ケイチャン
今回ご紹介する一冊は、
伊坂幸太郎 著
『ペッパーズ・ゴースト』です。
もくじ
【感想】「悲しい運命に逆らうことは、罪なのか」
いわゆる特殊能力モノですが
発動条件がウイルス感染的な設定になっていたり
個性的でよく動く登場人物たちが
ストーリー引っ搔き回してグイグイと牽引し
伏線も程よく張られて
ハッとするトリッキーな設定もあり
もう伊坂ワールド領域展開全開!なんです笑
ファンにはもちろん
万人受け間違いなしの
ドタバタエンターテイメント小説となっています
しかも、ホロリと泣ける・・もう無敵です
物語はそれぞれ異なる思惑を持つ
2つの集団を軸に進みます
冒頭は小説内のキャラクターとして登場する
ネコジゴハンターの2人
悲観的なロシアンブルと
楽観的なアメショー
彼らは語ります、僕たちは小説の登場人物かもね、と
それは改変のトリガー
現実と虚構が合一して
物語の階層が膨らみ
キャラクターたちが立体的に立ち上がります
そう、私たちの現実世界に彼らがいるように
もう1つはテロにより親しい人を無くした
悲しみのサークル
相互扶助を目的に結成されたのですが
閉ざされた集団は過激化するという例にもれず
究極の選択をする
まさに被害者と加害者の逆転です
この2つの集団の車軸は
モチロン主人公の檀先生
特殊能力を持つ以外
極めて平凡な彼ですが
中学教師という倫理観と
まっとうな正義感から
非凡な能力を持つ運命を
自ら全うするために
それなりに・・ガンバル!
物語の核となるのは
哲学の巨人ニーチェの言葉です
運命は定められている
運命は変えられない
運命は受け入れるしかない
あなたはどんな悲しい出来事があっても
自分の運命を受け入れることが出来ますか?
作品紹介(出版社より)
少しだけ不思議な力を持つ、中学校の国語教師・檀(だん)と、女子生徒の書いている風変わりな小説原稿。
生徒の些細な校則違反をきっかけに、檀先生は思わぬ出来事に巻き込まれていく。
伊坂作品の魅力が惜しげもなくすべて詰めこまれた、作家生活20年超の集大成!
主な登場人物
■檀千郷(だんちさと)
中学校の国語教師。
■ 布藤鞠子(ふとうまりこ)
檀先生の受け持ち生徒。小説を執筆中。
■ 里見大地
檀先生の受け持ち生徒。父、祖母と三人暮らし。
■ 里見八賢(はっけん)
大地の父親。公務員。
■ マイク育馬
テレビ番組司会者。
■ ロシアンブル
ネコジゴハンターの一人。悲観的な性格。
■ アメショー
ネコジゴハンターの一人。楽観的な性格。
■ 成海彪子(なるみひょうこ)
二十代女性。カンフー映画を好む。
作品データ
タイトル:『ペッパーズ・ゴースト』
著者:伊坂幸太郎
出版社:朝日新聞出版
発売日:2021/10/1
作家紹介
伊坂幸太郎(いさか・こうたろう)
1971年千葉県生れ。
1995年東北大学法学部卒業。
2000年『オーデュボンの祈り』で、新潮ミステリー倶楽部賞を受賞し、デビュー。
2002年刊行の『ラッシュライフ』が各紙誌で絶賛され、好評を博す。
2003年に発表した『重力ピエロ』、2004年『チルドレン』、2005年『グラスホッパー』、2006年『死神の精度』で直木賞候補となる。
2004年『アヒルと鴨のコインロッカー』で吉川英治文学新人賞受賞。
2008年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞と山本周五郎賞を受賞した。
洒脱なユーモアと緻密な構成で読む者を唸らせ、近年稀にみる資質の持ち主として注目を浴びている。
伊坂幸太郎 の作品
『オーデュボンの祈り』(2000年12月)
『 ラッシュライフ 』(2002年7月)
『 陽気なギャングが地球を回す 』(2003年1月)
『 重力ピエロ 』(2003年4月)
『 アヒルと鴨のコインロッカ 』(2003年11月)
『 チルドレン 』(短編集)(2004年5月)
『 グラスホッパー 』(2004年7月)
『 死神の精度 』(短編集)(2005年6月)
『 魔王 』(中編集)(2005年10月)
『 砂漠 』(2005年12月)
『 終末のフール 』(短編集)(2006年3月)
『 陽気なギャングの日常と襲撃 』 (2006年5月)
『 フィッシュストーリー 』(短編集)(2007年1月)
『 ゴールデンスランバー 』(2007年11月)
『 実験4号 』 (2008年4月)
『 モダンタイムス 』(2008年10月)
『 あるキング 』(2009年8月)
『 SOSの猿 』(2009年11月)
『 オー!ファーザー 』(2010年3月)
『 バイバイ、ブラックバード 』(2010年7月)
『 マリアビートル 』(2010年9月)
『 3652ー伊坂幸太郎エッセイ集 』(2010年12月)
『 仙台ぐらし 』(エッセイ集)(2012年2月)
『 PK』(中編集 )(2012年3月)
『 夜の国のクーパー 』(2012年5月)
『 残り全部バケーション 』(短編集)(2012年12月)
『 ガソリン生活 』(2013年3月)
『 死神の浮力 』(2013年7月)
『 首折り男のための協奏曲 』(短編集)(2014年1月)
『 アイネクライネナハトムジーク 』(短編集)(2014年9月)
『 キャプテンサンダーボルト 』(2014年11月)
『 火星に住むつもりかい? 』(2015年2月)
『 ジャイロスコープ 』(短編集)(2015年7月)
『 陽気なギャングは三つ数えろ 』(2015年10月)
『 サブマリン 』(2016年3月)
『 AX アックス 』(短編集)(2017年7月)
『 ホワイトラビット 』(2017年9月)
『 クリスマスを探偵と 』(絵本)(2017年10月)
『 フーガはユーガ 』 (2018年11月)
『 シーソーモンスター 』(中編集)(2019年4月)
『 クジラアタマの王様 』(2019年7月)
『 逆ソクラテス 』(短編集)(2020年4月)
『 ペッパーズ・ゴースト 』(2021年10月)