【本の感想】『フェアリー・テイル 下』スティーヴン・キング|終わり良ければ総て良し!

【2025年92冊目】
今回ご紹介する一冊は、
スティーヴン・キング 著
『フェアリー・テイル 下』です。
【感想】「終わり良ければ総て良し!」
・・僕は失敗してしまった
廃墟となった異界の都で
おとぎ話の登場人物役となった
少年の冒険譚です
ディズニー映画のようなハッピーエンドは、あるのか?

以下、ちょこっとネタバレが出ます
灰色の病に侵された、死にかけた異界『エンピス』
年老いたジャーマンシェパードのレイダーを
時を巻き戻す『日時計』で若返らすために
チャーリーくんは王都『リリマー』に入る
王位簒奪者『飛翔殺手(フライング・キラー)』と
その配下の死せる『夜影兵』が跋扈する、死の都
レイダーを若返らすことは出来たのだが
あと一歩で脱出というところで
チャーリーくんは夜影兵に捕まってしまうんだ
満を持して登場するのが
本作の陰の主人公とも言えちゃう
『王都リリマー』です
この廃墟が、ヤバい!
作中にも文言されていますが
H.P.ラブクラフトのクトゥルフ神話にある
クトゥルフの都、水中都市『ルルイエ』と
対比されるような、魔都です

ゾッとするようなリリマーの描写にゾクゾクが止まりません
このゾクゾク&ワクワクする大都市で
チャーリーくんは『おとぎ話』の
『王子様役』を演じます

メタ的な世界観が、物語を読む自分自身と重なるようでした
おとぎ話はハッピーエンドで終わるもの

かつて子ども時代に読んだ
めでたしめでたし…的な結末に心が軽くなりました
巨匠スティーヴン・キングが
原点回帰のように挑む
大人の『おとぎ話』

アンデルセンやグリム童話を夢中になって読んだあの頃の気持ちが
あなたもきっと蘇ることでしょう
作品紹介(出版社より)
ハッピーエンドに向けて、僕は旅を続ける
僕はこの旅を続ける、大事な友を救うために。
二つの月の輝くこの世ならぬ王国へと。
そしてあなたが最後に目にするのは
もちろんお待ちかねのハッピーエンドだ。
長い長い階段を下り、ぼくがたどりついた土地の名はエンピス。罌粟の花が咲き誇り、夜になれば天穹を双子の月がまばゆく照らす。目指すは王都リリマー。その王宮には、時間を逆行させる力のある巨大な日時計があるという。レイダーをそこまで連れてゆき、愛すべき老犬の命を救うのだ――
だが今や王宮は〈飛翔殺手〉なる者に簒奪され、王族は呪いをかけられて宮殿から追放されていた。ぼくはレイダーのために擁壁を越え、〈夜影兵〉が警護し、北方の巨人が徘徊する王都の迷宮に踏み込んだのだが――
地上最強のストーリーテラーが、その奇想を奔放に解き放って描き出す異世界、怪人、怪物、そして愛すべき仲間たち! 怪奇と幻想の伝統にリスペクトを捧げ、作家生活五十年を迎えた巨匠が贈る渾身のフェアリー・テイル。
物語を愛するすべての人に捧げる巨匠の新たなる名作誕生。
作品データ
タイトル:『フェアリー・テイル 下』
著者:スティーヴン・キング
出版社:文藝春秋
発売日:2025/4/25

タイトル:『フェアリー・テイル 上』
著者:スティーヴン・キング
出版社:文藝春秋
発売日:2025/4/25
作家紹介
スティーヴン・キング
1947年メイン州生れ。恐怖小説をアクチュアルな現代小説に再生した「モダン・ホラー」の巨匠。
貧しい少年時代から恐怖小説を好む。高校教師、ボイラーマンといった職業のかたわら執筆を続け、1974年に『キャリー』でデビュー。
好評を博し、以後『呪われた町』『デッド・ゾーン』など、次々とベストセラーを生み、“モダンホラーの帝王”と呼ばれる。
代表作に『シャイニング』『IT』『グリーン・マイル』『ダーク・タワー』シリーズなどがある。
全米図書賞特別功労賞、O・ヘンリ賞、世界幻想文学大賞、ブラム・ストーカー賞など受賞多数。
スティーヴン・キングの作品紹介
『IT』シリーズ
『グリーン・マイル』シリーズ
『ダーク・タワー』シリーズ
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『異能機関』 (上・下)2023/6/26
『ビリー・サマーズ』(上・下)2024/4/8
『フェアリー・テイル』(上)2025/4/25
『フェアリー・テイル』(下)2025/4/25
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その他多数

