【本の感想】『新・餓狼伝 巻ノ六 変幻気骨編』夢枕獏|ルールも観客も、いらない!

【2025年106冊目】
今回ご紹介する一冊は、
夢枕獏 著
『新・餓狼伝 巻ノ六 変幻気骨編』 です。
【感想】「ルールも観客も、いらない!」
空手家・プロレスラー・古武術家etc
ジャンルを超えて集められた強者が
格闘技大会を前に、何を思う?
強さを求める男たちを描く物語です
最強の称号を求めて16名の強者たちを
競い合わす格闘トーナメント『闘天』
その開催を前に出場者たちのそれぞれを
深掘りしてゆく
今作は・・
人殺しの古武術家、藤巻十三(ふじまき じゅうぞう)
悩める主人公の、丹波文七(たんば ぶんしち)
そして他者から語られるのが神技とも呼べる
技を使う、翁九心(おきな きゅうしん)です
ただ戦えればいい
そう望む丹波文七だが
巨大な格闘技大会には
様々な思惑が交差します
空手とプロレス、それぞれの代表たる
松尾象山(まつお しょうざん)と
巽真(たつみ まこと)
生きる伝説たちの火花散るやりとりに
緊迫します
本作で最もスポットを当てられるのが
翁九心です

水とコップを使う技のエピソードがものスゴイ!
そんなの出来るかよ??
というツッコミを許さないほどの
迫力ある描写が夢枕獏の持ち味です
息を吞むバイオレンスな展開と
暴力のなかにもユーモアがある

絶妙な案配がページをめくる指を止まらせない一冊でした
しかし心配なのが格闘技トーナメントの
参加者16名がまだ決まってないこと
・・ちょっと、空欄が多すぎない?

夢枕獏さん早く『闘天』を始めてください

まだまだ続き、楽しみなシリーズです
作品紹介(出版社より)
いよいよ最強を決めるトーナメント「闘天 TOUTEN」が始まるが、そこに丹波文七の名前はなかった。文七は主催者の道田薫に出場を打診されたが、答えを保留していた。文七はトーナメントに出る翁九心と闘いたかった。かつて梅川丈二と文七の試合直前に梅川を野試合で壊したのが翁九心だ。だが、大会に出ることは道田の飼い犬になることで、気が乗らない。そんな文七の心を道田は見抜いていた。そして、道田は翁九心と過去に何があったのかを文七に語り出す――。世界最長の格闘小説、いよいよ最終章に突入!
作品データ
タイトル:『新・餓狼伝 巻ノ六 変幻鬼骨編』
著:夢枕獏
出版社:双葉社
発売日:2025/7/25
作家紹介
夢枕獏(ゆめまくら・ばく)
1951年 神奈川県生れ。
1977年『カエルの死』でデビュー。
1984年に発表した『魔獣狩り 淫楽編』とそれに続くサイコダイバーシリーズで、伝奇小説の新たな地平を切り開き、ベストセラー作家となる。
1989年『上弦の月を喰べる獅子』で日本SF大賞受賞。
1998年『神々の山嶺』で柴田錬三郎賞を受賞。
2011年から2012年にかけて、『大江戸釣客伝』で、泉鏡花文学賞、舟橋聖一文学賞、吉川英治文学賞を受賞する。近著に『大江戸恐龍伝』全5巻がある。「キマイラ」「餓狼伝」「陰陽師」「闇狩り師」など、多くの人気シリーズを持つ。
夢枕獏の作品
『カエルの死』1984/12/1
『上弦の月を喰べる獅子』(上・下)
『荒野に獣 慟哭す』(上・下)
『神々の山嶺』(上・下)
『白鯨』(上・下)
『大江戸釣客伝』
『キマイラ』シリーズ
『餓狼伝』シリーズ
『陰陽師』シリーズ
『闇狩り師』シリーズ
『キマイラ』シリーズ
『獅子の門』シリーズ
『東天の獅子』シリーズ
『魔獣狩り』シリーズ・
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他多数
『陰陽師 烏天狗ノ巻』2023/10/6
『陰陽師 水龍ノ巻』2021/8/4
『キマイラ聖獣変』2025/5/20
『新・餓狼伝 巻ノ六 変幻鬼骨編』2025/7/25

