【本の感想】『スメラミシング』小川哲|この世の全てを理解することは出来ない

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小川哲『スメラミシング』を読んだ感想と一六タルト

ケイチャン

ケイチャン

【2024年163冊目】
今回ご紹介する一冊は、
小川哲
『スメラミシング』です。

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【感想】「この世の全てを理解することは出来ない」

短編集

信仰・宗教、陰謀論をテーマとした
6つの短編集です

きっと僕たちはこの世界のことを
何もわかっていない・・

焦燥感にかられる作品集

信仰・宗教、陰謀論といえば
先ごろアメリカ大統領選挙で
再選されたトランプ氏が連想されます
アメリカ国民を大きく動かす
原動力となったとも言われますが
今、なぜ、信仰・宗教、陰謀論が
取りざたされて、そして世界は
どう変わっていくのでしょうか?

①七十人の翻訳者たち
旧約聖書の秘密のお話
歴史的要素が好みでした
神話の創作にゾクゾクする

②密林の殯
代々天皇に仕える一族のお話
ドライバーさんは神を運ぶ
神聖なお仕事なんですね

③スメラミシング
陰謀論を扱う表題作
信じたいことだけ信じる
愚かさと、恐ろしさ

④神についての方程式
理系が信奉するのは数学?
ゼロと『ひも理論』のくだりは
文系頭脳の僕には理解不能でしたが
ワクワクと読み進めた!

⑤啓蒙の光が、すべての幻を祓う日まで
宇宙植民地化SF
何度繰り返しても失敗してしまうのは
失敗するがゆえに人間ということなのか?

⑥ちょっとした奇跡
超未来のボーイミーツガール
1度だけまみえた恋人たちの運命に
キュンとなります

「この世の全てを理解することは出来ない」

不安な感情を呼び起こし
背後から追いかけられるような
焦燥感にかられる物語たち
僕たちは何を信じたらいいのか?

誰も何もわかっちゃいない

ケイチャン

ケイチャン

そんな諦めを感じました

彼方に黒い雲がもくもくと沸き上がり
何か不吉なことが起こりそうだけれど
なにもわからず
なにもできない

ケイチャン

ケイチャン

不安感が増す現代に
ピッタリな物語でした

作品紹介(出版社より)

カリスマアカウントを崇拝する”覚醒者”たちの白昼のオフ会。そこではじまる、緊迫の陰謀論?サイコサスペンス!

「理由がほしい。物語がほしい。
正義のヒーローが現れて、黒幕の悪事を暴き、世界を変える、そんなお話であってほしい。
自分はその物語の登場人物でありたい」──

SNS上のカリスマアカウント〈スメラミシング〉を崇拝する”覚醒者”たちの白昼のオフ会。かれらを観察する陰謀論ソムリエ・〈タキムラ〉の願いとは? 壊れゆく世界の未来を問う、現代の黙示録。宗教 ✕ 超弩級エンタメ6篇を収録した絶品作品集!

作品データ

タイトル:『スメラミシング』
著者:小川哲
出版社:河出書房新社
発売日:2024/10/10

作家紹介

小川哲(おがわ・さとし)

1986年千葉県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程退学。
2015年に『ユートロニカのこちら側』で第3回ハヤカワSFコンテスト〈大賞〉を受賞しデビュー。2017年『ゲームの王国』で第38回日本SF大賞、第31回山本周五郎賞を受賞。
2019年『嘘と正典』で第162回直木三十五賞候補となる。

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小川哲 の作品

『ユートロニカのこちら側』 2015/11/20
『ゲームの王国 上・下 』 2017/08/24
『嘘と正典』  2019/09/19
地図と拳』  2022/06/24
君のクイズ』  2022/10/07
君が手にするはずだった黄金について』2023/10/18
スメラミシング』2024/10/10

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