【本の感想】『ダークネス』桐野夏生|母親は弱くて、強いんだ

【2025年110冊目】
今回ご紹介する一冊は、
桐野夏生著
『ダークネス』です。
【感想】「母親は弱くて、強いんだ」
母は人と関わるなと僕を育てた
そして父を知る過程で、僕は
災厄を呼び寄せたんだ・・
前作『ダーク』から23年ぶりの
村野ミロ・シリーズ最新作です

20年ぶりの続編ということで
前作の内容を完全に忘れてました
ミロの息子のハルオが主人公の
前半沖縄編はまだいいが
ミロのパートである後半は
人間関係が複雑化するので
前作の読み返しをお勧めします
沖縄でバーを経営するミロ
その息子であるハルオは
医大生となり日々勉強と
バイトに精を出している
子ども時代が終わり、世界が広がる
母だけを信じてた時は終わった
出生の謎に悶々とする、ハルオ

父は誰なんだ?
そして母も、何者なのだろう?
仇敵に見つからぬよう
息をひそめて暮らしていた2人だが
ついに過去が追いつき安寧は終わる
そう、試練の時がやってきたんだ・・
そんな万能感で仇敵の
山岸に近づくハルオくん
やめときなよ!
危ないよ!
お母さんの言うことを
聞いておいたほうがいいよ
と、忠告したくなる
いっぽう母のミロさん
守る者が増えてしまった
息子のハルオの
夫のジンホの
愛する者を救う計画が
全てご破算になるようすが
悲しい
しかし母は、強かった
全ての因果を清算するため
徒手空拳で仇敵と相対する
ミロのラストシーンに震えます!
かたき討ちという運命に翻弄される
母と息子のサバイバルを描く本作

桐野夏生のダークサイドが全開する
息をつかせないノワール小説でした<

暗いものって魅力的ですよね!
そんなダークな雰囲気をまとう人にあなたも惹かれることがありませんか?
作品紹介(出版社より)
“私の愛した男たちは皆行ってしまった。私の魂を受け止めてくれる相手はもうどこにもいない──衝撃作『ダーク』から20年、村野ミロは生きていた。そして息子のハルオは「悪」を知る旅に出るが……。息子を守るため、凍る火の玉、ミロの最後の闘いが始まる。圧倒的迫力で描く、著者渾身のエンタテインメントの結末は。
作品データ
タイトル:『ダークネス』
著者:桐野夏生
出版社:新潮社
発売日:2025/7/30
※前作はこちら↓
タイトル:『ダーク 上』※文庫
著者:桐野夏生
出版社:講談社
発売日:2006/4/14
タイトル:『ダーク 下』※文庫
著者:桐野夏生
出版社:講談社
発売日:2006/4/14
作家紹介
桐野夏生(きりの・なつお)
1951年金沢市生まれ。
1993年「顔に降りかかる雨」で江戸川乱歩賞受賞。
1998年『OUT』で日本推理作家協会賞受賞。
1999年『柔らかな頬』で直木賞受賞。
2003年『グロテスク』で泉鏡花文学賞受賞。
2004年『残虐記』で柴田錬三郎賞受賞。
2005年『魂萌え!』で婦人公論文芸賞受賞。
2008年『東京島』で谷崎潤一郎賞受賞。
2009年『女神記』で紫式部文学賞受賞。
2010年、2011年『ナニカアル』で島清恋愛文学賞と読売文学賞の二賞を受賞。
2015年には紫綬褒章を受章。
2021年には早稲田大学坪内逍遥大賞を受賞。
『バラカ』『日没』『インドラネット』『砂に埋もれる犬』など著書多数。
桐野夏生の作品
『 熱い水のような砂 』 (1986年2月)
『 真昼のレイン 』 (1986年7月)
『 顔に降りかかる雨– ミロシリーズ1 』 (1993年9月)
『 天使に見捨てられた夜– ミロシリーズ2 』(1994年6月)
『 ファイアボール・ブルース 』(1995年1月)
『 OUT 』(1997年7月)
『 錆びる心 』(短編集)(1997年11月)
『 水の眠り 灰の夢– ミロシリーズ3 』(1998年10月)
『 ジオラマ 』(短編集)(1998年11月)
『 柔らかな頬 』(1999年4月)
『 ローズガーデン– ミロシリーズ4 』(短編集)(2000年6月)
『 光源 』 (2000年9月)
『 玉蘭 』 (2001年3月)
『 ファイアボール・ブルース2 』(短編集)(2001年8月)
『 ダーク– ミロシリーズ5 』(2002年10月)
『 リアルワールド 』(2003年2月)
『 グロテスク 』(2003年6月)
『 残虐記 』(2004年2月)
『 I’m sorry, mama. 』(2004年11月)
『 魂萌え! 』(2005年4月)
『 冒険の国 』(2005年10月)
『 アンボス・ムンドス– ふたつの世界 』(短編集)(2005年10月)
『 メタボラ 』(2007年5月)
『 はじめての文学 』(2007年8月)
『 東京島 』(2008年5月)
『 女神記 』(2008年11月)
『 IN 』(2009年5月)
『 ナニカアル 』(2010年2月)
『 優しいおとな 』(2010年9月)
『 ポリティコン 』(2011年2月)
『 緑の毒 』(2011年8月)
『 ハピネス 』(2013年2月)
『 だから荒野 』(2013年10月)
『 夜また夜の深い夜 』(2014年10月)
『 奴隷小説 』(短編集)(2015年1月)
『 抱く女 』(2015年6月)
『 バラカ 』(2016年2月)
『 猿の見る夢 』(2016年8月)
『 夜の谷を行く 』(2017年3月)
『 デンジャラス 』(2017年6月)
『 路上のX 』(2018年2月)
『 ロンリネス 』(2018年6月)
『 とめどなく囁く 』(2019年3月)
『 日没 』(2020年9月)
『 インドラネット 』(2021年5月)
『 砂に埋もれる犬 』(2021年10月)
『燕は戻ってこない』(2022年3月)
『真珠とダイヤモンド上』(2023年2月)
『真珠とダイヤモンド下』(2023年2月)
『もっと悪い妻』 (20233年6月)
『オパールの炎』2024/6/7
『ダークネス』2025/7/30

