【本の感想】『谷から来た女』桜木紫乃|その女性は、神秘

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谷から来た女|桜木紫乃

ケイチャン

ケイチャン

【2024年95冊目】

今回ご紹介する一冊は、

桜木紫乃 著

『谷から来た女』です。

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【感想】「その女性は、神秘」

アイヌ小説

この女を見よ!
深い顔立ちに漆黒の髪
その背中に民族の誇りを背負う
デザイナー赤城ミワの物語です

差別の壁は、あなたには見えない

1人の魅力的な女性、赤城ミワ
アイヌ民族伝統の紋様を使い
さらに独自のアレンジを加えて
評価を受けつつあるデザイナーです

そして独特の雰囲気があります
赤のドレスをまとう存在感
はっきりと主張する意志の強さ
1本の強い柱が背すじを貫いているよう

ケイチャン

ケイチャン

引き寄せられずにいられない女性ですね

物語はミワの周りの人々の目線で
ミワと自分
アイヌと和人
2つの存在を対比するように進む

それは圧倒的多数のマジョリティのなかで
異彩を放つマイノリティの生きる姿
彼女が背負うアイヌの伝統は
福音なのか?呪いなのか?
それは誰にもわからない

「その女性は、神秘」

ミワの魅力に誰もが惹きつけられる
軽い好奇心から近づいて
その黒い瞳に見つめられると
深く深く沈み込まれてしまう

北海道大学の経済学教授
デザイン学校の同期生
レストランのシェフ
気が付くとミワと深く付き合っている

神秘の女性、ミワ
彼女の個性がそのまま
本作の魅力に繋がっています
影と光があり火のような女性です

しかし彼女には壁がある

特に男性はその壁に阻まれて
最後の一歩を進めることが出来ない
ミワに惹かれているのに
一緒にはならない男たちを
根性なしめ、と思ってしまいます

ケイチャン

ケイチャン

でも彼女はどう思っているんだろう?

ミワの思いは語られることはなく
人を理解することが出来ない
断絶感が漂ったまま
物語は終える

ケイチャン

ケイチャン

容易く人を理解することは出来ない

…そんな思いで本書を閉じました

日本の先住民族アイヌの女性の物語
ぴったりと分かり合えなくとも
寄り添える一瞬がある・・
その喜び哀しみを描き
心が深くざわめきました

ケイチャン

ケイチャン

別に先住民族だからって
壁があるわけではなくて
誰しもが自分で壁を作り
他人に壁を作っているのかも
知れませんね

ケイチャン

ケイチャン

あなたにはその壁を越えて
一緒にいたい人が
いますか?

作品紹介(出版社より)

「わたしの背中、こわいですか」気高く生きる女との邂逅を描いた大人の物語

アイヌ紋様デザイナー・赤城ミワ。
彼女といると、人は自分の「無意識」に気づいてしまう。
自分の気持ちに、傷ついてしまう――。
そして、彼女は去ってゆく。忘れられない言葉を残して。

桜木紫乃の真骨頂、
静かに刺してくる大人の物語。

(収録作)
・「谷から来た女」…2021年。大学教授の滝沢は、テレビ局の番組審議会でミワと出会う。大人の恋愛を楽しむ二人だったが…。

・「ひとり、そしてひとり」…2004年。アクセサリーショップとセクシーパブで働く千紗は、夜のすすきのでデザイン学校の同期・ミワと再会する。

・「誘う花」…1999年。教育通信の記者・譲司は、取材で出会ったミワの弟・トクシがいじめられていることに気づく。

・「無事に、行きなさい」…2015年。レストランシェフの倫彦は、ミワとの将来を信じながらも、どこか遠さを感じている。

・「谷へゆく女」…1982年。母を亡くした中川時江は、高校卒業と同時に、文通相手の赤城礼良を頼って北海道へ向かう。

・「谷で生まれた女」…2023年。北海道テレビプロデューサーの久志木は、ミワのドキュメンタリーを撮影するが…。

作品データ

タイトル:『谷から来た女』
著者:桜木紫乃
出版社:文藝春秋
発売日:2024/6/10

作家紹介

桜木 紫乃(さくらぎ・しの)


1965年、北海道釧路市生まれ。
2002年、「雪虫」でオール讀物新人賞を受賞し、2007年、同作を収録した単行本『氷平線』でデビュー。
2013年、『ラブレス』で島清恋愛文学賞受賞。
『ホテルローヤル』で直木賞を、2020年、『家族じまい』で中央公論文芸賞を受賞。
ほかの著書に『硝子の葦』『起終点駅(ターミナル)』『裸の華』『ふたりぐらし』など多数。『孤蝶の城』は『緋の河』の第二部にして完結篇である。

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桜木紫乃の作品紹介

『風葬』(2008/10/09)
『恋肌』(2009/12/23)
『凍原』(2009/10/14)
『硝子の葦』(2010/09/01)
『ラブレス』(2011/08/26)
『ワン・モア』(2011/11/29)
『起終点駅(ターミナル)』(2012/04/01)
『ホテルローヤル』(2013/01/04)
『無垢の領域』(2013/07/31)
『蛇行する月』(2013/10/16)
『星々たち』(2014/06/04)
『ブルース』(2014/12/05)
『それを愛とは呼ばず』(2015/03/11)
『霧 ウラル』(2015/09/24)
『裸の華』(2016/06/24)
『氷の轍』(2016/09/27)
『砂上』(2017/09/29)
『氷平線』(2007/11/28)
『ふたりぐらし』(2018/07/31)
『光まで5分』(2018/12/13)
『緋の河 』(2019/06/27)
『家族じまい』 (2020/06/05)
俺と師匠とブルーボーイとストリッパー』 (2021/02/26)
ブルースRed』(2021/09/24)
孤蝶の城』( 2022/05/18)
ヒロイン』(2023/9/15)
谷から来た女『『風葬』(2008/10/09)
『恋肌』(2009/12/23)
『凍原』(2009/10/14)
『硝子の葦』(2010/09/01)
『ラブレス』(2011/08/26)
『ワン・モア』(2011/11/29)
『起終点駅(ターミナル)』(2012/04/01)
『ホテルローヤル』(2013/01/04)
『無垢の領域』(2013/07/31)
『蛇行する月』(2013/10/16)
『星々たち』(2014/06/04)
『ブルース』(2014/12/05)
『それを愛とは呼ばず』(2015/03/11)
『霧 ウラル』(2015/09/24)
『裸の華』(2016/06/24)
『氷の轍』(2016/09/27)
『砂上』(2017/09/29)
『氷平線』(2007/11/28)
『ふたりぐらし』(2018/07/31)
『光まで5分』(2018/12/13)
『緋の河 』(2019/06/27)
『家族じまい』 (2020/06/05)
俺と師匠とブルーボーイとストリッパー』 (2021/02/26)
ブルースRed』(2021/09/24)
孤蝶の城』( 2022/05/18)
ヒロイン』(2023/9/15)
谷から来た女』2024/6/10

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