ケイチャン
【2023年84冊目】
今回ご紹介する一冊は、
染井為人 著
『滅茶苦茶』です。
もくじ
【感想】「人に流されると自分を見失う」
こんな結末になるのは
ホントに自己責任だけなのか?
犯罪に巻き込まれて
ドツボにハマる3人を描く物語です
コロナウイルス感染症で
みなさんもきっと様々な
影響があったことでしょう
でもウイルスを運んでくるのは
結局、人間です
出会ってはいけない人間たち
東京でバリバリ働く美世子さん
沼津のラブホテル経営者の茂一さん
群馬の進学高校に通う礼央くん
三者三様の、人との出会いの果てに
罹り落ちる底なし沼状態とは?
1人寝が寂しい美代子さんは
イケメンなマレーシア男性の
甘い言葉と結婚に目がくらみ
勧められて始めるのが
暗号通貨の取引でした
・・んん?
ラブホの経営難に頭を抱える茂一さん
蠱惑的なスナックのママに
丸め込まれて名義を貸すのが
給付金詐欺です
・・いやそりゃ、マズいよね!
勉強についていけない礼央くん
息抜きに付き合い始めた
ヤンキーボーイとヤンキーガールだが
なーんも考えていないコイツらは
案の定とんでもないことをしでかす
・・その場しのぎもほどがあるよ!
さてそれぞれが犯罪に
巻き込まれてゆくのですが
あまり同情できません・・
何故って?
3人に主体性がないからです
事故に巻き込まれるというよりは
甘い言葉や
濡れ手に粟な儲け話とか
関係を切れない優柔不断さで
自ら危険地帯に踏み込んで
行くようだからです
はんっ!言わんこっちゃない
ざまあみろだ!!
と、感じてしまいました
でもちょっと待って?
もし自分が3人のように
ちょっと弱った状況の時に
優しく甘く楽しい
言葉を掛けられたならば
ふらふら~、と
靡いてしまうのではないでしょうか
3人は、そんな弱った僕たちの
アバターのように感じました
状況は加速度的に
ドンドンと悪化してゆき
ブレーキの壊れた
暴走列車の様相を呈する
もはや衝突しなければ
止まることはない
何度も下車する機会があったのに
乗車し続けた3人がたどる
絶望的な運命と
交差するカオスな展開に
もうゲロ吐きそうに緊張が高まる
そして訪れるラストシーンが
想像以上のカタルシスで
思い切りゲロ吐いたような←例えが汚いww
奇妙な爽快感を覚えることでしょう笑
災厄を連れてくる笑顔の人に
あなたはNO!って
ちゃんと言えますか?
作品紹介(出版社より)
最悪だ。もう逃げ場がない」三人三色の人生が転落しながら絡み合う、絶叫的ミステリー。
【話題作『悪い夏』『正体』を超える切迫感!】仕事は順調、東京でシングルライフを謳歌する30代女性が始めた不穏な恋愛。下校中、不良に堕ちた元級友に再会した、とある北関東の高校生。老朽化したラブホテルを継ぐが経営不振に陥った静岡県在住の中年男。
刹那な現代をサバイブしながらも、孤独を胸底に抱える者たちの欲望に駆られた出会いは、彼らをまっさかさまに谷底に突き落とす。
作品データ
タイトル:『滅茶苦茶』
著者:染井為人
出版社:講談社
発売日:2023/5/10
作家紹介
染井為人(そめい・ためひと)
2017年、「悪い夏」で「第37回横溝正史ミステリ大賞」優秀賞を受賞しデビュー。
その他の著作に「正義の申し子」「震える天秤」「正体」がある
染井為人の作品紹介
『悪い夏』 2017/09/29
『正義の申し子』 2018/07/27
『震える天秤』 2019/08/30
『悪い夏』 2017/09/29
『正体』 2022/01/12
『海神』2021/10/19
『鎮魂』2022/5/19
『滅茶苦茶』2023/5/10