【本の感想】『ジャガー・ワールド』恒川光太郎|しきたりに挑む勇気

【2025年139冊目】
今回ご紹介する一冊は、
恒川光太郎 著
『ジャガー・ワールド』です。
【感想】「しきたりに挑む勇気」
この世界を守るためには
生贄が必要なのだ
さらわれた子ども、戦士、神官
残虐な王が統べる王国の群像劇です
そのしきたりは、正しいのか?
熱帯の密林に築かれた王国
マヤ文明
心躍るロマンがありますが
恐ろしい習慣もあります
生贄のピラミッド
生きたまま胸を裂き
心臓を取り出す
生贄の儀式
さらにその肉を食う
人肉食の習慣

うひー!怖いよ
物語は生贄用の人が
狩られるシーンから始まる
ここは情け容赦ない世界
弱き者は文字通り
喰われるのだ
残酷な王が統べるエルテカ王国
そこに住む様々な立場の者が
かわるがわる主人公を務める
群像劇として物語は進む
敵も立場が変われば、いい人
さらわれた子ども、スレイ
生贄用に狩られた少年は
幸運にも生き延び
戦士として成長する
・・運命を切り開くんだ
王国の戦士、シベリアとドルコ
戦いに意義を見だす貴族戦士と
わけもわからないままの奴隷戦士
似ているようで違う2人の運命が
交差し、別れてゆく
謎めいた大神官フォスト・ザマ
幾度も死線を乗り越えてゆく
彼女の人生に驚愕します
・・生きることから逃げない
魅力的な人物があまた登場し
生き生きと、動く動く!
それぞれの人生を賭けて
王国の興亡に関わってゆく
ダイナミックな展開に心が躍る
そして登場するのが天界の声を
語る、レリイです
神は生贄なんか望んでない
生贄は権威のためにあるのだ、と
・・しきたりを、変えようよ
やがて物語は王国を守る者と攻める者
とに分かれての大戦争となってゆく
感情移入した登場人物たちの運命に
心が揺さぶられます

信じる道をゆく者が、尊い!
生贄と人食のしきたりは変われるのだろうか?

それぞれの生きる道を描く戦士たちの密林の物語でした

残酷な物語を淡々と軽調に書く恒川光太郎の文章が
僕は好きなんですね

あなたは『しきたり』に疑問を感じたことはありませんか?
作品紹介(出版社より)
鈍器本なのに一気読み!読み終えたら世界が変わる、徹夜本。人生ベストの読書体験がここに。
数千年前、遥か海の向こう。密林の奥では数多の文明が花開き、そして滅んでいった。
小さな島で生まれ育った少年・スレイの平和な日々は、エルテカ王国の「生贄攫い」によって一変する。生きたまま胸を開かれ、心臓を太神に捧げる生贄の儀式。ある晩、不思議な女性の助けによってかろうじて逃げ出したスレイ。彼女は、叡智を司る“ウェラス族”だった。
生贄屋敷から逃れた少年、最強無敵の怪力戦士、謎に包まれた最高神官、反生贄思想を語る赤いマントの少年。それぞれの人生が交叉するとき、世界の運命が大きく変わる。
「ジャガーは戦いの神であった。
人々はジャガーを畏怖し、崇め、戦士は己のうちにジャガーの魂を宿そうとした」
作品データ
タイトル:『ジャガー・ワールド』
著者:恒川光太郎
出版社:講談社
発売日:2025/10/22
作家紹介
恒川 光太郎(つねかわ・こうたろう)
1973年東京都生まれ。
2005年「夜市」で第12回日本ホラー小説大賞を受賞し、デビュー。同作は単行本化され、第134回直木三十五賞候補になる。
2014年『金色機械』で第67回日本推理作家協会賞を受賞。
他の著作に『雷の季節の終わりに』『草祭』『秋の牢獄』『竜が最後に帰る場所』『無貌の神』『滅びの園』などがある。
恒川 光太郎 の作品紹介
『夜市』(2005年10月)
『雷の季節の終わりに』(2006年10月)
『秋の牢獄』(2007年10月)
『草祭』(2008年11月)
『南の子供が夜いくところ』(2010年2月)
『竜が最後に帰る場所』(2010年9月)
『異神千夜(金色の獣、彼方に向かう)』(2011年11月)
『ゆうれいのまち』(2012年2月)
『月夜の島渡り(私はフーイー)』(2012年11月)
『金色機械』(2013年10月)
『スタープレイヤー』(2014年8月)
『ヘブンメイカー– スタープレイヤー2』(2015年11月)
『無貌の神』(2017年1月)
『滅びの園』(2018年5月)
『白昼夢の森の少女』(2019年4月)
『真夜中のたずねびと』(2020年9月)
『化物園』(2022年5月)
『箱庭の巡礼者たち』(2022年7月)
『ジャガー・ワールド』2025/10/22


