【サイドストーリー】『戦争は女の顔をしていない』スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ(著)小梅けいと(画)|女の心は人を愛するように出来ている|

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『戦争は女の顔をしていない』|スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ

【関連作品紹介】

今回ご紹介する一冊は、

スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ 著

小梅けいと

『戦争は女の顔をしていない』(コミック)です。

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【感想】「女の心は人を愛するように出来ている」

前回『同志少女よ、敵を撃て』逢坂冬馬
紹介したので、関連する上記作品についても
ご紹介したいと思います

というか、すごい作品なので
是非書きたいのです!

著者のスヴェトラーナ・アレクシエーヴィチは
ベラルーシ出身のノーベル賞作家です
本書はその代表作となります

時代は第二次世界大戦
舞台は大祖国戦争のソビエト連邦

世界史に類のない
女性兵士について書かれた作品です

まず衝撃的なのは
多くの女性兵士たちが
志願兵であること

徴兵されたのではなく
自らの意志で
戦場に向かったことに
僕は驚きました

彼女たちを駆り立てたもの
その多くは愛国心です

まさしく身も心も
国にささげた彼女たちは
戦場で男性兵士と変わらない
戦果を上げます

当然です
重い剣を振るい
肉体を駆使して戦うのは
昔のこと

引き金を引けば
弾丸は人を殺す
そこに男女の差はありません

「女の心は人を愛するように出来ている」

しかし人を愛する心
思いやりの感性
相手と自分を同一視できる
共感性
それらは男より
女性に多くあるもの
それは戦場に不要なもの

そう、戦場に
女はいないのです

物語はインタビュー形式をとり
何百人の女性兵士に
戦争体験を聞き取ります

それは苦行

深く刻まれた戦争体験は
平和が訪れた今でも
鮮烈に彼女たちの記憶に残り
苛む

漫画化された同書は
小梅けいとの画力で
一撃で僕らを戦場に
魅せる

戦地に佇む彼女たちの
心の動きに
感動せざるをえない
超力作です

作品紹介(出版社より)

第二次世界大戦の真実を明らかにする……

「一言で言えば、ここに書かれているのはあの戦争ではない」……500人以上の従軍女性を取材し、その内容から出版を拒否され続けた、ノーベル文学賞受賞作家の主著。『狼と香辛料』小梅けいとによるコミカライズ。

作品データ

タイトル:『戦争は女の顔をしていない』1巻
著者:スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ
漫画: 小梅けいと
出版社:KADOKAWA
発売日:2020/1/27

タイトル:『戦争は女の顔をしていない』2巻
著者:スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ
漫画: 小梅けいと
出版社:KADOKAWA
発売日:2020/12/26

タイトル:『戦争は女の顔をしていない』3巻
著者:スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ
漫画: 小梅けいと
出版社:KADOKAWA
発売日:2022/3/26

文庫本はこちら↓
タイトル:『戦争は女の顔をしていない』
著者:スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ
出版社:岩波書店
発売日:2016/2/17

作家紹介

スヴェトラーナ・アレクサンドロヴナ・アレクシエーヴィッチ

ベラルーシの作家、ジャーナリスト。
1948年ウクライナ・ソビエト社会主義共和国に生まれる。ベラルーシ人の父とウクライナ人の母をもつ。
ベラルーシ大学でジャーナリズムを専攻し、卒業後はジャーナリストとして活動。
聞き書きを通して、大事件や社会問題を描く。
2015年「チェルノブイリの祈り」でノーベル文学賞受賞。

スヴェトラーナ・アレクサンドロヴナ・アレクシエーヴィッチ の作品紹介

「 死に魅入られた人びと―ソ連崩壊と自殺者の記録(2005年6月)
「チェルノブイリの祈り~未来の物」(2011年6月)
「戦争は女の顔をしていない」文庫(2016年2月)
「ボタン穴から見た戦争――白ロシアの子供たちの証言」(2016年2月)
「セカンドハンドの時代~「赤い国」を生きた人びと」(2016年9月)
「戦争は女の顔をしていない1」コミック(2020年1月)
「戦争は女の顔をしていない2」コミック(2020年12月)
「アレクシエーヴィチとの対話: 「小さき人々」の声を求めて」(2021年6月)

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