【感想】『月の王』馳星周|不死身の狼男が大暴れ!

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月の王 |馳星周

ケイチャン

ケイチャン

【2022年63冊目】

今回ご紹介する一冊は、

馳星周 著

『月の王』です。

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【感想】「不死身の狼男が大暴れ!」

オオカミ男vs武侠小説=伝奇バイオレンスアクション!

馳星周版の狼男だよ、でしょうか
ウルフガイシリーズの平井和正へのオマージュを感じました

舞台は日中戦争時の魔都上海

やんちゃして駆け落ちしちゃった、お転婆娘の皇族姫を連れ戻すため
天皇陛下の切り札がやって来た・・月の王こと大神明である

ウルフガイシリーズの主人公が犬神明なんで
これは完全に意識していますね
僕はウルフガイシリーズの世代よりちょっと若いので
あまり知らないのですが笑
続編の『月光魔術團』は読んでましたよ、すんごい懐かしい!

さて日本の大物がやって来るというとで
上海の裏社会は大騒ぎ、蔣介石直属の部隊が大神の敵として現れる
これが魔人とも言うべき、中国武術の達人たちであった!

いっぽう敵役は、金庸の武侠小説に出てくるような超人たちです
無敵のリーダー杜龍(ドユーロン)と四天王たち
青龍こと戟を使う冷静な四天王主席、楊泰明(ヤンタイミン)
朱雀ことチャイナドレスが艶やかな三節棍使い、袁飛(ユンフェイ)
白虎こと向こうっ気強い手毬使い、陳学友(チャンシュェヨウ)
玄武こと大男で指弾使い、劉徳(リュウデェ)
まるで『射鵰英雄伝』に出てくる天下五絶のようです

「不死身の狼男が大暴れ!」

日本の諜報員を手下に
杜龍らカンフーマスターを相手に大暴れ!
中国のマフィアである青幇(チンパイ)も巻き込んで
魔都上海は大混乱となる

さらに物語を彩る美女たちも、わんさかと登場です
やんちゃでツンデレの侯爵令嬢、一条綾子
忠犬のような中華美少女、黄丹(ファンダン)
そして時を超えてよみがえった大神の運命の人
中国茶店の麗人、李麗雪(リーリーシュェ)

往年の伝奇アクション小説のようで
ハラハラ&ワクワクと単純に楽しめます
博学な馳星周のことなので
僕がわからないオマージュも、いろいろと入っているのではないでしょうか

魔都の夜を駆けるウルフガイの活躍に
あなたの心もきっと踊る

作品紹介(出版社より)

「月」を背負う男・大神明の大活劇、直木賞作家のハードアクション大作!
大戦の暗雲が迫る、魔都・上海。帝国陸軍特務機関所属の伊那雄一郎は、田辺少佐から緊急招集を受ける。伝えられたのは、駆け落ちした華族令嬢・一条綾子の身柄を、各国の特務機関や蒋介石隷下の藍衣社に先んじて確保せよという密命だった。しかも、皇室から直接派遣された謎の男・大神明と共に遂行せよという。渋りながらも拝命した伊那であったが、藍衣社の異能戦闘集団を率いる杜龍と四天王に急襲される。死地を救ったのは、身に「月」を背負って人間を遥かに凌駕した膂力で戦う、大神その人であった。やがて、各国の特務機関やマフィアの青幇をも巻き込み、上海租界を血の暴風が吹き荒れる――。最後に勝つのは……誰だ!?

作品データ

タイトル:『月の王』
著者:馳星周
出版社:KADOKAWA
発売日:2022/4/4

作家紹介

馳星周(はせ・せいしゅう)

1965年、北海道生れ。
1996年、日本ミステリ界に衝撃を与えた『不夜城』でデビュー、吉川英治文学新人賞、日本冒険小説協会大賞を受賞する。
1998年、『鎮魂歌―不夜城II―』で日本推理作家協会賞を受賞。
1999年、『漂流街』で大藪春彦賞を受賞する。
主な作品に『ダーク・ムーン』『生誕祭』『長恨歌―不夜城 完結編―』『トーキョー・バビロン』『弥勒世』『エウスカディ』『淡雪記』『光あれ』などがある。

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