【本の感想】『こまどりたちが歌うなら』寺地はるな|か弱い私たちを認めてあげてください

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こまどりたちが歌うなら|寺地はるな

ケイチャン

ケイチャン

【2024年81冊目】

今回ご紹介する一冊は、

寺地はるな 著

『こまどりたちが歌うなら』です。

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【感想】「か弱い私たちを認めてあげてください」

お仕事小説

はとこの会社に入ったら
そこはザ昭和!の感性が残る
ハラスメントのオンパレードだった?
弱い僕らの、働き方問題の物語です

ケイチャン

ケイチャン

大丈夫ですか?と聞かれて
ダメです、と言えますか?

学校や職場で
イジメやハラスメントを見た時に
あなたならどうしますか?
すぐに救いの手を差し伸べる・・
理想だけど、難しいですよね!

見て見ぬふりは、同罪である

前職を不本意な形で辞めた
茉子(まこ)さん
従兄弟の伸悟くんからお願いされて
彼が社長を務める製菓会社に入社します

けッ、コネ入社かよッ!

いきなりくらう、社員の反感
同僚のパートおばさんは冷たいし
営業のおっちゃんはパワハラだし
店長は説明なしで接客させるし・・

なんなんだ?この会社は!

けれど一番気になるのは
なんにも言わない&言えない
社長の伸悟くんです
・・伸悟くん、なんとか言ってよ!

けれどモヤモヤしたままでは
いられないのが茉子さんの性格です
前職での後悔が忘れられない
同じ失敗をしちゃいけないんだ

おかしいとこだらけの
昭和の会社を変革せよ!
ひとり奮闘する茉子さんだが
問題続発、社長の伸悟も倒れてしまう

ケイチャン

ケイチャン

この働き方改革は
成功するのでしょうか?

「か弱い私たちを認めてあげてください」

悪のハラスメント会社というのが
当初のイメージでしたが
やがて茉子さんは気が付く
悪気があってやっているんじゃないと

冷たいパートのおばちゃんは
生活のために保身している

パワハラおやじは
他に部下への接し方を知らないだけ

いきなり実地で仕事させる店長は
説明が苦手なだけ

みんな弱い人間なんです

キミは残酷(なまでに強いん)だ
過労で倒れた社長の伸悟にそう言われ
誰もが自分のようにはっきりと
もの申せないことに茉子さんは
やっと気が付くのです

けど、それじゃ、やっぱり
私が言うべきなんだ!

そう思い直して声を上げる
茉子さんの姿がたくましい
リーダーは、こうあるべきですね

嫌なヤツは
弱いヤツだった
気付きが世界の見方を変える
お仕事小説でした

ケイチャン

ケイチャン

寺地はるなは本当に
弱い人間の描き方が上手い
誰しも欠点があり仕方ないことなんだと
許しをもらるようです

ケイチャン

ケイチャン

この本を読み終えたら
あなたも同僚の欠点と
自分の欠点を
許してあげたくなるはず・・

作品紹介(出版社より)

前職の人間関係や職場環境に疲れ果て退職した茉子は、親戚の伸吾が社長を務める小さな製菓会社「吉成製菓」に転職する。
父の跡を継いで社長に就任した頼りない伸吾、誰よりも業務を知っているのに訳あってパートとして働く亀田さん。やたらと声が大きく態度も大きい江島さん、その部下でいつも怒られてばかりの正置さん、畑違いの有名企業から転職してきた千葉さん……。
それぞれの人生を歩んできた面々と働き始めた茉子は、サービス残業や女性スタッフによるお茶くみなど、会社の中の「見えないルール」が見過ごせず、声をあげていくが――。
一人一人違う”私たち”が関わり合い、働いて、生きていくことのかけがえのなさが胸に響く感動長編!

作品データ

タイトル:『こまどりたちが歌うなら』
著者:寺地はるな
出版社:集英社
発売日:2024/3/26

作家紹介

寺地はるな(てらち・はるな)

1977年佐賀県生まれ。 大阪府在住。
2014年『ビオレタ』で第4回ポプラ社小説新人賞を受賞しデビュー。
他の著書に『わたしの良い子』、『大人は泣かないと思っていた』、『正しい愛と理想の息子』、『夜が暗いとはかぎらない』、『架空の犬と嘘をつく猫』などがある。

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寺地はるなの作品紹介

『ビオレタ』(2017年1月)
『今日のハチミツ、あしたの私』(2017年3月)
『みちづれはいても、ひとり』(2017年10月)
『架空の犬と嘘をつく猫』(2017年12月)
『大人は泣かないと思っていた』(2018年7月)
『正しい愛と理想の息子』(2018年11月)
『夜が暗いとはかぎらない』(2019年4月)
『わたしの良い子』(2019年9月)
『希望のゆくえ』(2020年3月)
『水を縫う』(2020年5月)
『やわらかい砂のうえ』(2020年7月)
『彼女が天使でなくなる日』(2020年9月)
『どうしてわたしはあの子じゃないの』(2020年11月)
『ほたるいしマジカルランド』(2021年2月)
『声の在りか』(2021年5月)
『雨夜の星たち』(2021年6月)
ガラスの海を渡る舟』(2021年9月)
タイムマシンに乗れないぼくたち』(2022年2月)
カレーの時間』(2022年6月)
川のほとりに立つ者は』(2022年10月)
白ゆき紅ばら』(2023年2月)
わたしたちに翼はいらない』2023/8/18
こまどりたちが歌うなら』2024/3/26

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