
ケイチャン
【2025年20冊目】
今回ご紹介する一冊は、
朝井リョウ 著
『生殖記』です。
もくじ
【感想】「マジョリティという暴力」
私は現代日本人男性に、ついた○○器
でもこの個体は〇〇行為を、しない
〇〇器から見た現代日本人社会を描く
マイノリティの物語です

ケイチャン
『ネタバレ厳禁!』とのことで
出だしは伏せ字とさせていただきました
以下、本作の内容に触れて行きますので
ご注意くださいませ
生殖器が物語るとゆー形式の本作
さぞエッチいお話かと思いきや
そーではありません
何故なら主人公の尚成(しょうせい)くんは
隠れゲイ、なのだ
田舎育ちの尚成くん
成長するうちに、自分が同性愛者と自覚します
・・これは、マズい!
保守的な地方都市では差別されてしまう
差別を受けてはならないと
自らの性質をひた隠しする、尚成くん
いつしか自分の本音を語らなくなり
現代に生きる世捨て人となってしまう
そんな彼の生殖器から見た現代日本は
どう映るのだろうか?
ポップでコメディな感じで語られてゆくが
全く本音を言わず、なんなら本音など無い
という尚成くんのスタンスが
恐ろしい

ケイチャン
今の日本に心から絶望しています
周りの人たち自然と
自分たちは正しく
寛容な心で多様性を認め
マイノリティにも優しくあろうとする

ケイチャン
それって傲慢じゃない!?
なぜマジョリティに許しを乞い
生存を認めてもらわなきゃならないのか?
怒りを通り越して、諦めてしまう
尚成たちが悲しい
同じゲイなのに
自分と違う道を選ぶ人を見て
この世界をどう受け取るかは
人それぞれなのだなあと感じました

ケイチャン
またこの社会を常に拡大・発展・成長を
目的とするものだという解釈も面白く
現代の解像度が増し、新しい視点も
得られたようでした
多様性という言葉の
欺瞞を暴く本作

ケイチャン
自分が正しいと信じる社会の
傲慢さを見るようでした
作品紹介(出版社より)
とある家電メーカー総務部勤務の尚成は、
同僚と二個体で新宿の量販店に来ています。
体組成計を買うため——ではなく、
寿命を効率よく消費するために。
この本は、そんなヒトのオス個体に宿る◯◯目線の、
おそらく誰も読んだことのない文字列の集積です。
作品データ
タイトル:『生殖記』
著者:朝井リョウ
出版社:小学館
発売日:2024/10/2
作家紹介
朝井リョウ (あさい・りょう)
1989年、岐阜県生まれ。
2009年、『桐島、部活やめるってよ』で第22回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。
2013年『何者』で第148回直木賞。
2014年『世界地図の下書き』で第29回坪田譲治文学賞を受賞。
他の小説作品に『チア男子!!』『星やどりの声』『もういちど生まれる』『少女は卒業しない』『スペードの3』『武道館』『世にも奇妙な君物語』『ままならないから私とあなた』『何様』『死にがいを求めて生きているの』『どうしても生きてる』『発注いただきました!』『スター』、エッセイ集に『時をかけるゆとり』『風と共にゆとりぬ』がある。
朝井リョウの作品紹介
『桐島、部活やめるってよ』2010/2/5
『チア男子!!』2010/10/5
『星やどりの声』2011/10/29
『もういちど生まれる』2011/12/9
『少女は卒業しない』2012/3/5
『学生時代にやらなくてもいい20のこと』2012/6/26
『何者』2012/11/30
『世界地図の下書き』2013/7/5
『スペードの3』2014/3/14
『武道館』2015/4/24
『18 きっぷ』2015/10/7
『世にも奇妙な君物語』2015/11/19
『ままならないから私とあなた』2016/4/11
『何様』2016/8/31
『風と共にゆとりぬ』2017/6/30
『死にがいを求めて生きているの』2019/3/7
『どうしても生きてる』2019/10/10
『発注いただきました!』2020/3/5
『スター』2020/10/7
『正欲』2021/3/26
『そして誰もゆとらなくなった』2022/8/8
『生殖記』2024/10/2