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ケイチャン
【2024年77冊目】
今回ご紹介する一冊は、
羽鳥好之 著
『尚、赫々(かくかく)たれ 立花宗茂残照』です。
もくじ
【感想】「勝敗は時の運」
天下分け目の大合戦、関ヶ原の戦い
敗れた戦国大名、立花宗茂の
負け戦のその後を描く
敗者たちの物語です
西国無双と謳われる、立花宗茂(むねしげ)
もとは九州・大友氏の家臣であったが
出色の出来栄えから、養子に乞われ
立花家(戸次家)の主に迎えられました
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よほど優秀であったのでしょう!
その後も戦功を重ねて豊臣秀吉から
柳川(現・福岡県柳川市)を賜り
8万石の戦国大名となります
いわゆる豊臣恩顧の西国大名ですね
さらに秀吉の朝鮮出兵にも参戦し
武勲を重ねる立花宗茂ですが
秀吉は死に
豊臣と徳川が対立し
そして迎える関ケ原・・
これまでのいきさつから
豊臣方となるが
関ケ原には参陣しないまま
負けとなります
立花家は改易(取り潰し)
宗茂は浪人となりますが
ここからがんばります
なんと家を再興してしまう!
旧領、柳川を回復します
関ケ原の後、取り潰された
あまたの大名のなかで
旧領を回復したのは宗茂だけです
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よほど優秀であったのでしょう!
さらに時は経ち江戸幕府の3代将軍
徳川家光の御伽衆(相談役)として
重用されていました・・と、いう
ところから物語は始まります
(まだ始まってなかったのかよ笑)
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関ケ原の話をいたせッ!
将軍、家光からの命令に
とまどう宗茂です
数十年前の戦ばなしを
なぜ今頃聞きたがるのか?
折しも先代将軍である大御所
徳川秀忠が体調を崩しており
代替わりの時期が迫っていました
・・よもや改易の先触れなのか?
不安があるも老境の身の上の宗茂
もう少なくなった戦国武将の責として
これまでの総決算とも言うべき
戦国の世語りをするのでした
まずは関ケ原の戦い
家光は尊敬する祖父である
家康の心中を知るべく
宗茂に当時の仔細を語らせる
そこにゲストとして呼ばれるのが
関ケ原の合戦で毛利家の大将であった
毛利秀元(ひでもと)です
南宮山に布陣しながら戦闘に
参加しなかった理由が語られます
・・負けて悔しい!
その思いを何十年たっても
忘れられない2人の老将が虚しい
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勝ち負けがはっきりするのは残酷ですね
さて第2章では
家光の姉である天寿院(千姫)が
大坂の陣で落城し炎上する
大阪城と豊臣方の物語が語られる
豊臣秀頼の妻であった天寿院
義母の淀姫は叔母にあたります
7歳で嫁いだので感覚的には豊臣一族です
・・落城の記憶が忘れられない
一族の運命に翻弄される
女性たちの姿が悲しい
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この時代、女性は自分の運命を
自分で決められなかったのですね
そして最後の第3章では
大御所の秀忠が死に
家光に代替わりする際の
混乱が語られます
肥後熊本潘の加藤家改易が描かれ
大名家の苦悩が綴られてゆく
才能がない者が継いだ家は
みじめなんですね
まったく勝敗とは時の運
それなのにくっきりと分かたれる
勝者と敗者
世の中はままならないことだらけ
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その中で生き抜く宗茂の姿に
諦めない気持ちをしぶとく持ち続ければ
道が開かれるのだと
希望が持てました
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凡人の僕が些細な勝敗に
一喜一憂するのは、もう
仕方がないことでしょう
と、開き直ってみました笑
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負けても命を取られない令和の
ほうがまだましかも知れませんが
負けを自己責任と言われるのは
今も戦国時代も、違うと思います
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人間の運命なんて
紙一重なんですね
作品紹介(出版社より)
「天下分け目」に潜む“真実”を抉る!
関ケ原が戦場となったのは重なる偶発の結果だった!? 立花宗茂は将軍家光から〝天下分け目〟に関して考えを述べるよう命じられる。神君家康を軽んじる失言をすれば、将軍の勘気に触れる。だが真実を話さねばなるまい……天下無双と呼ばれた男の矜持が輝く歴史長篇
作品データ
タイトル:『尚、赫々たれ 立花宗茂残照』
著者:羽鳥好之
出版社:早川書房
発売日:2022/10/25
作家紹介
羽鳥好之(はとり・よしゆき)
1959年生まれ。群馬県出身。早稲田大学第一文学部卒。
1984年文藝春秋に入社し、「オール讀物」編集長、文藝書籍部長、文藝局長などを歴任。
2022年文藝春秋退社後、『尚、赫々たれ 立花宗茂残照』で作家デビュー。原型となる作品が2021年、日経小説大賞最終候補作となる。
羽鳥好之の作品紹介
『尚、赫々たれ 立花宗茂残照』2022/10/25