【感想】『一九八四年』ジョージ・オーウェル|ビッグ・ブラザーが見ている

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一九八四年|ジョージ・オーウェル

ケイチャン

ケイチャン

【2022年119冊目】

今回ご紹介する一冊は、

ジョージ・オーウェル 著

『一九八四年』です。

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【感想】「誰も信用するな!そして1番信用してはいけないのが、自分なんだ」

政府による監視、検閲、思想統制の恐怖を描いた
近代文学の傑作ディストピアSF小説です

村上春樹の『1Q84』が本書の影響を受けて書かれたと聞き
いつかこの名作を読んでみたいと思っていました
1Q84ではリトル・ピープルという不気味な存在が
物語の鍵として登場しますが、これに対応するのが
あまりにも有名なビッグ・ブラザーです

近未来、世界は3つの超大国に統合され
絶え間ない戦争が続いていた
主人公のウィンストン・スミスはロンドンに住み
真理局に務め、日々歴史の改ざんという仕事をしていた

『ビッグ・ブラザーが見ている』

各部屋に置かれたテレスクリーンにより
監視・盗聴が行われ、私的な行動は制限されている

思想警察により、不平・不満を感じただけで
逮捕・監禁され、再教育を受ける

恐ろしい・・
何が恐ろしいって、本書は1949年に発行されたのですが
街中に監視カメラが設置されて
ドライブレコーダーで録画され
不用意にSNSで呟いた思いの一言が炎上するこの時代を
70年前に予見していたジョージ・オーウェルが恐ろしい

獏とした政府への反感を持っていたウィンストン・スミスは
若い恋人ジュリアを得たことをきっかけに
タガが外れてゆく
そんな彼に近づくのが高級党員のオブライエンであった

「誰も信用するな!そして1番信用してはいけないのが、自分なんだ」

党のスローガンがあります
①戦争は平和である
②自由は服従である
③無知は力である
相反する言葉が並ぶこのスローガンが
本書の本質を語っています
それが『二重思考』です

本書の根幹の1つであるこの二重思考とは
1人の人間が矛盾した2つの信念を同時に持ち、同時に受け入れることができる
ということです
んん!なんのこっちゃ?と云う感じですが
要は政府の言うことはそのまま信じろってことです

オブライエンの計略にはまり
逮捕されるウィンストン・スミス
そして圧巻の2人の対話(拷問)が
長々と記述される

オブライエンの言うことが
ホントに無茶苦茶なんです
しかし、わかる
チカラあるもの(政府)に逆らうことは
無駄なことである、と

ウィンストン・スミスの破滅の原因は
自分を信じて信念を持っていたことだと思います
本書に描かれたような絶対的な管理社会では
信念なんてものは、いらないのです

必要なのは、ただ無批判に受け入れる心

しかしそんなのって人間としてどうなのか?
人の心を持ったウィンストン・スミスのような者は
いずれにせよ破滅せざるを得ないのです

心が凍るようなディストピアを描く本書
けれどもあなたも周りの人の批判を恐れて
前の人に習い、横の人に合わせて
自分の気持ちを殺してはいませんか?

作品紹介(出版社より)

〈ビッグ・ブラザー〉率いる党が支配する超全体主義的近未来。ウィンストン・スミスは真理省記録局に勤務する党員で、歴史の改竄が仕事だった。しかし彼は、以前より完璧な屈従を強いる体制に不満を抱いていた。ある時、奔放な美女ジュリアと出会ったことを契機に、伝説的な裏切り者が組織したと噂される反政府地下活動に惹かれるようになるが……。

作品データ

タイトル:『一九八四年』
著者:ジョージ・オーウェル
出版社:早川書房
発売日:2009/7/18

作家紹介

ジョージ・オーウェル

1903‐1950。1903年、イギリス植民地時代のインド生まれ。
名門イートン校で学んだのち大学に進まず、ビルマで警官として勤務。やがて職を辞し帰国すると、ロンドンとパリでの放浪生活を経て、作家となった。
スペイン内戦に兵士として参加した体験を綴ったルポルタージュ『カタロニア讃歌』を1938年に刊行。
1945年にはスターリンの独裁政治を風刺する寓話小説『動物農場』がベストセラーになり、作家としての名声を確立する。
1949年に発表された『1984』はそれを凌ぐ記録的ヒット作となり、「20世紀最高の文学」とも評される。『1984』の執筆中に結核が悪化し、刊行から数か月後の50年1月に46歳で死去した

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