ケイチャン
【2024年160冊目】
今回ご紹介する一冊は、
乾ルカ 著
『灯』です。
もくじ
【感想】他人の物差しは、借りられない」
いつだって私は、一人でいたいの
わかり合えない母と同級生に
悩む女子高生の日々を描く
孤独を愛する人の物語です
シュッとスラックスを履き
スマホをお供にして自分が作った
お弁当をひとりで食べる女子高生
蒼(あお)ちゃんが主人公です
私は同級生に興味がない
だから名前も顔も、覚えないの・・
そんな彼女でも、なぜか同級生は
ほかって置いてくれません
ねえ、いつも米田くんと喋ってるけど
好きなの?
ちょっと話しただけで
どうして恋愛に結びつけるのか?
そして何より、私のことに
興味を持つのは、何故なのだろう?
ウザいのは同級生だけではない
母親とも上手くわかり合えません
あなたのためにと、家事や雪かきを
押し付けることに、モヤモヤっとする
貧しい家庭の子供のためにと
レストランを経営し忙しく働く
母親にたいして、おかしいと思うんだ
私よりも他の子どもの方が大切なの?
価値観の違いに、イラっとします
そんな蒼ちゃんの希望の光は
米田くんが子供の頃に聞かせてくれた
『夜間街光調査官』という職業のことです
夜中にひとり窓の明かりを数えるなんて
なんて素敵な仕事なんだろう・・
でも成長するにつれて
気が付いてくるんだ
そんな職業は無いってことに
でもそんなこと、わかりたくないよ・・
米田くんが所属する野球部を手伝い
同級生ともお弁当を囲むようになる
けど修学旅行には
行かないことを決意する
ここが私の境界線
わたしは他人の物差しで
自分の人生を測らない
大学入学を機に
母親と別れる決意をする、蒼ちゃん
けど家を出る朝、母親は初めて
雪かきをしてくれるのでした
このシーン、グッときました
蒼ちゃんが悩んでいるように
母親も同級生たちも
蒼ちゃんとの関係性に
悩んでいたことでしょう
雪かきをする母親の姿を見て
蒼ちゃんの心の中に
暖かい光が灯ったことは
間違いないでしょう
誰もが自分の物差しでしか
他人を測ることが出来ない
けど、わからないと諦めず
わかり合おうと努力することが
大切なんだ
生きる目的を探し
家族と同級生に悩み
恋の素晴らしさを知る
ケイチャン
心を打つ青春小説でした
ケイチャン
僕も自分の物差しで
周りの人をわかったつもりに
なっちゃいけないって
自戒しました
ケイチャン
あなたの物差しは大切な人を
正しく
測っていますか?
作品紹介(出版社より)
この世界を、私はひとりで生きたい――。わかり合えない母親や、うざいクラスメート。誰とも関わらずひとりで生きたい、人生の〝スヌーズ〟を続ける相内蒼、高校二年生。その出会いは彼女の進む道を照らしはじめた――。北の街・札幌を舞台に、臨場感溢れる筆致で激しく記憶と心を揺さぶり、光溢れる傑作青春小説!
作品データ
タイトル:『灯』(AKARI)
著者:乾ルカ
出版社:中央公論新社
発売日 :2024/8/20
作家紹介
乾ルカ(いぬい・るか)
1970年、北海道札幌市生まれ。藤女子短期大学卒業後、銀行員、官公庁臨時職員などを経て、
2006年「夏光」でオール讀物新人賞を受賞、デビュー。
2010年『あの日にかえりたい』が直木三十五賞候補、『メダル』が大藪春彦賞候補に。
その他の著作に『てふてふ荘へようこそ』『蜜姫村』『六月の輝き』『願いながら、祈りながら』など。好きな作家は筒井康隆、宮部みゆき、重松清、大槻ケンヂ。座右の書は美内すずえ『ガラスの仮面』、理想の女性は同書の登場人物である姫川亜弓。
乾ルカの作品紹介
『夏光』(2007年9月)
『プロメテウスの涙』(2009年4月)
『メグル』(2010年2月)
『あの日にかえりたい』(2010年5月)
『蜜姫村』(2010年10月)
『六月の輝き』(2011年1月)
『てふてふ荘へようこそ』(2011年5月)
『君の波が聞こえる』(2011年7月)
『ばくりや』(2011年10月)
『たったひとり』(2013年1月)
『向かい風で飛べ!』(2013年12月)
『願いながら、祈りながら』(2014年3月)
『モノクローム』(2014年6月)
『青い花は未来で眠る(11月のジュリエット)』(2014年10月)
『森に願いを』(2015年2月)
『ミツハの一族』(2015年4月)
『奇縁七景』(2015年7月)
『花が咲くとき』(2016年3月)
『わたしの忘れ物』(2018年3月)
『カレーなる逆襲!– ポンコツ部員のスパイス戦記』(2018年7月)
『心音』(2019年4月)
『コイコワレ』(2019年6月)
『明日の僕に風が吹く』(2019年9月)
『龍神の子どもたち』(2020年10月)
『おまえなんかに会いたくない』(2021年9月)
『水底のスピカ』(2022年10月)
『葬式同窓会』 2023/10/10
『灯』(AKARI)2024/8/20