【感想】『サー・ガウェインと緑の騎士 トールキンのアーサー王物語』J・R・R・トールキン|騎士とは約束を守る者だ

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サー・ガウェインと緑の騎士:トールキンのアーサー王物語|J・R・R・トールキン

ケイチャン

ケイチャン

【2022年163冊目】

今回ご紹介する一冊は、

J・R・R・トールキン 著

『サー・ガウェインと緑の騎士 トールキンのアーサー王物語』です。

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【感想】「騎士とは約束を守る者だ」

格調高き中世騎士道ファンタジー

2022年11月公開の映画
『グリーン・ナイト』の原作です

みなさんはアーサー王物語ってご存知ですよね
僕も子供の頃に児童書で読んだ覚えがあるのですが
いくつもの作品があり体系的には把握出来てないです
本作はアーサー王物語に影響を受けて書かれた
作者不明の物語を『指輪物語』のトールキンが
現代語訳したものです

とにかく文章が美しい

格調高く綴られた文章に
心が洗われるようです
そこに描かれるのは
気高き騎士たち

さてアーサー王と円卓の騎士たちが
王都キャメロットで新年を祝っていると
1人の馬に乗った騎士がやってきます
それは異形で招かれざる者

全身緑一色で巨大な体躯
ぎらぎらと輝く大きな斧を持った
彼は傲岸不遜な社交辞令の後
『クリスマスだからゲームしようよ』
というのだ・・それが

お互い1撃づつ斧で首を打つ
クリスマスの首切りゲームです

え!首なんか切ったら死んじゃいますよね?
当惑する面々を意気地なしと笑う緑の騎士
だったらやってやろーじゃねーか!
と進み出るのが騎士サー・ガウェインです

ざっくりと緑の騎士の首を落とすサー・ガウェイン
平然と落ちた首を持ち上げて
じゃあ来年は僕の番だからねと去る緑の騎士
かくしてサー・ガウェインは来年
緑の騎士の1撃を首に受ける運命となりました

「騎士とは約束を守る者だ」

物語はサー・ガウェインが
緑の騎士の探索のために訪れた
城の主人との約束と
城主の妃の誘惑により
騎士道について語られます

困難な約束をどう果たすのか?

クリスマスの首切りゲーム
それは残酷さではなくて
騎士道を守ることが出来るのか
というのが主題だったのです

勇壮な男どもの戦いよりも
美しい城主の妃がガウェインに放つ
バッチバチの色恋攻撃を防ぐほうが
難しいんじゃないか?笑

美しい騎士道文学(ロマンス)の
独特な文章が素敵でした
現代のミステリーに繋がるような
謎解きが鍵となってるところも
実に面白い

あなたも高潔なる騎士
サー・ガウェインと旅して
中世の人々が夢見た
ロマンスの世界に
思いをはせてみませんか?

作品紹介(出版社より)

映画やゲーム、アニメなど様々なところで登場するアーサー王伝説の有名な物語を巨匠トールキンが翻案。1953年にBBCラジオで放送された幻の作品を収録した中世騎士道物語集。表題作の他「真珠」「サー・オルフェオ」を収録。

作品データ

タイトル:『サー・ガウェインと緑の騎士 トールキンのアーサー王物語』
著者:J・R・R・トールキン
出版社:原書房
発売日:2019/7/13

作家紹介

J・R・R・トールキン

1892~1973年。南アフリカのブルームフォンテンに生まれ。
3歳のとき、イギリスに移住。オックスフォード大学卒業。
第一次世界大戦に従軍後、1925年からオックスフォード大学教授。
中世の英語学と文学を中心に講じた。
『指輪物語』は、20世紀最高のファンタジーとされる。

J・R・R・トールキンの作品紹介

『指輪物語』1~6
『ホビットの冒険語』上・下 
終わらざりし物語 』上・下
『ベレンとルーシエン 』
サー・ガウェインと緑の騎士 普及版: トールキンのアーサー王物語』(2022/10/19)
など多数。

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