フィクション

【本の感想】『ゲーテはすべてを言った』鈴木結生|言葉はみんなのものなのさ

鈴木結生『ゲーテはすべてを言った』とクロワッサン
ケイチャン(サカキ ケイ)

【2025年48冊目】

今回ご紹介する一冊は、

鈴木結生 著

『ゲーテはすべてを言った」』です。

【感想】「言葉はみんなのものなのさ」

第172回芥川賞受賞作

かのゲーテはホントに
その言葉を言ったのか?
無数の書物の中に隠れた
ひとつの言葉を探す物語です

名言は説得力ありますよね!

ゲーテ研究一筋の人生を歩む
博把統一(ひろば とういち)教授
自他ともに認めるゲーテ研究の
第一人者です

・・その私に知らない言葉があるなんて

Love does not confuse everything,but mixes
「愛はすべてを混淆(こんこう)せず、混然(こんぜん)となす」
いかにもゲーテが語りそうな言葉ですが
いくら原典を探しても見つかりません

・・わからないし、気になるッ!

そんな中、親しい同僚の教授が
なんと捏造事件を起こしてしまう
架空の原典や、勝手に創作した言葉
これは学問に対する冒涜(ぼうとく)だ

そしてゲーテの言葉を探す旅は
家族友人を巻き込んで進み
偶然が必然を呼んで
ゲーテの故国、ドイツへと続くんだ

「言葉はみんなのものなのさ」

ひとつの言葉が転がり
ストーリーが広がってゆく

冒険をしているような学問の旅が、楽しいです

ゲーテに関するうんちく

有名な哲学者の名言も興味深く
アカデミックな世界をさまよう、お散歩気分です

家族愛も微笑ましい

大学生の娘、徳歌(のりか)ちゃん
距離感が難しいお年頃で
やきもきする男親の姿からにじみ出る
娘愛が、あったかいです

学問って、なんだ?
捏造と創作の差って、なんだ?
というテーマも面白くふんふんと頭を巡らせて読み進められました

明るい雰囲気で終わる
エンディングも気分よく
楽しく前が広がるようでした

もう一度、大学生に戻って自分の好きな勉強をしたい
そんな気持ちになりますね

僕も『ファウスト』を読んでみたいな

作品紹介(出版社より)

高名なゲーテ学者、博把統一は、一家団欒のディナーで、彼の知らないゲーテの名言と出会う。
ティー・バッグのタグに書かれたその言葉を求めて、膨大な原典を読み漁り、長年の研究生活の記憶を辿るが……。
ひとつの言葉を巡る統一の旅は、創作とは何か、学問とは何か、という深遠な問いを投げかけながら、読者を思いがけない明るみへ誘う。
若き才能が描き出す、アカデミック冒険譚!

作品データ

タイトル: 『ゲーテはすべてを言った』
著者:鈴木結生
出版社:朝日新聞出版
発売日:2025/1/15

作家紹介

鈴木結生(すずき・ゆうい)

2001年福岡県生まれ。
2024年、「人にはどれほどの本がいるか」で第十回林芙美子賞佳作を受賞。
2025年『ゲーテはすべてを言った』でデビュー。

鈴木結生の作品紹介

ゲーテはすべてを言った』2025/1/15

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ケイチャン
ケイチャン
サラリーマン読書家
年間150冊以上の本(主に小説)を読む、名古屋で働くサラリーマン【ケイチャン】です。食べることが大好きな僕が撮影している「本のある日常風景」と共に、本の紹介と感想のブログをお楽しみください!オススメの本は?この本気になるけど面白い?…など、読む本に迷った方への参考になれば幸いです。好きな言葉は「花には水を、人には愛を!」【ケイチャンブックス】よろしくお願いします!一緒に読書を楽しみましょう!!
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