ケイチャン
【2024年134冊目】
今回ご紹介する一冊は、
呉勝浩 著
『爆弾』です。
もくじ
【感想】「死んでいい人はどこから？」
僕には霊感があるんですよお・・
と、のたまう腹の突き出た冴えない
中年オヤジのスズキタゴサク
・・イヤ、おまえが犯人だろう！
緊迫の取り調べを描く
爆弾サスペンスです
微罪で逮捕されたのは
見るからにくたびれたオッちゃん
ちゃっちゃと終わらせてしまおう！
ところがコイツがのらりくらりと
肝心な話をせずに
霊感と称して語る内容どおり
秋葉原と東京ドームシティで
爆発テロが発生する
ケイチャン
・・これはとんでもない事件だ！
東京のいたるところに隠された
爆弾を探さねばならない
だがスズキタゴサクは
余裕の笑みでゲームを持ちかける
このゲームには爆弾のありかの
ヒントが隠されている
さあ警察官諸君、謎を解き
東京を救えるかな？
爆弾ゲームのゲームマスターである
スズキタゴサクの真の目的を暴き
警官たちはこのゲームに
勝利することが出来るのでしょうか？
取調室で語られる
スズキタゴサク的理論が
しんどいのだ
盗人にも三分の理といいますが
負け組代表スズキタゴサクが語る
強者に一矢報いる的理論に
ちょっと同調してしまう
ケイチャン
・・ううう、確かにだ
強者がますます栄え
弱者は無視され搾取される
自己責任社会はいわゆる
無敵の人を生む土壌となります
だがスズキタゴサクは
単なる無敵の人ではなかった
終盤から明らかになっていく
ケイチャン
彼の真の目的に驚愕します
またそれぞれ個性の違う
警察官たちを群像的に描いて
価値観の違い
仕事への姿勢
仲間への思い
などを綴ってゆく
ケイチャン
命に軽重は、あるの？
守るべき人の範囲という
答えることが難しい問題を
突きつけられる
家族は死んではダメ
仲間もダメ
では、知らない人は？
ケイチャン
というか世界では未だ戦乱があり
どんどん人が死んでるよ？
その人々は、どうでもいいのかよ？
と、思いは果てしなく広がってしまう
爆弾テロという題を使い
人の本性を描く本作
ケイチャン
見たくない醜いものから
目が離せなくなるようでした
作品紹介（出版社より）
★★★祝・W1位！！★★★
日本最大級のミステリランキング、『このミステリーがすごい！ 2023年版』（宝島社）、『ミステリが読みたい！ 2023年版』（ハヤカワミステリマガジン2023年1月号）国内篇で驚異の２冠！！
これを読まねば、“旬”のミステリーは語れない！◎第167回直木賞候補作◎
◎各書評で大絶賛！！◎東京、炎上。正義は、守れるのか。
些細な傷害事件で、とぼけた見た目の中年男が野方署に連行された。
たかが酔っ払いと見くびる警察だが、男は取調べの最中「十時に秋葉原で爆発がある」と予言する。
直後、秋葉原の廃ビルが爆発。まさか、この男“本物”か。さらに男はあっけらかんと告げる。
「ここから三度、次は一時間後に爆発します」。
警察は爆発を止めることができるのか。
爆弾魔の悪意に戦慄する、ノンストップ・ミステリー。
作品データ
タイトル：『爆弾』
著者：呉勝浩
出版社：講談社
発売日：2022/4/20
作家紹介
呉勝浩（ご・かつひろ）
1981年青森県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒業。
2015年、『道徳の時間』で第６１回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。
2018年『白い衝動』で第２０回大藪春彦賞受賞。
2018年『ライオン・ブルー』で第３１回山本周五郎賞候補。
2019年『雛口依子の最低な落下とやけくそキャノンボール』で第７２回日本推理作家協会賞（長編および連作短編集部門）候補。
2020年『スワン』で第４１回吉川英治文学新人賞受賞、同作は第７３回日本推理作家協会賞（長編および連作短編集部門）も受賞し、第１６２回直木賞候補ともなった
呉勝浩の作品
『ライオン・ブルー』2017/4/27
『 道徳の時間』2015/8/5
『ロスト』2015/12/9
『蜃気楼の犬』2016/5/31
『白い衝動』2017/1/25
『バッドビート2021/4/15
『雛口依子の最低な落下とやけくそキャノンボール』2021/11/16
『蜃気楼の犬』2016/5/31
『おれたちの歌をうたえ』2021/2/10
『マトリョーシカ・ブラッド』2018/7/21
『道徳の時間』2015/8/5
『スワン』2019/10/31
『法廷占拠 爆弾2』2024/7/31
『爆弾』2022/4/20