ケイチャン
【2023年164冊目】
今回ご紹介する一冊は、
李琴峰 著
『肉を脱ぐ』です。
もくじ
【感想】「カラダ以上に不自由な、ココロ」
この冴えない女のカラダが
要らないんだ!
理想と現実のギャップに悩む
不自由なココロの物語です
肉体から逃れたい・・
皆さんは自分のカラダを
気に入っていますか?
僕は身長も容姿も平均を下回っていて
平均を上回るのが腹回りと血圧だけ
あ~ヤダヤダ、やってられないや笑
大手化粧品メーカーに勤める
20代女子の私が主人公
人事労務を担当しそつなく働いているが
実は裏のカオがあったのです
それは新人作家
柳佳夜(やなぎ かよ)としての姿です
作家として成功して
世界に認められたい!
日々エゴサーチしています
そんな私には2人の
意識せざるを得ない人がいる
もっとも芥川賞に近い
新進気鋭の作家である親友と
そして人気急上昇中の
VTuber柳佳夜でした
↑あれ?同じ名前だー!
もっとも近い友人と
同じ名前のVTuberが
そろって成功を収めつつあるのに
・・どうして私は認められないのッ!
頭でっかちで自分ファーストな、私
経験が足りないんだから
面白い作品が書けるわけない
面白そうと思ったら
ハプニングバーとかで
ばんばんヤっちゃう放埓な親友との差が
作品の評価の差として出る
いっぽうで当初は売れる訳ないと
思っていた、同名のVTuber柳佳夜
まさかのブレイクに心中穏やかにいられない
私の方が先に名乗っていたんだから
文句言ってやらないと!
かくして私は
VTuber柳佳夜の自宅に
突撃するという
暴挙に出るのでした
・・2人が出会ったとき、どうなる?
他人を大切に出来ない、私
自分の身体を嫌いな、私
その報いが自分に跳ね返ってくるような
破壊的なエンディングが印象的でした
私が切り捨ててきた
トランスジェンダーの同僚や
パワハラで退職した後輩が
新しい居場所へと旅立ってゆくところが
私への罰のように感じました
私には何が足らなかったのだろうか?
カラダ以上に
思うにならないココロに
縛り付けられている私が
自分を映す鏡のようでした
他人と比べてみたって
自分が変われる訳はない
ネットでエゴサするよりも
自分の心を探るほうが
大切ですよね
家に帰ったら
お風呂に入ってストレッチして
このみみっちい自分を労わってやろう
ついでに妻の肩も揉んでやろう
そんな反面教師的な思いになりました
皆さんは自分の
カラダとココロを
労わっていますか?
作品紹介(出版社より)
新人作家の柳佳夜がある日エゴサーチすると同姓同名のVTuberがヒットした。なりすまし? その意図は? その正体を暴くべく奔走する柳が見たものは――
作品データ
タイトル:『肉を脱ぐ』
著者:李琴峰
出版社:筑摩書房
発売日:2023/11/1
作家紹介
李琴峰 (り・ことみ)
日中二言語作家、日中翻訳者、通訳者。
1989年台湾生まれ。
2013年来日。
2017年初めて第二言語である日本語で書いた小説『独り舞』にて第60回群像新人文学賞優秀作を受賞。
2019年小説『五つ数えれば三日月が』で、第161回芥川龍之介賞、第41回野間文芸新人賞候補に。
2021年小説『ポラリスが降り注ぐ夜』で、第71回芸術選奨新人賞を受賞。
2021年小説『彼岸花が咲く島』で第34回三島由紀夫賞候補、第165回芥川龍之介賞受賞。
李琴峰の作品紹介
『五つ数えれば三日月が』(2019/7/31)
『独り舞』(2018/3/29)
『星月夜』(2020/7/15)
『ポラリスが降り注ぐ夜』(2020/2/28)
『彼岸花が咲く島』(2021/6/25)
『生を祝う』(2021/12/7)
『肉を脱ぐ』(2023/11/1)