ケイチャン
【2024年90冊目】
今回ご紹介する一冊は、
金子玲介 著
『死んだ山田と教室』です。
もくじ
【感想】「高校生活は夏祭り」
クラスの人気者が死んだ
けど死んだと思ったら生き返った
教室のスピーカーから死んだ山田が
しゃべりまっくてくるんだ・・
おバカで不毛な男子高校生活を描く物語です
ケイチャン
僕も男子高校でした!
沈鬱な男子高校の教室から物語はスタートします
クラスメイトの突然の死にショックが抜けない
穂木高校2年E組の生徒たち
お通夜に参加したものの事態を受け入れられません
だって山田はクラス1の人気者だったんだよ!
心機一転にと担任教師が席替えを提案するものの
まったく乗り気になれない生徒たち
その時スピーカーから、死んだ山田が話しかけてくるんだ
・・席替えは2Eの最強の配置にしようぜ!、と
ケイチャン
とっぴな展開に、ワクワクするね!
なぜスピーカーから山田が話しかけてくるのか?
少し動揺したものの、あっさりと事態を受け入れる
クラスメイトたち
こうして2Eの教室は再び
山田を受け入れるのでした(死んでるけどな笑)
物語の前半は、おバカで不毛な
男子高校生たちの日常と会話で
ストーリーは進みます
文化祭の『山田カフェ』って、ナニコレ!?
内輪のネタで盛り上がる
傍から見たら寒いノリは
まさに男子校ってかんじですね
しかし時は過ぎ2Eのクラスメイトが
進級しても、さらに卒業しても
山田は成仏しない
・・山田ア、いつまで教室に、いるんだい?
山田が生き返った!
と始めは喜ぶクラスメイトたちが
この状態に慣れ、さらに飽きてゆく様子が
寂しい・・
ケイチャン
一度きりの人生
ましてや勉強や部活に忙しい高校生なら
仕方ないことかもしれませんね
クラスメイトたちは
進級してからはあまり
卒業してからはぜんぜん
旧2E教室の山田に会いに来なくなる
しかし1人だけ
けっして山田を忘れない者がいた
それが同じ中学校からの友人の
和久津くんでした
物語の後半は
山田との交流を続けようとして
奮闘する和久津くんの視点で
ストーリーが進んでゆく
そして和久津が念願の教師となり
穂木高校へ戻って来た時に
山田の死の真相と
山田の本当の気持ちを
知ることとなるんだ・・
だんだんと離れていくクラスメイトたちに
薄情なヤツらだなあ!
山田が可哀相だなあ!
と思っていたら
和久津くんの登場で気持ちが一変しました
ケイチャン
友達はたった1人で十分じゃないか
クラスメイト大好き2Eは最強!
という山田ですが
全員と仲良しだなんてキモチワルイ
と、思ってしまうんだ
ラストシーンで思いのたけを
ぶつけ合う山田と和久津
1人しかいない親友を得たと
山田には思ってもらいたい
わあわあと過ごした高校生活を
今になって思い出してみると
夏祭りのようでした
祭りが終わって一人また一人と
みんなどこかに行ってしまう
ケイチャン
寂しいようだが
思い出には残る、夏祭り
和久津くんは祭りから帰らまいと
ポツンと1人残った者のようでした
おバカで不毛な男子校生活を
コミカルでちょっと悲しく描く
学校の幽霊の物語
ケイチャン
あなたには今でも会いに来てくれる
友達がいますか?
作品紹介(出版社より)
自分はなぜ生きているのか、自分はなぜ死なないのか、逡巡の中にいるすべての人へ。私がずっとデビューを待ち望んでいた新人の、ユーモアと青臭さと残酷さと優しさが詰め込まれた快作です。ーー金原ひとみ
夏休みが終わる直前、山田が死んだ。飲酒運転の車に轢かれたらしい。山田は勉強が出来て、面白くて、誰にでも優しい、二年E組の人気者だった。二学期初日の教室。悲しみに沈むクラスを元気づけようと担任の花浦が席替えを提案したタイミングで教室のスピーカーから山田の声が聞こえてきたーー。教室は騒然となった。山田の魂はどうやらスピーカーに憑依してしまったらしい。〈俺、二年E組が大好きなんで〉。声だけになった山田と、二Eの仲間たちの不思議な日々がはじまったーー。
作品データ
タイトル:『死んだ山田と教室』
著者:金子玲介
出版社:講談社
発売日:2024/5/15
作家紹介
金子玲介(かねこ・れいすけ)
1993年神奈川県生まれ。慶應義塾大学卒業。
「死んだ山田と教室」で第65回メフィスト賞を受賞。同作は2024年5月に単行本として刊行予定。
金子玲介の作品紹介
『死んだ山田と教室』2024/5/15