【本の感想】『フジコの十ヶ条』真梨幸子|登場者は全員、身勝手な嘘つき

【2025年99冊目】
今回ご紹介する一冊は、
真梨幸子著
『フジコの十ヶ条』です。
【感想】「登場者は全員、身勝手な嘘つき」
伝説の殺人鬼、フジコ
死刑執行されたけど・・
ホントは生きてるんだよ!
・・『殺人鬼フジコの衝動』をベースにした
ドロドロ&グチョグチョなイヤミスです

セルフパロディが出来ればもう、ベテラン作家!
SNSを騒がす有名犯罪者の生存情報
真偽のほどが定かではないニュースに
一発逆転を賭ける者がいる
それが、記者です
不祥事で子会社に飛ばされた浜口編集長
逆転の一手に白羽の矢を立てたのが
還暦を超えて再雇用の中の
ベテラン編集者、富士子さんです

・・いい迷惑だわ!
嫌々取材を進める富士子だが
次第にのめり込んでゆく
と同時に富士子さんの身の回りに
不可解で不穏な事件が起こっていくんだ
入れ替わり立ち代わり現れる
登場人物の1人称で語られます
主人公の独白に「うんうんそうだね可哀相に」
と同情したらもう・・
次に登場する主人公が、前の登場人物の
嘘や欠点、そして悪意を上げ連ねます

・・エッ!ホントはこんな嫌なヤツだったの?
物語は人を代えながら
殺人鬼フジコのこと
そしてフジコに関わった人の
欲望に溺れて道を誤った姿を描いてゆく
著者のヒット作『殺人鬼フジコの衝動』の
セルフオマージュに加えて
『坂の上の赤い屋根』『6月31日の同窓会』
といった他作品の内容も関わってくる
お祭り的な1冊になっています
え~!あの本のあの事件が
ここに関わってくるの?と
ファンには嬉しい仕掛けとなってます
そしてグチャグチャとまとめられる結末は
自業自得の因果なのか?

登場人物たちのバッドエンドが逆に気持ちいいんです笑

イヤミスの女王が仕掛けた全著作の集大成的なお祭り作品でした
作品紹介(出版社より)
【シリーズ72万部! 処刑されたはずの殺人鬼が再び日本を震撼させる……!?
イヤミスの女王・真梨幸子が放つ、究極のピカレスクシリーズ最新作!】【絶賛の声!】
フジコ一作目である『殺人鬼フジコの衝動』の発売時、
このジャンルに免疫のなかった私は
「これがイヤミスか!エグい···!」とダメージを受けつつも、
その構成の見事さに最後まで読むのをやめられなかったものだ。十数年振りに向き合う事になったこの「フジコ」も、
やっぱりゲラを捲る手が止まらなかった。
そのくらい圧倒的に魅力的なのだ、真梨幸子の生み出す「フジコ」の世界は。
ページの最後の最後まで。
(ブックファースト新宿店 佐々木貴子さん)【あらすじ】
ほら、これを見てみて。
フジコの十ヶ条が書かれた、メモ。
あの人からもらったの。
藤子から。そう、
殺人鬼フジコから。少なくとも十五人を惨殺した伝説の殺人鬼、フジコ。
彼女の「十ヶ条」通りにすれば、誰もが成功し、幸せになれるという。その教えに従った連続殺人が起きているのではないか。
ネットでの噂を耳にした出版社勤務の米井富士子は、
かつて、殺人鬼フジコの事件を追っていた……。
作品データ
タイトル:『フジコの十ヶ条』
著者:真梨幸子
出版社:徳間書店
発売日:2025/5/30
作家紹介
真梨幸子(まり・ゆきこ)
1964年宮崎県生まれ。
2005年『孤虫症』で第32回メフィスト賞を受賞しデビュー。
2011年に文庫化された『殺人鬼フジコの衝動』が累計60万部を超えるベストセラーに。
他に『5人のジュンコ』『人生相談。』『初恋さがし』『坂の上の赤い屋根』『縄紋』『フシギ』など多数の著書がある。
真梨幸子の作品紹介
『孤虫症』(2008/10/15)
『えんじ色心中』(2014/9/12)
『女ともだち』(2012/1/17)
『深く深く、砂に埋めて』(2011/8/12)
『クロク、ヌレ!』(2012/10/16)
『殺人鬼フジコの衝動』(2011/5/7)
『ふたり狂い』(2016/10/7)
『みんな邪魔』(2011/12/6)
『カンタベリー・テイルズ』(2015/11/13)
『パリ警察1768』(2021/3/11)
『プライベートフィクション』(2012/9/6)
『あの女』(2015/4/22)
『インタビュー・イン・セル 殺人鬼フジコの真実』(2012/11/2)
『おひとり様作家、いよいよ猫を飼う。』(2019/4/10)
『鸚鵡楼の惨劇』(2015/7/7)
『人生相談。』(2017/7/14)
『5人のジュンコ』(2016/6/3)
『お引っ越し』(2017/11/25)
『アルテーミスの采配』(2018/2/7)
『6月31日の同窓会』(2019/2/7)
『私が失敗した理由は』(2019/9/13)
『イヤミス短篇集』(2016/11/15)
『カウントダウン(2017/2/25)
『祝言島』(2017/7/26)
『ご用命とあらば、ゆりかごからお墓まで 万両百貨店外商部奇譚』(2018/1/25)
『向こう側の、ヨーコ』(2018/4/19)
『ツキマトウ 警視庁ストーカー対策室ゼロ係 』(2018/7/27)
『初恋さがし』(2019/5/20)
『三匹の子豚』(2019/8/29)
『坂の上の赤い屋根』(2019/11/22)
『縄紋』(2020/6/2)
『聖女か悪女』(2020/11/20)
『フシギ』(2021/1/22)
『まりも日記』(2021/6/17)
『一九六一 東京ハウス 』(2021/12/22)
『初恋さがし』(2022/2/28)
『シェア』(2022/3/23)
『さっちゃんは、なぜ死んだのか?』(2022/11/9)
『ノストラダムス・エイジ』(2023/08/09)
『教祖の作りかた』2024/5/22
『ウバステ』2024/9/25
『フジコの十ヶ条』2025/5/30

