ケイチャン
【2024年75冊目】
今回ご紹介する一冊は、
ジェイムズ・P・ホーガン 著
『星を継ぐもの』です。
もくじ
【感想】「星と時を超える、人の営み」
月で発見された、深紅の宇宙服を着た遺体
だが彼の死亡推定年は、5万年前であった
いったい彼は何者なのか?
1977年発表の大ヒット、ハードSFです
いろいろと発展してきた人類の文明ですが
解決されない『謎』が、いまだあります
ヒトと類人猿の進化の断絶であるミッシングリンク
表はブツブツ、裏はツルツルの、月の謎
ケイチャン
まだまだ人類は知らないことわからないことが
たくさんあるんですね
宇宙服の遺体が5万年前って、どういうこと??
わけのわからない発見から物語はスタートする
5万年前の事件を捜査せよ!
物理学者のヴィクター・ハントは
この難題の統括責任者として当たる
手がかりは遺体が持っていた5万年前の手帳です
しかし当然言語は意味不明。これに地球の科学者が
総出で解析に当たるが・・ここに書いてある惑星
どう読んでも地球じゃないよね??
さらに月面で発見された、謎の魚の缶詰
地球上の魚では、ありえない形質でした
けれど遺体は人類と一致しているし・・
ケイチャン
・・これはいったいどういうことなのか??
そんな中、木星の衛星ガニメデで
さらにとんでもない発見がなされる
氷の大地に埋もれた巨大宇宙船
推定製造年は2500万年前でした
ケイチャン
・・にせんごひゃくまんねん!!
地球は恐竜の時代だよね
この巨大宇宙船の内部には
地球で捕らえた恐竜や哺乳類
そして異星の巨人の遺体が残されていた
しかし月の遺体との関連性がわからない
様々な推測がなされるなか
ガニメデから木星を眺めるヴィクターは
ある閃きを得るのでした
彼がたどり着いた結論とは、いかに?
ドカドカと大発見がなされる度に
あーでもない、こーでもない、と
ヴィクターや他の科学者たちが
エスエフ的考察を述べてゆく
その中でヴィクターのライバルというべきが
大御所生物学者のダンチェッカー博士です
自身の知見を絶対視するアタマの固いタイプで
グイグイと自説を押してくるのだ
この2人がバチバチとやり合う過程で
物語もグングンと進んでゆく
プーくん
けどライバル関係って、悪くない
木星の衛星ガニメデへと向かう
宇宙船の中で2人は互いを認め合う
・・ああヤツの言うことには一理ある
補完し合って、この謎を解こう!
ビートルくん
協力し合う2人はついに謎を解くのでした
注意!)以下、核心的なネタバレとなります!!
5万年前の遺体は我ら人類の祖先だった
月は元来、地球のものではなかった
5万年前、第10惑星で起こった最終戦争で
惑星は爆発。月は地球がキャッチする
そして遺体の同僚たちが、地球に降り立ち
今に至るのでした
ケイチャン
長大なスケールに呆然となる物語でした
5万年前に第10惑星ミネルヴァで起こった
2つの超大国による最終戦争は
著作当時の米ソ対立を描いたものでしょう
ケイチャン
第3次世界大戦が起こらなくってよかったな
それに対して科学者たちが協力し合って
問題解決や宇宙開発に勤しむ物語の様子は
作者の平和と希望の祈りが込められている
ようでした
ラストシーンで5万年前の物語と
リンクして終わるところが
スッキリと納まりが良く
なるほど未だに読み継がれる
長大なスケールに
ミステリー要素を絡めた
名作SF
ケイチャン
僕もいつか月から地球を眺めてみたいな
作品紹介(出版社より)
月面で発見された、真紅の宇宙服をまとった死体。綿密な調査の結果、驚くべき事実が判明する。死体はどの月面基地の所属でもないだけでなく、この世界の住人でさえなかった。彼は5万年前に死亡していたのだ! いったい彼の正体は? 調査チームに招集されたハント博士は壮大なる謎に挑む。現代ハードSFの巨匠ジェイムズ・P・ホーガンのデビュー長編にして、不朽の名作! 第12回星雲賞海外長編部門受賞作
作品データ
タイトル:『星を継ぐもの』
著者:ジェイムズ・P・ホーガン
出版社:東京創元社
発売日:1980/5/23
作家紹介
ジェイムズ・P・ホーガン
1941年、英国ロンドン生まれ。コンピュータ・セールスマンだったが、1977年に一気に書き上げた長編『星を継ぐもの』でデビュー。
同書は日本に翻訳紹介されると同時に爆発的な人気を博し、翌年の星雲賞を受賞。
さらに『創世記機械』『内なる宇宙』でも同賞を受賞。
最新科学技術を用いたアイディアに挑戦する作品を矢つぎばやに発表し、現代ハードSFの旗手として幅広い読者を獲得した。2010年没
ジェイムズ・P・ホーガンの作品紹介
『星を継ぐもの』1980/5/23