ケイチャン
【2024年94冊目】
今回ご紹介する一冊は、
山内マリコ 著
『マリリン・トールド・ミー』です。
もくじ
【感想】「マリリン・モンローの映画を観たことがありますか?」
コロナ禍まっただ中のステイホームな私に
あのハリウッド女優から、電話がきた!?
セックス・シンボルからフェミニスト・アイコンへ
閉鎖的な男社会を突破する女性の物語です
もうすぐ東京で女子大生だ!!
ワクワクと期待を膨らませる
瀬戸杏奈(せと あんな)ちゃんですが
あれれ?妙な病気が流行りだしたよ?
1人暮らしの狭いアパートでステイホーム生活となる
憧れの大学ライフがなんてこった!
キャンパスは封鎖されて
新大学生の杏奈ちゃんは
しばらくほっとかれて
やっと始まるのがリモート授業です
ケイチャン
もう、寂し過ぎるんだが・・涙
あまりの寂しさに心が挫けそうになったとき
母から貰った古いピンクの電話が鳴るんだ
・・ハロー、私はマリリン・モンローよ!
そう、みんな知ってるハリウッドの伝説的女優が
杏奈ちゃんに暇電を掛けてきたんだ
互いに愚痴り合う、杏奈とマリリン
妄想が現実を侵食するような
マリリン・モンローとの会話ですが
いいんです!
寂しい時は、いろんなことが起きるんだ
さて2年がたちコロナにもみんな慣れて
ステイホームは終わり大学も再開したが
杏奈ちゃんは、馴染めない
友達はいないし、いまさらサークルにも入れないし
・・私はどうすればいい?
そんな時、思い出すのがマリリン・モンローとの会話です
低賃金で映画会社に搾取されて
セックス・シンボルとゆーラベルを張られて
・・私はおっぱいやお尻だけの、おバカな金髪じゃない!
そう、彼女は怒っていたんだ
そして杏奈は決意する
ジェンダーのゼミに入って
マリリンを研究するんだ!
それは未だに低く見られている
現代の女性を見直すことになるのでした
ぷわっと浮き上がるスカートを
嬉しそうに抑えるマリリン・モンロー
みなさん皆が知っている
有名すぎるシーンですね
ケイチャン
みんなマリリン・モンローを知っている
けど僕は彼女の映画を1本も観たことがありません
ただ切り取られた場面を繋いでイメージを持っている
映画会社が意図的に作った〇ックス・シンボルのイメージを・・
ケイチャン
みんな本当のマリリン・モンローを知らない
杏奈はマリリン・モンローを調べるうちに
これは現代の日本にも通じるものがあると
気が付きます
それが男性優位な社会構造です
プーくん
・・私たち女性は、搾取されるばかりなんだ
コロナ禍のステイホームで
すっかり内気で消極的になった杏奈ちゃん
キャンパス封鎖で失った2年が、悲しいです
それでも少しずつ大学に通い
ゼミで仲間と討論するうちに
じょじょに気力と活力を取り戻す
だがもうすぐに卒業の時が迫る
たった2年しか大学に行ってないのに?
もう就職活動しなきゃいけないの?
でも私はまだ子供で何を選んでいいかわからない
コロナ世代の大学生活を描く本書
マリリン・モンローというアイコンを使い
戦後のハリウッドと、現代の日本に共通する
ジェンダー問題を展開してゆく
ケイチャン
たいへん読み応えがありました
少しづつ成長してゆく杏奈の姿も爽やかで
思わず応援したくなる青春小説でもあります
大学時代の僕も杏奈ちゃんのように
悩み・苦しんでいたのか?
もう昔過ぎて忘れちゃいました笑
ケイチャン
あなたのモラトリアム時代は
どんなふうでしたか?
作品紹介(出版社より)
友達なし、恋人なし、お金なし。上京直後にコロナ禍に見舞われた大学生・瀬戸杏奈。孤独を募らせる彼女のもとに、ある夜、伝説の大女優から電話がかかってきて――。運命突破系青春小説!
作品データ
タイトル:『マリリン・トールド・ミー』
著者:山内マリコ
出版社:河出書房新社
発売日:2024/5/23
作家紹介
山内マリコ(やまうち・まりこ)
1980年富山県生まれ。
著書に『ここは退屈迎えに来て』『アズミ・ハルコは行方不明』『あのこは貴族』『選んだ孤独はよい孤独』『一心同体だった』『すべてのことはメッセージ 小説ユーミン』などがある。
山内マリコの作品紹介
『マリリン・トールド・ミー』2024/5/15