【本の感想】『ドヴォルザークに染まるころ』町田そのこ|ここではないどこかに行きたい

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町田そのこ『ドヴォルザークに染まるころ』とミスド

ケイチャン

ケイチャン

【2025年23冊目】

今回ご紹介する一冊は、

町田そのこ 著

『ドヴォルザークに染まるころ』です。

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【感想】「ここではないどこかに行きたい」

ジェンダー小説

廃校となる、小学校で行われる
最後の秋祭りに集う人々を描く
過去と未来が交差し、今が変わる
連作群像劇です

男尊女卑の田舎は、牢獄なのか?

小学6年の時の女性担任教師は
旅の絵描きと駆け落ちしてしまった
幼少期のショッキングな出来事を振り返り
類(るい)さんは思う

私を連れ出して欲しかった

場面が変わり、明日の秋祭りの
準備に追われる母親たちが登場します
・・なんで私(女性)たちばかりが割を食うのか
怒りと諦めの重苦しい空気が漂います

だってここは男尊女卑の田舎だから

そしてやってきた秋祭り当日
思いを残した人々たちは
故郷の小学校で
何を感じ、どう変わるのだろうか・・

「ここではないどこかに行きたい」

それぞれ問題を抱える女性たちが
交代しつつ秋祭りの一日を過ごす
視点は変わるが
一貫して変わらないのが
狭い田舎の世界です

私が正しい

そう信じ疑わない
親世代との確執や
優遇されることにあぐらをかく
身勝手な男性に搾取される
女性たち

ケイチャン

ケイチャン

ううう悲しい

地方から女性たちが
都市に流出する訳です
女性にとって田舎社会は
檻なのですから

でも逃げるだけでいいの?

身体は逃げ出せても
心は故郷に囚われたまま
そんな状態でいいはずない

ケイチャン

ケイチャン

最終話で描かれるストーリは
諦めるな!
戦うんだ!
と、女性たちにエールを送っていました

郷愁を誘う
ドヴォルザークの『家路』

ケイチャン

ケイチャン

故郷を美しいと思うかどうかは
その時の、こころ次第なんでしょうね

ケイチャン

ケイチャン

あなたにとって故郷は
どんな風景ですか?

作品紹介(出版社より)

小学生のとき、担任の先生と町の外からやって来た男が駆け落ちしたのを忘れられない主婦。東京 でバツイチ子持ちの恋人との関係に寂しさを覚える看護師。認知症の義母に夫とのセックスレスの悩みを打ち明ける管理栄養士。父と離婚した母が迎えに来て、まもなく転校することに なる小六の女の子。発達障害のある娘を一人で育てるシングルマザー。
遠き山に日は落ちて――
小さな町で、それぞれの人生を自分らしく懸命に生きる女性たちを描いた感動作。

作品データ

タイトル:『ドヴォルザークに染まるころ』
著者:町田そのこ
出版社:光文社
発売日:2024/11/20

作家紹介

町田そのこ (まちだ・そのこ)

1980年生れ。福岡県在住。
2016年「カメルーンの青い魚」で「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞。
2021年『52ヘルツのクジラたち』で本屋大賞を受賞。
他著書に『ぎょらん』『うつくしが丘の不幸の家』『コンビニ兄弟 テンダネス門司港こがね村店』『星を掬う』などがある。

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町田そのこの作品紹介

『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』(2017年8月)
『ぎょらん』(2018年10月)
『うつくしが丘の不幸の家』(2019年11月)
『52ヘルツのクジラたち』(2020年4月)
『コンビニ兄弟―テンダネス門司港こがね村店―』(2020年7月)
星を掬う』(2021年10月)
『コンビニ兄弟2―テンダネス門司港こがね村店―』(2021年12月)
宙ごはん』(2022/05/27)
『ぎょらん』2023/6/26
『コンビニ兄弟3:―テンダネス門司港こがね村店』2023/8/29
夜明けのはざま』2023/11/8
わたしの知る花』2024/7/22
ドヴォルザークに染まるころ』2024/11/20

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