【感想】『動物農場 おとぎばなし』 ジョージ・オーウェル|権力を持てば、豚だって2本足で歩き出すのさ

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動物農場 おとぎばなし|ジョージ・オーウェル

ケイチャン

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【2022年90冊目】

今回ご紹介する一冊は、

ジョージ・オーウェル 著

『動物農場 おとぎばなし』 です。

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【感想】「権力を持てば、豚だって2本足で歩き出すのさ」

風刺小説

イギリスの農場で、動物たちが革命を起こす
人間を追い出し
動物平等をうたい
理想郷を築くために働くのだが
それは1頭の豚によって
独裁主義のディストピアとなるのだった

ソビエト連邦を批判した、もはや伝説の名著です

発行は日本が第二次世界大戦で敗戦した年で
もはや遥か昔という感覚ですが
現代を見通すような未来視感があり
驚きをもって読むことができました

「権力を持てば、豚だって2本足で歩き出すのさ」

ソビエト連邦の立役者
革命家のレーニン
裏切り者の烙印を押されたトロツキー
そして恐怖の独裁者スターリン

これに対応する豚さんが
予言を吐いて死ぬメージャー爺さん
動物たちの反乱で活躍するスノーボール
そして館に住み服を着た豚のナポレオンです

ロシア革命の英雄たちを豚に例える挑発性
発行された当時は大批判を浴びたことでしょう
しかし物語を貫くテーマは普遍性を持ち
現代まで版を重ねています
それが
『社会主義でも、階級社会となってしまう』
なのです

どうして人は平等にならないのでしょうか?

かつて社会主義に理想を見た人たちは
みな絶望したのではないでしょうか

しかし一番恐ろしいのは
『2本足だめ、4つ足良い』
と歌う羊たち
その歌がいつの間にか
『4つ足良い、2本足もっと良い』
と変わってしまっても
気が付かないのか
気が付かないふりしているのか
豚の言う通りに、歌い騒ぐ羊どもが
自分のように思えてならないことが
一番怖いのです

あなたはこの本を読んで
自分がどの動物だなと
思いましたか?

作品紹介(出版社より)

悪い人間を追い出してけものたちが築くユートピア.「すべての動物は平等である」と七戒を掲げ,革命歌のもと産声をあげた動物農場.だがやがて,ぶたたちの奇妙な振舞が始まる──ソビエト神話の実態を知らせ,スターリン体制の粛清を暴いた,『一九八四年』と並ぶオーウェル(1903-1950)の名高い寓話.

作品データ

タイトル:『動物農場 おとぎばなし』
著者:ジョージ・オーウェル
出版社:岩波書店
発売日:2009/7/16

作家紹介

ジョージ・オーウェル

1903年~1950年。1903年、イギリス植民地時代のインド生まれ。
名門イートン校で学んだのち大学に進まず、ビルマで警官として勤務。
やがて職を辞し帰国すると、ロンドンとパリでの放浪生活を経て、作家となった。
スペイン内戦に兵士として参加した体験を綴ったルポルタージュ『カタロニア讃歌』を1938年に刊行。
1945年にはスターリンの独裁政治を風刺する寓話小説『動物農場』がベストセラーになり、作家としての名声を確立する。
1949年に発表された『1984』はそれを凌ぐ記録的ヒット作となり、「20世紀最高の文学」とも評される。『1984』の執筆中に結核が悪化し、刊行から数か月後の50年1月に46歳で死去した

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