【本の感想】『サムライ漂海記』天野純希|野蛮人は、どっちだ!?

【2025年117冊目】
今回ご紹介する一冊は、
天野純希 著
『サムライ漂海記』です。
【感想】「野蛮人は、どっちだ!?」
俺は何故戦うのだろう?
戦国時代に奴隷兵士として
大航海時代の世界各地を
転戦したサムライの物語です
神と国のためなら何してもOKなの?
隻眼の少年武士が主人公です
幼いころに両親を失い主君に
養育された八弥(はちや)くん
従者に強者の庄左(しょうざ)さん
を付けられるほど期待されています
織田vs毛利の合戦
後に第一次木津川の戦いと呼ばれる
海戦で主君の真鍋貞友は死亡
八弥も負傷し庄左と一緒に
敵方の捕虜となってしまった
海外に売り飛ばされてしまう
この時代の貿易の主品目に
人間がありました
戦乱で捕まった人が多く
海外に売られたようです
奴隷兵士としてイスパニア(スペイン)
買われた八弥と庄左はフィリピンの
マニラに連れてこられた
植民地支配の尖兵として
戦いの日々が始まるんだ
カトリック教国のイスパニアのため
原住民や海賊またイスラム教徒と戦う
八弥と庄左ですがイスパニアの卑怯で
残忍な行いに嫌気がさしてしまう
俺たちを人と見ていないんだ
カトリックでない異教徒は
野蛮人である
だから騙しても殺しても
いいのだ!

とても受け入れられない・・
そして2人はイスパニアと対立する
イングランドの兵士となって
残虐な植民地支配に対して
反抗をするんだ
大航海時代のヨーロッパ各国の
植民地支配が酷すぎる
神の名のもとにどうして
こんなことが出来るのか

同じ人とは思ってないからだね
またヨーロッパの各国
イスパニアとイングランドの争いが
醜すぎます
国が違うから略奪してもOKって
いったいどんな感覚なのか?

この時代の船には乗りたくありません
クライマックスは有名な
アルマダの海戦です
でもイングランドが勝ち
めでたしめでたし、では
終わりませんでした
イスパニアの代りに植民地支配するだけです
大航海時代の戦争と
キリスト教の支配を
描いた波瀾万丈な本作

ホントにこんなサムライがきっといたんじゃないかな

あなたが大航海時代に生まれていたら
冒険の船旅に出ましたか?
作品紹介(出版社より)
「神だの正義だのともっともらしい理屈をつける連中には、心底虫唾が走る」 戦国時代。戦に敗れ捕らえられた少年武士・真鍋八弥。南蛮商人に売られ海を渡り、奴隷兵士となった彼は、世界中から富を吸い上げ繁栄を謳歌するイスパニア(スペイン)海軍の一員として各地を転戦し、名を上げていく。 しかし。 彼が植民地で目にしたのは、残酷で無慈悲な現実だった。 テンポ良い展開。敵味方双方に登場する魅力溢れるキャラクター。息を呑む戦闘シーン。 若きサムライの苦悩と激情を描く滾る歴史冒険譚、爆誕!
作品データ
タイトル:『サムライ漂海記』
著者:天野純希
出版社:光文社
発売日:2025/8/20
作家紹介
天野純希(あまの・すみき)
1979年、愛知県名古屋市生れ。
2007年、『桃山ビート・トライブ』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。
2013年、『破天の剣』で中山義秀文学賞受賞。
2019年、『雑賀のいくさ姫』で日本歴史時代作家協会賞作品賞を受賞。
他の著書に『青嵐の譜』『南海の翼 長宗我部元親正伝』『戊辰繚乱』『信長 暁の魔王』『覇道の槍』『北天に楽土あり 最上義光伝』『蝮の孫』『燕雀の夢』『信長嫌い』『有楽斎の戦』『もののふの国』などがある。
天野純希の作品紹介
『桃山ビート・トライブ』2008/1/5
『破天の剣』2012/12/3
『南海の翼 長宗我部元親正伝』2010/11/26
『戊辰繚乱』2013/3/1
『信長 暁の魔王』2013/11/26
『覇道の槍』2014/4/1
『北天に楽土あり 最上義光伝』2015/10/9
『蝮の孫』2016/12/15
『燕雀の夢』2017/2/25
『信長嫌い』2017/5/22
『有楽斎の戦』2017/8/23
『もののふの国』2019/5/8
『信長、天が誅する』2019/11/27
『紅蓮浄土 石山合戦記』2020/6/2
『乱都』2020/10/23
『もろびとの空 三木城合戦記』2021/1/26
『猛き朝日』2023/2/20
『信長嫌い』(上・下)2023/11/20
『サムライ漂海記』2025/8/20
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その他多数

