ケイチャン
今回ご紹介する一冊は、
柚月裕子 著
『ミカエルの鼓動』です。
もくじ
【感想】「医療の進歩に、犠牲は必要か!?」
2人の対立する心臓外科医と
それを取り巻く様々な思惑を持つ
人々を描く物語です
最先端の医療ロボット・ミカエル
その操作の第一人者として脚光を浴び
天使長ミカエルの名を冠した医療ロボットに
医療と、そして自分の未来を託す
病院の看板医師、西條
ドイツ帰りの天才肌
空気を読まない孤高の職人
圧倒的な技量を持つ医師、真木
もう、そっくりな2人なんです
そして、周りを黒々と彩る
腹の読めない、医院長
言葉少ない美女、雨宮
腹黒そーな、ジャーナリスト
真っ白な表紙と裏腹に
この本もイメージは
真っ黒なんです
ひとえに患者の治療と向き合う、真木
対して医療ロボット発展と自分の出世に悩み
理想との乖離に苦しむ、西條
西條の葛藤を軸に物語は進む
そして生来の難病に苦しむ
1人の薄幸な少年の治療方法を巡り
西條と真木、2人の対立は頂点に達する
この手術は、はたして成功するのか?
医療と真摯に向き合うがゆえ
理想と現実に苦しむ
骨太の作品です
あなたは2人の医師の姿を見て
何を思いますか?
作品紹介(出版社より)
この者は、神か、悪魔か――。
気鋭の著者が、医療の在り方、命の意味を問う感動巨編。
大学病院で、手術支援ロボット「ミカエル」を推進する心臓外科医・西條。そこへ、ドイツ帰りの天才医師・真木が現れ、西條の目の前で「ミカエル」を用いない手術を、とてつもない速さで完遂する。あるとき、難病の少年の治療方針をめぐって、二人は対立。「ミカエル」を用いた最先端医療か、従来の術式による開胸手術か。そんな中、西條を慕っていた若手医師が、自らの命を絶った。大学病院の闇を暴こうとする記者は、「ミカエルは人を救う天使じゃない。偽物だ」と西條に迫る。天才心臓外科医の正義と葛藤を描く。
主な登場人物
■ 西條泰己(さいじょう・やすみ)
北海道中央大学病院の循環器第二外科科長。「ミカエル」を用いたロボット支援下手術の第一人者。「平等な医療」の実現を目指している。
■真木一義(まき・かずよし)
11年前に突然ドイツへ渡り、世界有数の心臓外科専門病院ミュンヘンハートメディカルセンターで、天才外科医と評される。曽我部のオファーを受けて、北中大病院の循環器第一外科科長に就任する。
■ 曾我部一夫(そがべ・かずお)
北中大病院の病院長。ロボット支援下手術を推進している。コンサルタントとして雨宮を招き、経営改革を進めるとともに、北中大病院を全国屈指の医療機関にする野望を抱いている。
■ 雨宮香澄(あめみや・かすみ)
病院長によって引き抜かれ、北中大病院の経営戦略担当病院長補佐に就任。かつては、創薬や手術機材といった事業への投資を手掛けてきた。
■ 白石航(しらいし・わたる)
先天性の完全型・房室中隔欠損症を患っている12歳の少年。生後7か月で手術を受けて、今回、再手術のために、北中大病院に転院してきた。
■ 黒沢巧(くろさわ・たくみ)
「ミカエル」をめぐる黒い噂を追っているフリーライター。「ミカエルは人を救う天使じゃない。偽物だ」と、西條にも直撃取材を試みるも、雨宮に阻止される。
作品データ
タイトル:ミカエルの鼓動
著者:柚月 裕子(ゆづき・ゆうこ)
出版社:文藝春秋
発売日:2021/10/7
作家紹介
柚月裕子(ゆづき・ゆうこ)
1968年岩手県生まれ。
2008年『臨床真理』で「このミステリーがすごい!」大賞を受賞して、主婦業のかたわらで作家としてデビュー。
2013年『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞を受賞。
2016年『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞を受賞。
2018年『盤上の向日葵』で〈2018年本屋大賞〉2位。
骨太なストーリーと繊細な心理描写でヒット作品を連発し続けている人気作家。
柚月裕子の作品
『臨床真理』(2009年)
『最後の証人』(2010年)
『検事の本懐(短編集 )』(2011年)
『検事の死命(短編集)』(2013年)
『蟻の菜園 アントガーデン(2014年)
『パレートの誤算』(2014年)
『朽ちないサクラ』(2015年)
『ウツボカズラの甘い息』(2015年)
『孤狼の血』(2015年)
『あしたの君へ(短編集)』(2016年)
『慈雨』(2016年)
『合理的にあり得ない(短編集)』(2017年)
『盤上の向日葵』(2017年)
『凶犬の眼』(2018年)
『検事の信義』(2019年)
『暴虎の牙』(2020年)
『月下のサクラ』(2021年)
『ミカエルの鼓動』(2021年)