現代

【本の感想】『セルフィの死』本谷有希子|SNSの無い世界にはもう、戻れない

本谷有希子『セルフィの死』とクリームソーダ
ケイチャン(サカキ ケイ)

【2025年18冊目】

今回ご紹介する一冊は、

本谷有希子 著

『セルフィの死』です。

【感想】「SNSの無い世界にはもう、戻れない」

現代小説

父は自意識、母は承認欲求
そんな私は自撮りの娘
現実とSNSの境界線が
溶けた世界の物語です

フォロワー数がその人の価値なのか?

双子コーデでホイップ盛り盛りな
パンケーキと自撮りする女の子たち
周りの人のことは気にしませんが
SNSのフォロワー数は
めっちゃ気になります

フォロワー数イコール私の価値

ほとんど奇行と言える自撮りや
他者の迷惑行為を晒す投稿を繰り返すけど
でもホントはちょっと気がついているんだ
そんなの意味ないってことに

でもSNSを辞めることは出来ないんだ

「SNSの無い世界にはもう、戻れない」

かなり問題のある主人公のミクルちゃん
当初は好きになれるか心配しましたが
店員さんにマウントをとることでしか
コミュニケーションをとれない様子が
悲しくって、おかしくって
ちょっと好きになれました

不器用過ぎで、共感できる

そんな問題あるミクルちゃんが
さらに問題ある相棒のソラちゃんと
自撮りにいそしむ格好で
物語は進みます

大食い投稿で、バズる!

待望のバズ!でフォロワー数が爆上げ
これで私は幸せになれる・・なんて
あるわけない

SNSの先にゴールが見えず暗闇を覗くようでした

ラストシーンで描かれる究極の自撮りの先に見る光景が
自意識も承認欲求もない世界への新生を望むようでした

でももうSNSの無い世界に
戻ることなんて出来ません

迷子になったような心持になる読了感でした

あなたはSNSと適切な距離感で付き合っていますか?

作品紹介(出版社より)

フォロワー獲得に死力を尽くすミクルは思う。「何故この世界は自分にフォロワーが増えないように作られているのだろう」。自撮りを繰り返すとイソギンチャクになる顔面。オート化された無人回転寿司。まさかのフォロワー爆増――狂った現象が次々とミクルを襲う、地獄展開に抱腹絶倒、気分は爽快。約十年ぶり、待望の長編!

作品データ

タイトル:『セルフィの死』
著者:本谷有希子
出版社:新潮社
発売日:2024/12/18

作家紹介

本谷有希子(もとや・ゆきこ)


1979年、石川県生れ。
2000年「劇団、本谷有希子」を旗揚げし、主宰として作・演出を手がける。
主な戯曲に『遭難、』(第10回鶴屋南北戯曲賞)、『幸せ最高ありがとうマジで!』(第53回岸田國士戯曲賞)などがある。
2002年より小説家としても活動。
2011年『ぬるい毒』で野間文芸新人賞受賞。
2013年『嵐のピクニック』で大江健三郎賞受賞。
2014年『自分を好きになる方法』で三島賞受賞。
2016年『異類婚姻譚』で芥川賞を受賞。
『セルフィの死』

本谷有希子の作品紹介

『遭難、』2007/5/16
『ほんたにちゃん』2008/3/20
『グ、ア、ム』2008/6/1
『偏路』2008/9/1
『幸せ最高ありがとうマジで!』2009/3/27
『あの子の考えることは変』2009/7/30
『来来来来来』2010/6/29
『ぬるい毒』2011/6/1
『嵐のピクニック』2012/6/1
『自分を好きになる方法』2013/7/26
『異類婚姻譚』2016/1/21
『静かに、ねぇ、静かに』 2018/8/23
『あなたにオススメの』2021/6/30
セルフィの死』2024/12/18

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ケイチャン
ケイチャン
サラリーマン読書家
年間150冊以上の本(主に小説)を読む、名古屋で働くサラリーマン【ケイチャン】です。食べることが大好きな僕が撮影している「本のある日常風景」と共に、本の紹介と感想のブログをお楽しみください!オススメの本は?この本気になるけど面白い?…など、読む本に迷った方への参考になれば幸いです。好きな言葉は「花には水を、人には愛を!」【ケイチャンブックス】よろしくお願いします!一緒に読書を楽しみましょう!!
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