彼女が彼によって教育を施されて
向かった先は大帝国・オスマントルコの中枢、イスタンブル。
「ヒュッレム」という名を与えられた彼女が”献上”されたのは、
オスマントルコ皇帝・スレイマン1世だった—。

「闇のパープル・アイ」「天は赤い河のほとり」の
巨匠・篠原千絵が描く、本格ロマンサーガ、遂に始動!!

作品データ

タイトル:『夢の雫、黄金の鳥籠』1~16巻
著者:篠原千絵
出版社:小学館
発売日:2011/9/9~2021/12/10

1~16巻セットはこちら↓

作家紹介

篠原 千絵(しのはら・ちえ)

漫画家。神奈川県出身。2月15日生まれ。文星芸術大学非常勤講師。
1981年「紅い伝説」でデビュー
代表作『闇のパープル・アイ』で第32回小学館漫画賞を受賞。
『天は赤い河のほとり』で第46回小学館漫画賞を受賞。
他の作品「海の闇、月の影」」「陵子の心霊事件簿」などがある。
ファンタジー、ミステリーなど幅広いジャンルで大活躍。

篠原 千絵の作品紹介

『天は赤い河のほとり』1~28巻
夢の雫、黄金の鳥籠』1~16巻
『海の闇、月の影』 1~18巻
『闇のパープル・アイ』 1~12巻
『蒼の封印』 1~11巻
『水に棲む花』 1~5巻
『霧の森ホテル』 1~2巻
『3人目が消えた』
『目撃者にさようなら』
『陵子の心霊事件簿』1~4巻
『訪問者は真夜中に…』
『逃亡急行』
『海に墜ちるツバメ』
『なにかが闇で見ている』
『そして5回の鈴が鳴る』
『刻だまりの姫』1~2巻
『篠原千絵the best selection』1~2巻
『凍った夏の日』

関連記事