ケイチャン
【2024年166冊目】
今回ご紹介する一冊は、
古川日出男 著
『超空洞物語』です。
もくじ
【感想】「空洞から拡散する物語たち」
須磨に流寓した光源氏が
満月に促されて描くのは
『うつほ物語』の墨絵
逆行する冒険的な物語です
ケイチャン
みなさんは『うつほ物語』を
ご存知でしょうか?
ケイチャン
平安時代の中ごろに成立した
日本最古の長編物語ですが
古典的素養に欠ける僕は
あいにく知りませんでした
京の都での政治抗争から逃れて
須磨の地で謹慎生活を送る
光源氏
満月を見て、都での宴を思い出す
・・あれは雅であった
・・そしてここは、侘しい
そして起想されるのが
『うつほ物語』の一幕です
十五夜の満月に演奏披露される
七弦の秘琴が起こすのは
数々の奇瑞です
うつほ物語の終幕から
物語は時間を遡ります
終わりから始まりに向かって
墨絵を描きながら想いをはせる
光源氏
日本の物語の起源を探る旅は
どこに向かうのだろうか・・
ケイチャン
数章を読んで僕は
頭を抱えました
・・まったくわからない
何が書かれているか
理解できませんでした、泣
ケイチャン
そして理解することを
あきらめました、笑
すると、あら不思議
するすると頭に広がる
日本文学の場面たち
うつほ物語から源氏物語
そして、かぐや姫から
南総里見八犬伝へと
連綿と繋がる物語たち
『空洞』とは何を意味するか?
さまざまな解釈がなされるが
僕は鵺(ぬえ)が鍵だと感じました
うつろの船に閉じ込められ
流浪する妖獣の鵺
ケイチャン
まさに、平安のエイリアンです
ケイチャン
得体の知れない、何か
それが物語であり
私はそれを継ぐもの・・
と、作者が後継者宣言しているようでした
(え!古川センセ、違うと?笑)
物語の根源に迫る
冒険的な古川文学
ケイチャン
今期一番の(僕のなかで)
難解な物語に、あなたも
挑戦してみませんか?
作品紹介(出版社より)
その〈空洞〉から、すべては始まった。
天下の奇書か、物語の起源か?日本最古の大長篇「うつほ物語」の謎を、光源氏が解きあかす。
「平家物語」を全訳した著者が、一千年の日本文学史を超絶マッシュアップ。歴史を現代につなぐ驚異の新作!京の都の政治抗争を逃れ、みずから須磨の海辺へと流寓した光源氏。侘び住まいに携えたのは父帝ゆかりの七絃の琴と、
七絃の琴の一族を描く大長篇「うつほ物語」の第一巻だった。満月の宵、徒然なるままに「うつほ」の最終場面を墨絵に描いた光源氏は、その巨大な物語の迷宮を遡り、九枚の物語絵によって読み解いていく――。日本物語文学史の豊饒なる起源を、現代に再生させる冒険の書。
作品データ
タイトル:『超空洞物語』
著者:古川日出男
出版社:講談社
発売日:2024/10/24
作家紹介
古川日出男(ふるかわ・ひでお)
1966年、福島県郡山市生れ。
1998年『13』でデビュー。
2002年『アラビアの夜の種族』で日本推理作家協会賞、日本SF大賞受賞。
2006年『LOVE』で三島由紀夫賞受賞。
2015年『女たち三百人の裏切りの書』で野間文芸新人賞受賞。
2016年には読売文学賞を受賞。
戯曲『冬眠する熊に添い寝してごらん』(2014)ならびに「ローマ帝国の三島由紀夫」(2018)は岸田國士戯曲賞の候補となった。
2022年には、全巻の現代語訳を手がけた『平家物語』(2016)がTVアニメとして放送され、続く『平家物語 犬王の巻』(2017)も同年に劇場アニメとして公開された。他の著作に『聖家族』『馬たちよ、それでも光は無垢で』『ミライミライ』『曼陀羅華X』『の、すべて』など。アメリカ、フランス、イタリア等、多数の国で翻訳され、海外での評価も高い。
古川日出男の作品
『13』1998年
『沈黙』1999年
『アビシニアン』2000年
『アラビアの夜の種族』2001年
『中国行きのスロウ・ボートRMX』2003年
『サウンドトラック』2003年
『ボディ・アンド・ソウル』2004年
『gift』2004年
『ベルカ、吠えないのか?』2005年
『LOVE』2005年
『ロックンロール七部作』2005年
『ルート350』2006年
『僕たちは歩かない』2006年
『サマーバケーションEP』2007年
『ハル、ハル、ハル』2007年
『ゴッドスター』2007年
『聖家族』2008年
『フルカワヒデオスピークス!』2009年
『MUSIC』2010年
『4444』2010年
『ノン+フィクション』2010年
『TYOゴシック』2011年
『馬たちよ、それでも光は無垢で』2011年
『春の先の春へ 震災への鎮魂歌 宮澤賢治「春と修羅」をよむ』2011年
『ドッグマザー』2012年
『舗装道路の消えた世界』2012年
『南無ロックンロール二十一部経』2013年
『コレクションさん』2013年
『ミグラード 朗読劇「銀河鉄道の夜」』2013年
『小説のデーモンたち』2013年
『冬眠する熊に添い寝してごらん』2014年
『女たち三百人の裏切りの書』2015年
『あるいは修羅の十億年』2016年
『偽ガルシア=マルケス』2016年
『平家物語』2016年
『平家物語 犬王の巻』2017年
『非常出口の音楽』2017年
『ミライミライ』2018年
『「小説家」の二〇年 「小説」の一〇〇〇年/ササキアツシによるフルカワヒデオ』2018年
『とても短い長い歳月(THE PORTABLE FURUKAWA)』2018年
『グスコーブドリの太陽系 宮沢賢治リサイタル&リミックス』2019年
『おおきな森』2020年
『ゼロエフ』2021年
『曼陀羅華X』2022年
『天音』2022年
『の、すべて』2023年
『紫式部本人による現代語訳「紫式部日記」』2023年
『京都という劇場で、パンデミックというオペラを観る』2024年
『超空洞物語』2024/10/24