ケイチャン
【2025年43冊目】
今回ご紹介する一冊は、
シルヴィア・プラス 著
『ベル・ジャー（I am I am I am）』です。
もくじ
【感想】「間違った世界で、賢くあるのは罪なのか」
煌めくようなニューヨークで
成功を約束されていたはずなのに
・・わたしは何を間違ったの？
伝説の詩人が残した長編小説です
19歳のエスターは未来を確信していた
ファッション誌に選ばれてニューヨークへ
毎日がパーティーな、パリピ生活です
・・でも私には合っていないかも？
ゴージャスな日々を過ごすが
だが違和感をおぼえます
空虚で退廃的なパーティーになじめず
男性ともうまく付き合えません
ケイチャン
・・だってローゼンバーグ夫妻は
電気椅子で処刑されたんだよ！！
時代は米ソ冷戦の最中
スパイ容疑で逮捕された
ローゼンバーグ夫妻は
電気椅子で死刑執行される
そう、世界に逆らった者は
電気ショックで罰せられるんだ
ガラス容器（ベル・ジャー）に
世界が覆われているような
閉塞感が漂う時代です
才気あふれ反骨心に富む女性には
生きづらい世界
ニューヨークから地元の田舎に
帰ってきたエスターですが
希望していた履修の選ばれず
大きな挫折を味わいます
心を病み精神病院に入院するエスターは
治療として電気ショックをされます
泣き叫び慟哭するエスター
・・わたしは世界に罰せられているの？
ケイチャン
エスターは再び前を向くことが
出来るのでしょうか・・
前半のパリピなニューヨーク生活と
中盤からの精神病院でのしんどい日々の
落差が激し過ぎて感情が追いつきません
１度の挫折で、こーなっちゃうのか？
たしかに賢い人には
このごちゃごちゃした世界は
生きづらいことでしょう
エスターの敏感過ぎる感性が
痛々しい
優秀な大学を卒業したのに
結婚して求められるのは
出産と育児です
女性の社会的キャリアはここで
終わってしまうのが当然なのか？
物語の終盤でエスターは
処女であることを止めます
でも救済は訪れなかった
逆にとんでもない失望を味わう
ケイチャン
絶望的な気分で迎えるエンディングに
世界がハレーションした心持になりました
救いは、無かった・・と
抑圧された世界で苦悩する
賢過ぎる女性の物語
ケイチャン
世界各国で共感を覚える
本書の人気がわかりました
ケイチャン
あとがきに記された
作者の人生も凄まじく衝撃でした
賢さや感性の鋭さが人生に幸福を
もたらすとは限らないんですね
作品紹介（出版社より）
わたしはぜんぶ覚えている。あの痛みも、暗闇も――。
ピュリツァ―賞受賞の天才詩人が書き残した伝説的長編小説、20年ぶりの新訳。優秀な大学生のエスター・グリーンウッドはニューヨークのファッション誌でのインターンを勝ち取ったとき、
夢がついに叶うと信じて喜んだ。しかし、退屈なパーティー、偽善的に感じられる恋人、
空虚なだけのニューヨークでの生活に違和感を覚え、世界が支離滅裂なものに感じられる。
そして、とあることをきっかけに精神のバランスが徐々に崩れていく。世の中は欺瞞だらけだと感じる人、かつてそう思ったことがある人たちに刺さりつづける、
英米だけで430万部を売り上げた世界的ベストセラー、待望の新訳。
海外文学シリーズ「I am I am I am」、第一弾！
作品データ
タイトル：『ベル・ジャー ( I am I am I am) 』
著者：シルヴィア・プラス
出版社：晶文社
発売日：2024/7/25
作家紹介
シルヴィア・プラス
1932‐1963年。ボストン生まれ。詩人、作家。８歳から詩を、９歳から物語を書き始め、１０代から作品が雑誌に掲載される。
1955年にスミス・カレッジを卒業後、フルブライト奨学金でケンブリッジ大学へ留学。
1960年に詩集『Ｔｈｅ Ｃｏｌｏｓｓｕｓ』を出版。
1963年、唯一の長編小説である『ベル・ジャー』を別名のもと出版。同年、自ら命を絶つ。
1982年、詩集『Ｔｈｅ Ｃｏｌｌｅｃｔｅｄ Ｐｏｅｍｓ』でピュリツァー賞を受賞。
本書『ベル・ジャー』は英米だけで４３０万部以上を売り上げた世界的ベストセラーであり、現在も多くの読者の心を掴んでいる
シルヴィア・プラスの作品紹介
『ベル・ジャー』1963
『Ｔｈｅ Ｃｏｌｌｅｃｔｅｄ Ｐｏｅｍｓ』2016/7/14
『ベル・ジャー （ I am I am I am）』2024/7/25