【本の感想】『おまえレベルの話はしてない』芦沢央|夢をあきらめる、勇気

【2025年138冊目】
今回ご紹介する一冊は、
芦沢央 著
『おまえレベルの話はしてない』です。
【感想】「夢をあきらめる、勇気」
その道の果てに未来はあるのか?
将棋の世界に身を置くものと
将棋の世界にかつて居たものの
迷える生きざまを描く物語です
それはあまりに高い、ピラミッド
野球にサッカー、そして将棋
みんなが憧れる人気の世界ですよね
でも『プロ』になれるのは一握りの
選ばれし者だけだし
プロになってからも大変なんだ
ピラミッドに登るのは厳しく
ピラミッドの頂点は狭いのだ
本作は2部構成になっており
まず最初はプロ棋士の芝(しば)くん
ライバルの同期に差をつけられ
負けが続く日々に心が折れそうです
でも俺には将棋しか無いんだ
続く後半に登場するのは
芝くんとかつて奨励会で
同期だった大島(おおしま)くん
難関大学を卒業し立派な職業に
就いている成功者といえます
けど俺は将棋から逃げたんだ
狭き世界を行く者と
広い世界に逃げた者
そんな2人が友達なのは
おかしいことなのか?
読んで知るうちに思うのが
あまりに厳しい将棋の世界
プロになるのは難しいし
プロになってからも困難続き

なんて恐ろしい世界なんだ!
奨励会の同期だった芝と大島
それぞれ違う道に進むのだが
同じなのは苛立っていること
2人は将棋界に囚われている
だって全てを捧げていたのだから・・
また2人は今の自分の人生に
迷い疑問をもち苦悩している
その真摯な思い、僕の気持ちも
引きずり込まれました

心が揺らされます
そして2人が相手のことを
どう思っているというのも
気になるところです

お互い相手を見下しているようだけどホントはどうなの?
男同士の複雑な友情を描く
青春の物語

将棋界という独特な世界も興味深く読めました

あなたは将棋などを一緒にするお友達はいますか?
作品紹介(出版社より)
夢を叶え孤独に壊れ続ける芝と、夢を諦めて社会的には成功した大島。夢に青春を食われた二人の、身をよじるほどの嫉妬、羨望、そして侮蔑――暗い激情の奔流に飲み込まれる著者の最高傑作!
作品データ
タイトル:『おまえレベルの話はしてない』
著者:芦沢央
出版社:河出書房新社
発売日:2025/9/18
作家紹介
芦沢央(あしざわ・よう)
1984年東京生れ。千葉大学文学部卒業。
2012年「罪の余白」で第3回野性時代フロンティア文学賞を受賞しデビュー。
2016年『許されようとは思いません』で第38回吉川英治文学新人賞候補に。
2018年『火のないところに煙は』が第32回山本周五郎賞候補となり、第7回静岡書店大賞を受賞、さらに、第16回本屋大賞にノミネートされる。
2020年『汚れた手をそこで拭かない』が第164回直木賞候補、第42回吉川英治文学新人賞候補となる。
ほかの著書に『悪いものが、来ませんように』『今だけのあの子』『いつかの人質』『貘の耳たぶ』『僕の神さま』などがある。
芦沢央の作品紹介
『罪の余白』(2012年8月)
『悪いものが、来ませんように』(2013年8月)
『今だけのあの子』(2014年7月)
『いつかの人質』(2015年12月)
『許されようとは思いません』(2016年6月)
『雨利終活写真館』(2016年11月)
『貘の耳たぶ』(2017年4月)
『バック・ステージ』(2017年8月)
『火のないところに煙は』(2018年6月)
『カインは言わなかった』(2019年8月)
『僕の神さま』(2020年8月)
『汚れた手をそこで拭かない』(2020年9月)
『神の悪手』(2021年5月)
『夜の道標』(2022年8月)
『魂婚心中』 2024/6/19
『嘘と隣人』2025/4/23
『おまえレベルの話はしてない』2025/9/18


