【感想】『歌われなかった海賊へ』逢坂冬馬|今読みたい青春小説が、ここにある!

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歌われなかった海賊へ|逢坂冬馬

ケイチャン

ケイチャン

【2024年10冊目】

今回ご紹介する一冊は、

逢坂冬馬 著

『歌われなかった海賊へ』です。

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【感想】 「今読みたい青春小説が、ここにある!」

ナチスドイツ時代の青春小説

ヒトラーユーゲントなど
くそくらえ!
俺たちは好きなように
生きるのさ!!
実在したエーデルヴァイス海賊団を
題材にした青春小説です

でも海賊って捕まったら
絞首刑だよね?

みなさんはエーデルヴァイス海賊団の
ことをご存知ですか?
ヒトラー政権下で
反ナチス、反全体主義を掲げて
自然発生的に集まった若者のグループです

イイ子ちゃんのヒトラーユーゲント
(ヒトラーの青少年団)と相反する
反骨のやんちゃ坊主(女の子もいたが)
どもですね

彼らの存在を知った時は
強権の独裁国家で
よくもまあこんなグループが
あったもんだと感心したものです

締め付けられるような
戦時下での生活の中で
引かれるように集まった
4人の少年少女たち

街で作った強制収容所を
見逃すことは出来ない!

恐れを知らない彼らが
おこなった決死の作戦は
だが後世に知られることなく
埋もれようとしていたんだ

「今読みたい青春小説が、ここにある!」

戦時下だって青春はある
同じ反抗心を抱いた彼らが
集い、共感し、一緒になる
・・まさに青春です

線路の上を歩いて旅するシーンは
映画スタンドバイミーを思い出しました
青春の証ですね

・・だが仲間だからって
安易な理解をしてもらいたくないんだ!
本作のテーマのひとつに
他者を理解する困難さがあります

コイツはこーだから
こんなヤツだと決めつける
そんなステレオタイプな姿勢を
そうじゃないんだよ
人って多様でいろいろなんだよと
彼らをとおして語りかけてきます

そしてもうひとつのテーマが
見たくないものは無視する
無責任で無反省な
大人たちの態度への批判です

記録に残されなかった
エーデルヴァイス海賊団の事件
なぜ後世に伝わらなかったのか?
みんなが後ろめたかったからです

戦争犯罪って
みんなナチスのせいだよね!

そうじゃない
全体の雰囲気に流されて
批判も抵抗もしなかった
大人たちにも責任はある

私たち日本人にも耳が痛いことですね
戦時下の日本もドイツの状況と
ほとんど同じだったはず
僕たちは戦争についてちゃんと知り
反省できているのだろうか?

若者の蛮勇でもいい
信念のために命をかけた
少年少女の戦いの物語でした

あなたはこの先わが国が
悪い方向に向かっていくとしたら
見て見ぬフリをせず
抵抗することが出来ますか?

作品紹介(出版社より)

待望の刊行! 2022年本屋大賞受賞作『同志少女よ、敵を撃て』著者の第二作

1944年、ナチ体制下のドイツ。父を処刑されて居場所をなくした少年ヴェルナーは、体制に抵抗しヒトラー・ユーゲントに戦いを挑むエーデルヴァイス海賊団の少年少女に出会う。やがて市内に敷設された線路の先で「究極の悪」を目撃した、彼らのとった行動とは?──本屋大賞受賞第一作。

作品データ

タイトル:『歌われなかった海賊へ』
著者:逢坂冬馬
出版社:早川書房
発売日:2023/10/18

作家紹介

逢坂冬馬 (あいさか・とうま)

1985年生まれ。埼玉県在住。
明治学院大学国際学部国際学科卒。
2021年本書『同志少女よ、敵を撃て』 で第11回アガサ・クリスティー賞を受賞してデビュー。

逢坂冬馬の作品紹介

同志少女よ、敵を撃て』 2021/11/17
歌われなかった海賊へ』2023/10/18

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