ケイチャン
【2023年38冊目】
今回ご紹介する一冊は、
石田夏穂 著
『ケチる貴方』です。
もくじ
【感想】「冷え性なのはココロのせい?」
けっして痩せてないのに
むしろ太ってる方なのに
なんで私はこんな冷え性なの?
奇想天外な解決策を描く
ちょっと愉快な物語です
私は冷え性・・
男性の多い職場では
冷房がガンガンに効いていて
しんどい思いをされる
女性もいらっしゃることでしょう
物語は男性同様に働く佐藤さんの
仕事と冷え性について
一本によられた縄を
手繰るように進みます
ケチ・・
それが佐藤さんの自己分析です
金銭はもとより
知識や親切心も
出し惜しむのだ
だってこれらは私の財産なんだもの
ところが仕方ないことから
後輩に1万円札をカンパしたところ
カラダが火照る火照る
かつてない熱量生産に
驚く佐藤さん
これはもしや・・
ケチを止めたためなのか?
自らのケチな性格と同様に
代謝もケチっていたのが
冷え性の原因でないのかとゆ~
トンデモ推論を導き出したのです
オモシロイww
ではちょっと試してみようと
金銭的に気前よくしてみて
ついでに愛想もケチらず
ニコニコはいはい!
雑用も気持ちよく
引き受けますよと
してみたら・・
体調は絶好調!
嘘のように元気になった佐藤さん
よしよしこの調子で
ホカホカの体で
生きていこうじゃないか・・
と思っていたのだが
そう上手くは行きません
どうしても曲げられない
そんな一線で立ち止まってしまう
これは・・私じゃないよ
そして無理が祟った佐藤さんは
ぶっ倒れてしまう
そして以前の冷え性が
戻ってきてしまうのだが
その慣れた感覚は
腐れ縁の陰キャ旧友と仲直りした時のように
あーあー、まあしょうがないね
陽キャは私のホントの姿じゃ
ないんだよね・・
みたいなちょっとホッとしたような
感覚だったと僕は思いました
独特な感性でニッチな世界を
突くのが得意な石田夏穂
深刻なようだがどこかユーモラスで
ふっと息が抜けるような読後感でした
作品紹介(出版社より)
私は寒いとき必死だ。こんなにも必死なのに、何故この身体は頑なに熱を生産しないのだろう。
骨と皮ならまだしもお前はエネルギーの塊じゃないか。私の代謝機能よ。この身体を温める薪ならここに山のようにあるよ。第44回野間文芸新人賞候補となった表題作と
第38回大阪女性文芸賞受賞作を豪華同時収録。
作品データ
タイトル:『ケチる貴方』
著者:石田夏穂
出版社:講談社
発売日:2023/1/26
作家紹介
石田夏穂(いしだ・かほ)
1991年埼玉県出身。東京工業大学工学部卒。
2021年「我が友、スミス」でデビュー、第45回すばる文学賞佳作。