ミステリー

【本の感想】『失われた貌』櫻田智也|正義では誰も幸せになれない

櫻田智也『失われた貌』|ケイチャンブックス
ケイチャン(サカキ ケイ)

【2026年7冊目】

今回ご紹介する一冊は、

櫻田智也 著

『失われた貌』です。

【感想】「正義では誰も幸せになれない」

ミステリー

丁寧に身元を消された男は
誰なのか?
非情に真相を追い求める
刑事の葛藤を描く物語です

真実は全員を不幸にする

顔を潰され、歯を抜かれ
手を切られた遺体が見つかる
身元不明にする執念を感じる
怖い死体です

ところがあっさり誰かわかる

遺体は逮捕歴のある
不良探偵だった
複数の者を恐喝していた
みんなに恨まれる男です

容疑者は過去の依頼者か?
日野刑事は、顔のない男を
丁寧な捜査で追い詰めてゆくが
真相は彼自身をも追い詰めるんだ

「正義では誰も幸せになれない」

殺された不良探偵の捜査過程で
平行していくつかの関係ないと
思われる出来事が進んで行く
1本の太い線に絡む細い糸たち

しかし物語が進むうちに
細い糸は太い線に絡まり
最後に1つの線となります
バラバラのピースが描く

不幸の物語が、しんどい

事実は全員を不幸にする!

不幸な真実を晒すのが
正しい正義というものなのか?
日野刑事が葛藤の末に選ぶ結論に
僕は「それでいいの?」と
感情を揺さぶられました

本作を特徴づけるのが
同じような事象が
繰り返すことが上げられます
顔のない死体や
人を不幸にする正義のことですが
その度に考えさせられてしまいます

また登場人物たちが良かれと思って
したことが結果的にドツボにはまる
結末に無情感を覚えてしまいます
・・ああ、なんて無情な・・

犯人を非情に追い詰めるジャベール刑事を思わす
日野刑事の心の葛藤が深く印象的でした

見事な伏線回収と思わず唸るどんでん返し

登場人物たちの感情が迫る
渾身のミステリー作品

あなたが刑事ならば
どんな正義を
選択しましたか?

作品紹介(出版社より)

山奥で、顔を潰され、歯を抜かれ、手首から先を切り落とされた死体が発見された。事件報道後、警察署に小学生が訪れ、死体は「自分のお父さんかもしれない」と言う。彼の父親は十年前に失踪し、失踪宣告を受けていた。無関係に見えた出来事が絡み合い、現在と過去を飲み込んで、事件は思いがけない方向へ膨らみ始める。

作品データ

タイトル:『失われた貌』
著者:櫻田智也
出版社:新潮社
発売日:2025/8/20

作家紹介

櫻田智也(さくらだ・ともや)



1977年生まれ。北海道出身。
2013年、昆虫好きの青年・エリ沢泉を主人公とした「サーチライトと誘蛾灯」で第10回ミステリーズ!新人賞を受賞しデビュー。
2017年に、受賞作を表題作とした連作短編集が刊行された。
2021年には、エリ沢泉シリーズの2冊目『蝉かえる』で、第74回日本推理作家協会賞と第21回本格ミステリ大賞をW受賞。
他著に、『六色の蛹』がある。『失われた貌』は、初の長編となる。

櫻田智也の作品紹介

『サーチライトと誘蛾灯』2017/11/13
『蝉かえる』2020/7/13
『六色の蛹』2024/5/31
失われた貌』2025/8/20

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ケイチャン
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サラリーマン読書家
年間150冊以上の本(主に小説)を読む、名古屋で働くサラリーマン【ケイチャン】です。食べることが大好きな僕が撮影している「本のある日常風景」と共に、本の紹介と感想のブログをお楽しみください!オススメの本は?この本気になるけど面白い?…など、読む本に迷った方への参考になれば幸いです。好きな言葉は「花には水を、人には愛を!」【ケイチャンブックス】よろしくお願いします!一緒に読書を楽しみましょう!!
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