ケイチャン
【2024年83冊目】
今回ご紹介する一冊は、
スタニスワフ・レム 著
『ソラリスの陽のもとに』です。
もくじ
【感想】「自分の内宇宙を探索するSF」
惑星ソラリスを覆う意志を持つ、赤い海
その研究者に訪れる、お客さんは
死人だった・・
1961年発表の名作エスエフです
ケイチャン
LCLの赤い海を連想するのは、エヴァ世代だからww
惑星ソラリスの海は意志を持つ生物なのか?
100年に渡って観測を続ける研究所に
心理学者のクリス・ケルビンがやってくる
場面から物語がスタートします
ケイチャン
・・誰も出迎えてくれないんだが?怒
遠路はるばる地球からやってきたのに
出迎えるどころか、不審な対応をする研究者たち
それどころか研究施設は荒れ放題の様子で
しかも3人しかいない研究者の1人が死んでいた
ケイチャン
・・いったい何が起こっているんだ?
その理由はほどなく判明します
クリスのもとにやってきたのは
死んだ当時そのままの妻でした
そうです、この研究所は今まさに
研究者のもとに訪れる『お客さん』
のために恐慌状態にあったのです
しかし、どうして?
何故、なんのために?
ソラリスの海はこんなことをするのか?
そして僕はどうすればいいのだろう?
あらゆる謎は解決の糸口すら見えず
クリスたち3人の研究者たちは
最終手段としての実験を
行うのでした
ケイチャン
ロングヒットの名作SFということで
期待して読み始めましたが
自分の想像とぜんぜん違う
内容と展開にびっくりしました
クリスと恋人のハリーとの
緊迫感のある生活が描かれます
ハリーはかつてクリスの冷たい
態度から自殺しました
深く自分の責任を感じるクリス
よみがえったハリーに混乱します
また復活したハリーも
クリスのそんな態度に傷つき
自分の存在に疑問を持ちます
そして再び、自殺してしまう
ビートルくん
重厚な人間ドラマが描かれます
そしてソラリスの海
まったく未知なるもの
けっして理解の及ばぬもの
そんな存在です
この未知で理解不能な存在に
人間はどう向き合えばよいのか?
これが本書のテーマになりますが
深淵を覗き込むような壮大なテーマに
僕の頭はくらくらしてしまいました
SFという舞台上で繰り広げられる
深く内面に降りて行くような人間ドラマと
巨大な神と対決するような壮大なテーマの
激しい落差に眩暈を覚えます
ケイチャン
さすが長く読み継がれる作品だと
感心しました
静かに終わるラストシーンも印象的で
穏やかに打ち寄せる
海の波を
あきることなく見るようでした
ケイチャン
あなたも僕と一緒に
『ソラリス学』を
学んでみませんか?
作品紹介(出版社より)
すみれ色の霞におおわれ、ものうげにたゆたう惑星ソラリスの海。だが、一見何の変哲もなく見える海も、その内部では、一種の数学的会話が交わされ、自らの複雑な軌道を自己修正する能力さえ持つ、驚くべき高等生命だった!
ポーランドのSF作家スタニスワフ・レムが1961年に発表したSF小説。1972年にアンドレイ・タルコフスキーによって映画化される。
作品データ
タイトル:『ソラリスの陽のもとに』
著者:スタニスワフ・レム
出版社:早川書房
発売日:1977/4/1
作家紹介
スタニスワフ・レム
1921 年、旧ポーランド領ルヴフ(現在ウクライナ領リヴィウ)に生まれる。
クラクフのヤギェロン大学で医学を学び、在学中から雑誌に詩や小説を発表し始める。
地球外生命体とのコンタクトを描いた三大長篇『エデン』『ソラリス』『インヴィンシブル』のほか、『金星応答なし』『泰平ヨンの航星日記』『宇宙創世記ロボットの旅』など、多くのSF 作品を発表し、SF 作家として高い評価を得る。
同時に、サイバネティックスをテーマとした『対話』や、人類の科学技術の未来を論じた『技術大全』、自然科学の理論を適用した経験論的文学論『偶然の哲学』といった理論的大著を発表し、1970 年には現代SFの全2 冊の研究書『SF と未来学』を完成。
1970 年代以降は『完全な真空』『虚数』『挑発』といったメタフィクショナルな作品や文学評論のほか、『泰平ヨンの未来学会議』『泰平ヨンの現場検証』『大失敗』などを発表。小説から離れた最晩年も、独自の視点から科学・文明を分析する批評で健筆をふるい、中欧の小都市からめったに外に出ることなく人類と宇宙の未来を考察し続ける「クラクフの賢人」として知られた。
2006 年に死去。