ケイチャン
【2023年152冊目】
今回ご紹介する一冊は、
夢枕獏 著
『陰陽師 烏天狗ノ巻』 です。
もくじ
【感想】「呪とは、生の在りかた」
シリーズ第18巻
平安時代の京で
陰陽師の安倍晴明(あべの せいめい)と
武士の源博雅(みなもとの ひろまさ)が
怪異と対峙する幽玄な物語です
あやしく美しい、怪異奇譚
僕が高校生の頃から
読み続けている陰陽師シリーズ
これだけ長く付き合っていると
もはや現実の人たちのように
登場人物たちが近く感じられます
また会えたね・・
ってな、かんじです
さて8つの短編からなる本作
闇の陰陽師、蘆屋道満(あしや どうまん)
虫愛ずる姫、露子(つゆこ)姫など
準レギュラーの面々にも再会出来ました
ここで語られるのが
人と妖の世界の
不条理
命の尊さと、はかなさ
欲
そして、愛など
人の根源に関わるものごとです
安倍晴明と源博雅の
絶妙なコンビが醸し出す
やりとりが、ホント好き!
本作ではさらに愛が深まった感があります
耽美でありながら
清流のような凛々しさもあり
でもいちゃいちゃしてるよーな
親密さにニヤケちゃったりして
ああもう、最高!笑
博雅が名笛『葉二(はふたつ)』を吹き
清明がうっとりと聞き惚れている
ところを想像すると
僕の心までどこか遠くに
運ばれてしまいそうです
さて8作のうち
僕がいちばん気に入ったのは
『按察使大納言』でした
ジブリ映画のナウシカを連想させる
露子姫がお気に入りキャラなんですが
彼女と父の親子愛に
うるるっとなりそうでした
普遍的なテーマを
幻想的な物語で描く
このシリーズと
まだまだ付き合っていきたいものです
作品紹介(出版社より)
「晴明よ、おまえ、おれのことが好きであろう」
「もしも、おれが先に死んだら、いったいこの世のたれが、ここに座っておまえの酒の相手をするというのだ」――。
シリーズ第18巻となる最新作には、衝撃的な展開でファンを沸かせた「梅道人」を収録。晴明と博雅の移りゆく気持ちと、変わらない絆とは……。
さらに構想10年・蘆屋道満を主人公に据えた「殺生石」や、動く不動明王にまつわる謎を解く「ちび不動」など、傑作ぞろいの8編を集めました。
11月28日にはNetflixでアニメ版「陰陽師」が独占配信開始!
世界中で愛される「陰陽師」シリーズの”いま”を、味わってみてください。〈目次〉
兼家奇々掻痒
金木犀の夜
ちび不動
媚珠
梅道人
殺生石
哪吒太子
按察使大納言
作品データ
タイトル:『陰陽師 水龍ノ巻』
著:夢枕獏
出版社:文藝春秋
発売日:2023/10/6
作家紹介
夢枕獏(ゆめまくら・ばく)
1951年 神奈川県生れ。
1977年『カエルの死』でデビュー。
1984年に発表した『魔獣狩り 淫楽編』とそれに続くサイコダイバーシリーズで、伝奇小説の新たな地平を切り開き、ベストセラー作家となる。
1989年『上弦の月を喰べる獅子』で日本SF大賞受賞。
1998年『神々の山嶺』で柴田錬三郎賞を受賞。
2011年から2012年にかけて、『大江戸釣客伝』で、泉鏡花文学賞、舟橋聖一文学賞、吉川英治文学賞を受賞する。近著に『大江戸恐龍伝』全5巻がある。「キマイラ」「餓狼伝」「陰陽師」「闇狩り師」など、多くの人気シリーズを持つ。