【本の感想】『不等辺五角形』貫井徳郎|友情のあり方は、人それぞれ

【2025年122冊目】
今回ご紹介する一冊は、
貫井徳郎 著
『不等辺五角形』です。
【感想】「友情のあり方は、人それぞれ」
友だちを殺したのは
友だちだった
そのことを他の友だちは
どう感じているのだろう?
5人の男女の『友だち思い』の物語です
人の関係は、等しくない
海辺に建つ豪奢な別荘
そこに集うのは5人の男女です
クアラルンプールのインターナショナル
スクールの同級生で幼なじみの関係です
楽しかった同窓会の夜のこと
雛乃(ひなの)が死んでるの
そう告げる梨愛(りあ)は続けて
私が殺したの・・と、言うではないか
さて残された3人は、悩みます
梨愛が雛乃を殺す理由がわからない
物語は冒頭から、担当弁護士が
この3人にインタビューする形式で進みます
いったいこの5人の友だちに
何があったのでしょうか・・
残された3人の友だちが
この事件と他の友だちについて
それぞれの立場から
別々の異なる意見を述べます

本作のような手法を『羅生門形式』と言うようです
さて3人が語る
他の友だちの姿は
1人の人間とは思えない
別者でした
多層的な構造に深く物語にのめり込めます
そして最後にいよいよ
犯人である梨愛が語る
真実は
他の3人の予想を
ことごとく覆すものでした

あなたの推理は当たるかな?
ミステリー要素よりも
心理劇的展開が勝つ本作
三者三様に語る、友だちの姿
それは複雑に形を変える

他者を把握し理解する難しさを僕に突き付けました

あなたは友だちの本当の姿が見えていますか?
作品紹介(出版社より)
避暑地の別荘で、事件は起こった。三十歳を間近に控え、久しぶりに顔を揃えた五人の男女。インターナショナルスクールで出会って以来二十年以上の付き合いになる重成、聡也、梨愛、夏澄、雛乃は、海外赴任が決まった重成の送別も兼ねて、葉山にある聡也の別荘で旧交を温めていた。ところが深夜、雛乃が頭から血を流した状態で死体となって発見される。続けて梨愛が「私が殺したの」と告げ、警察に連行されてしまう。五人の関係は、一夜にしてひとりが被害者に、ひとりが被疑者になる悲劇へ転じた。幼馴染みの面会も拒否し、殺害の動機を語ろうとしない被疑者。弁護士は、残された関係者三人の証言をあつめる。しかし、同じ出来事を語っていても、当事者たちの思惑は三者三様に異なり、証言を重ねるごとに人物像と関係性はめまぐるしく変貌していく。果たして五人の間には何があったのか。あの夜、なぜ事件は起きたのか。関係者の証言から展開される、息を呑む心理劇の結末は――。
作品データ
タイトル:『不等辺五角形』
著者:貫井徳郎
出版社:東京創元社
発売日 : 2025/6/12
作家紹介
貫井徳郎(ぬくい・とくろう)
1968年東京都生まれ。早稲田大学商学部卒。
1993年に『慟哭』でデビュー。
2010年『乱反射』で第63回日本推理作家協会賞受賞。『後悔と真実の色』で第23回山本周五郎賞を受賞。
『光と影の誘惑』『プリズム』『愚行録』『ミハスの落日』『明日の空』『新月譚』『ドミノ倒し』『私に似た人』『邯鄲の島遥かなり』『紙の梟 ハーシュソサエティ』『龍の墓』『ひとつの祖国』など著作多数。
貫井徳郎の作品紹介
『光と影の誘惑』2010/11/12
『愚行録』2006/3/22
『ミハスの落日』2007/2/21
『明日の空』2010/5/26
『新月譚』2012/4/11
『ドミノ倒し』2013/6/21
『私に似た人』2014/4/8
『罪と祈り』 2019/9/5
『悪の芽』2021/2/26
『邯鄲の島遥かなり』(上)2021/8/26
『邯鄲の島遥かなり』(中)2021/9/28
『邯鄲の島遥かなり』(下)2021/10/29
『紙の梟 ハーシュソサエティ』2022/7/13
『龍の墓』2023/11/22
『ひとつの祖国』2024/5/7
『不等辺五角形』 2025/6/12
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その他多数

