【本の感想】『私たちが轢かなかった鹿』井上荒野|人の心の中はグチャグチャ笑

【2025年93冊目】
今回ご紹介する一冊は、
井上荒野 著
『私たちが轢かなかった鹿』です。
【感想】「人の心の中はグチャグチャ笑」
同じ出来事を(ドロドロの恋愛とか)
2人の当事者がそれぞれの視点で語る
実験的な短編集です
①『私たちが轢かなかった鹿』
表題作、息子の恋人が親友だったとゆー
ド気まずいシチュエーションに
ゾワゾワ&ドン引きでした
②不幸の****
荒野版『家政婦は見た』笑
グチャグチャな展開に
不協和音が止みません
③犬の名前
夫にガンが見つかった!
夫婦の危機で気が付く
ホントの気持ちが、怖い
④つまらない掛け時計
娘の家出の理由とは?
まるで先の読めない展開が
荒野作品らしい
⑤小説みたいなことは起こらない
大雪に閉じ込められた3人のお話
スティーブンキング的な静かな
狂気に震えちゃいます
この頃なかなかのハイペースで
作品を刊行している井上荒野さん

どれも面白い!
今、乗りに乗っているようです笑
登場人物たちが自由奔放に動き
まったく展開が読めないのが
荒野作品の魅力です
本作も登場人物たちに翻弄されます

またその登場人物たちのドロドロのグチャグチャでカオスな
心の動きを余すところなく描くのがスゴイ!

同じ出来事を2人の視点で描く試みも面白く
泥臭い人間らしさが増しているようでした
ステレオタイプな人間など
1人もいない!

誰もが心に別々の宇宙を持つ唯一無二の存在なんです

あなたの宇宙はどんな世界ですか?
作品紹介(出版社より)
開けたら最後。劇薬短編5話
彼女は私の親友で、私の男の母親……「私たちが轢かなかった鹿」
身ごもりたい女と、身ごもることを許されなかった女……「不幸の****」
不治の病を宣告された夫の心配と妻の気遣いの掛け違い……「犬の名前」
頭かペニスか――家出した娘と愛人との間で揺れる男の天秤……「つまらない掛け時計」
大雪の日、老作家と元担当兼愛人が住む古民家へ迷い人が……「小説みたいなことは起こらない」目次
私たちが轢かなかった鹿
不幸の****
犬の名前
つまらない掛け時計
小説みたいなことは起こらない
作品データ
タイトル:『私たちが轢かなかった鹿』
著者:井上荒野
出版社:U-NEXT
発売日:2025/6/20
作家紹介
井上荒野(いのうえ・あれの)
1961年東京生まれ。成蹊大学文学部卒。
1989年『 わたしのヌレエフ 』で第1回フェミナ賞を受賞。
2004年『潤一』で第11回島清恋愛文学賞を受賞。
2008年『切羽へ』で第139回直木賞を受賞。
2011年『そこへ行くな』で第6回中央公論文芸賞を受賞。
2016年『赤へ』で第29回柴田錬三郎賞を受賞。
2018年『その話は今日はやめておきましょう』で第35回織田作之助賞を受賞。
その他、『あちらにいる鬼』『生皮 あるセクシャルハラスメントの光景』『小説家の一日』『照子と瑠衣』など著書多数。
井上荒野 の作品
『グラジオラスの耳』 1991/05/01
『もう切るわ』 2001/10/01
『ひどい感じ―父・井上光晴』 2002/08/01
『ヌルイコイ』 2002/10/01
『潤一』 2003/11/01
『森のなかのママ』 2004/03/26
『だりや荘』 2004/07/22
『しかたのない水』 2005/01/26
『誰よりも美しい妻』 2005/12/15
『不恰好な朝の馬』 2006/10/31
『学園のパーシモン』 2007/01/01
『ズームーデイズ』 2007/07/01
『ベーコン』 2007/10/26
『夜を着る』 2008/02/18
『切羽へ』 2008/05/01
『あなたの獣』 2008/11/29
『雉猫心中』 2009/01/22
『静子の日常』 2009/07/01
『女ともだち』 2010/03/18
『つやのよる』 2010/04/01
『もう二度と食べたくないあまいもの』 2010/04/10
『チーズと塩と豆と』 2010/10/05
『ベッドの下のNADA』 2010/12/09
『ハニーズと八つの秘めごと』 2011/02/25
『そこへ行くな』 2011/06/24
『キャベツ炒めに捧ぐ』 2011/09/01
『だれかの木琴』 2011/12/09
『結婚』 2012/03/27
『夜をぶっとばせ』 2012/05/18
『さようなら、猫』 2012/09/15
『それを愛とまちがえるから』 2013/01/24
『あなたにだけわかること』 2013/05/24
『ほろびぬ姫』2013/10/31
『夢のなかの魚屋の地図』 2013/12/21
『虫娘』 2014/08/27
『悪い恋人』 2014/12/05
『ママがやった』 2016/01/16
『赤へ』 2016/06/14
『綴られる愛人』 2016/10/05
『あなたならどうする』 2017/06/16
『その話は今日はやめておきましょう』 2018/05/18
『あちらにいる鬼』 2019/02/07
『あたしたち、海へ』 2019/11/27
『そこにはいない男たちについて』 2020/07/15
『ママナラナイ』 2020/10/14
『百合中毒』 2021/04/26
『生皮 あるセクシャルハラスメントの光景』 2022/04/07
『小説家の一日』 2022/10/13
『荒野の胃袋』 2022/10/20
『僕の女を探しているんだ』 2023/02/20
『錠剤F』2024/1/10
『猛獣ども』2024/8/7
『だめになった僕』2024/10/16
『しずかなパレード』2025/2/19
『私たちが轢かなかった鹿』2025/6/20

