ケイチャン
【2024年63冊目】
今回ご紹介する一冊は、
貴志祐介 著
『兎は薄氷に駆ける』です。
もくじ
【感想】「走り出したら止まることなどできない」
父の無罪を証明するための
イチかバチかの大勝負は
どう転ぶ?
驚異の展開を見せる法廷小説です
警察の取調室から始まります
警官の高圧的な取り調べを受ける
主人公、英之(ひでゆき)くんは
なにかを企んでいる様子で
緊張の高まるスタートです
無理やり作られた供述調書に
署名&拇印をされ、はい自白完了
あとは検察のお仕事さ
・・しめしめ、企みどおりさ・・
警察の供述調書を鵜呑み・丸呑みした
検事はろくに話を聞くことなく起訴し
かくして裁判が始まる
・・さあ、大勝負の始まりだ・・
物語はこの裁判を手伝うことになった
元サラリーマンの垂水(たるみず)さんの
視点を基にして、弁護士・恋人など関係者が
事件の真相に迫る様子が描かれるのだが
なにかが不自然なんだ
秘した思惑が見え隠れするなか
裁判は2転・3転と英之くんの
作戦どおりに進むのだが・・
ケイチャン
英之くんはホントに無罪なのか?
ケイチャン
うむむむ~、と
冒頭から唸るような読み応えです
ケイチャン
貴志祐介作品は一筋縄ではいかない
高まる期待感
物語の前半は
犯人はコイツに違いないという
警察・検察の取り調べに苦しむ
ケイチャン
英之くんの姿に憤りを覚えます
しかし中盤からは
逆転劇の始まりです
警察の証拠を打ち破り
検察の論拠を無効とする
ケイチャン
展開に胸がス~とします
仕組まれたような
冤罪ストーリの構図
こんな偶然なんて
ありえるのだろうか?
いよいよ物語も終盤
明かされる真相は
復讐を越えた
まさに狂気でした
自らを餌にして
憎むべき敵を引きずり出す
1手間違えば破滅まちがいない
ケイチャン
薄氷で踊る彼らの足元で
ひび割れる音が聞こえてくるようでした
作品紹介(出版社より)
父の冤罪をすすぐため、
青年は身命を賭して復讐を誓った。
――最後に暴かれるのは誰の嘘なのか!?ある嵐の晩、資産家男性が自宅で命を落とす。死因は愛車のエンジンの不完全燃焼による一酸化炭素中毒。
容疑者として浮かんだ被害者の甥、日高英之の自白で事件は解決に向かうと思われたが、それは15年前の殺人事件に端を発する壮大な復讐劇の始まりだった。
警察・検察、15 年前の事件の弁護も担当した本郷、事件調査を請け負う垂水、恋人の千春……。それぞれの思惑が絡み合い、事件は意外な方向に二転三転していく。稀代のストーリーテラーが満を持して放つ、これぞ現代日本の”リアルホラー”!
作品データ
タイトル:『兎は薄氷に駆ける』
著者:貴志祐介
出版社:毎日新聞出版
発売日:2024/3/4
作家紹介
貴志祐介(きし・ゆうすけ)
1959年大阪府生まれ。京都大学経済学部卒業。
1996年、日本ホラー小説大賞長編賞佳作を受賞した「ISOLA」が『十三番目の人格ISOLA』と改題後、刊行される。
1997年『黒い家』で第4回日本ホラー小説大賞を受賞。
2005年『硝子のハンマー』で第58回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)受賞。
2008年『新世界より』で日本SF大賞。
2010年『悪の教典』で山田風太郎賞を受賞。
他の著書に『クリムゾンの迷宮』、『青の炎』、『鍵のかかった部屋』、『雀蜂』などがある。
貴志祐介の作品
『黒い家』 1997/06/01
『天使の囀り』 1998/07/01
『青の炎』 1999/10/01
『ISOLA-十三番目の人格-』 1999/12/22
『クリムゾンの迷宮』 2003/02/01
『硝子のハンマー』 2004/04/21
『新世界より 上・下』 2008/01/24
『狐火の家』 2008/03/01
『悪の教典 上・下』 2010/07/29
『ダークゾーン』 2011/02/11
『鍵のかかった部屋』 2011/07/26
『悪の教典』 2011/11/14
『ドキュメント電王戦: その時、人は何を考えたのか』 2013/08/29
『極悪鳥になる夢を見る 貴志祐介エッセイ集』 2013/09/20
『エンタテインメントの作り方』 2015/08/26
『ミステリークロック』 2017/10/20
『罪人の選択』 2020/03/27
『我々は、みな孤独であ』る 2020/09/15
『天使の囀り』 (1) 2020/12/07
『天使の囀り』 (2) 2021/06/18
『秋雨物語』 2022/11/29
『梅雨物語』 2023/07/14
『兎は薄氷に駆ける』2024/3/4