ケイチャン
【2022年146冊目】
今回ご紹介する一冊は、
夕木春央 著
『方舟』です。
もくじ
【感想】「私さえ助かれば、あとはもうどうでもよいの」
本書のツイートを見ない日はない
この異常事態に読書アカ界隈の皆さんは
みな驚いていることでしょう
僕も慌てて噂の方舟に『乗船』しました
なるほど!
ラスト数ページで全てがひっくり返る
大どんでん返しに
納得です
舞台は山中の地下施設
地中深く閉じ込められた男女9人
地下水の浸水により
水没までのタイムリミットは1週間
しかもひとりまたひとりと
仲間が殺されてゆく・・
犯人を探し出して
ヤツを生贄にみんなで生還するんだ!
極限状態こそ人の本性が出る
脱出の為に協力し合うのが
仲間というものですが
残念ながら疑心暗鬼にかられ
それが出来ない
無為にすごす者と
虎視眈々と機会をうかがう者との差が
明暗を分けます
そしてラストシーンで
本当の悪が姿を現します
私が助かれさえすれば・・
誰に何と思われようとも
誰にどれだけ恨まれようとも
そして誰が死のうとも
ふふふ・・良いのだ(悪の笑み)
海に浮かび人を救う希望の方舟が
逆転するかのように
山中の地中深く沈み
人を絶望の淵に殺す
そんな存在になっています
ラストシーンを見事に
暗示しているようですね
希望が絶望に裏返るカタルシスに
あなたも船酔いするに違いありません
作品紹介(出版社より)
9人のうち、死んでもいいのは、ーー死ぬべきなのは誰か?
大学時代の友達と従兄と一緒に山奥の地下建築を訪れた柊一は、偶然出会った三人家族とともに地下建築の中で夜を越すことになった。
翌日の明け方、地震が発生し、扉が岩でふさがれた。さらに地盤に異変が起き、水が流入しはじめた。いずれ地下建築は水没する。
そんな矢先に殺人が起こった。
だれか一人を犠牲にすれば脱出できる。生贄には、その犯人がなるべきだ。ーー犯人以外の全員が、そう思った。タイムリミットまでおよそ1週間。それまでに、僕らは殺人犯を見つけなければならない。
作品データ
タイトル:『方舟』
著者:夕木春央
出版社:講談社
発売日:2022/9/8
作家紹介
夕木 春央(ゆうき・はるお)
2019年「絞首商会の後継人」で第60回メフィスト賞を受賞。同年、改題した『絞首商會』でデビュー。
近著に『サーカスから来た執達吏』がある。
夕木 春央の作品紹介
『絞首商會 』(2019年09月)
『サーカスから来た執達吏 』(2021年09月)
『方舟』(2022年09月)