【本の感想】『マザーアウトロウ』金原ひとみ|人と人の関係に、属性はいらない!

【2025年135冊目】
今回ご紹介する一冊は、
金原ひとみ 著
『マザーアウトロウ』です。
【感想】「人と人の関係に、属性はいらない!」
夫の母親と
マブになっちゃった!?
パワフル過ぎる義母との
アクセル全開な物語です
仲良くなるのには、3語あればいい
初めて義母と会う・・
緊張する波那(はな)ちゃんの
前に現れたのは・・
上下金色のスーツに身を包んだ
張子(ちょうこ)さんです

芸人かいッ!
規格外の存在である
張子さんの登場で
波那ちゃんの生活は一変する

お昼休みに凸されて
え!ランチじゃなくて
美容整形するんですか?
義理母娘ではなく
『マブ』になった2人は
今日はどんなアウトローな
お楽しみをするんだい?笑
冒頭から全開フルスロットルでの開幕
鬼才・金原ひとみに助走なんてものは
いらないのです

・・うんうん僕も全力で付いて行くよ♪
そして共に駆けてゆくのが
好きなように生きているようで
でもまだちょっとためらいが
あるような波那ちゃんです
子供を産まないべきか、やっぱり産むべきか・・
10歳以上も年下の夫を迎えた
40代の波那ちゃん
子供は産まないと決めたものの
いろいろと考えてしまうのです
そんな悩みを知ってか知らずか
張子さんは波那を好き勝手に
連れまわします
自由奔放なようすが
ホントに楽しい!

・・僕も一緒に遊びたいよ!
また金原ひとみ作品の魅力といえば
面白すぎる会話パートです
今作もパワフルな登場人物ばかりで
マシンガントークと言うよりは
ガトリング砲をぶっ放すごとくの
凄まじい破壊力でした

・・会話劇が好きすぎるよ!
さて楽しいだけでは終わらないのが
鬼才・芥川賞作家の金原ひとみ
現代女性の生き方という重いテーマに
逃げることなく踏み込んでいきます

ラストシーンに強烈なボディブローを
喰らったような衝撃が後を引きました
愉快だし、楽しいけど
それ以上に、重い
ボリューム満点のエスニック料理を
食べきったような物語でした
愉快な人と一緒にいると
楽しいけれど
疲れることもあるよね

あなたはそんな人と徹夜で遊び倒せますか?
作品紹介(出版社より)
「俺らマブになろうぜ」。40歳の波那の目の前に現れたのは、上下金色でかためた53歳の義母・張子だった。出会ったその足で飲みからカラオケにはしご、昼休憩に美容整形、勢いで韓国へ弾丸旅行、と張子に付き合っていく。そのうち、嫁姑を超え、同じ女性として、人間として、改名、結婚式の有無、子供を持つことから始まり、お互い夫にも息子にも話したことのない過去や心に残るわだかまりと後悔、人生の選択について語り合うようになる。
金原ひとみ『マザーアウトロウ』|ケイチャンブックス
作品データ
タイトル:『マザーアウトロウ』
著者:金原ひとみ
出版社:U-NEXT
発売日:2025/7/25
作家紹介
金原ひとみ(かねはら・ひとみ)
1983年東京生まれ。
2003年『蛇にピアス』で第27回すばる文学賞を受賞。
2004年、同作で第130回芥川賞を受賞。ベストセラーとなり、各国で翻訳出版される。
2010年『TRIP TRAP』で第27回織田作之助賞を受賞。
2012年『マザーズ』で第22回Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。
2020年『アタラクシア』で第5回渡辺淳一文学賞を受賞。
2021年『アンソーシャル ディスタンス』で第57回谷崎潤一郎賞を受賞。他『パリの砂漠、東京の蜃気楼』、『ミーツ・ザ・ワールド』等がある。
金原ひとみの作品紹介
『ナイン・ストーリーズ・オブ・ゲンジ』2008/10/31
『ハイドラ』2007/04/01
『憂鬱たち』2009/09/29
『マリアージュ・マリアージュ』2012/11/30
『軽薄』2016/02/26
『クラウドガール』2017/01/06
『星へ落ちる』2007/12/05
『オートフィクション』2006/07/05
『AMEBIC 2005/07/06』
『持たざる者』2015/04/24
『アッシュベイビー』2004/04/27
『TRIP TRAP トリップ・トラップ』2009/12/25
『fishy』2020/09/07
『パリの砂漠、東京の蜃気楼』2020/04/23
『マザーズ』2011/07/01
『ミーツ・ザ・ワールド』2022/01/05
『アタラクシア』2019/05/24
『アンソーシャル ディスタンス』2021/05/26
『デクリネゾン』2022/08/26
『腹を空かせた勇者ども』2023/06/14
『ハジケテマザレ』2023/10/5
『ナチュラルボーンチキン』2024/10/3
『YABUNONAKA』2025/4/10
『マザーアウトロウ』2025/7/25


