文藝賞受賞

【本の感想】『光のそこで白くねむる』待川匙|醜くおぞましい、過去の私

待川匙『光のそこで白くねむる』を読んだ感想とカレーとナン
ケイチャン(サカキ ケイ)

【2025年3冊目】

今回ご紹介する一冊は、

待川匙 著

『光のそこで白くねむる』です。

【感想】「醜くおぞましい、過去の私」

第61回文藝賞受賞作

久しぶりの帰郷で
私はキミに会いに来た
ずっと前に亡くなってしまった
キミに・・
対話劇で進む摩訶不思議な物語です

光の中に、怖いものがいる

10年以上前に東京へ上京したまま
帰ることのなかった故郷に戻る、私
でもその帰郷にはどこか
怖いものがひそんでいるようです

じょじょに明らかになる、私の過去

口やかましい祖母と
どこか冷たい母との生活は
緊迫感があります
けど、いちばん恐ろしいのは
過去の私の姿

記憶の中の自分はホントはどんな姿なんだろう?

「醜くおぞましい、過去の私」

やがて物語には
死んだ幼馴染のキイちゃんが現れて
私と2人、キイちゃんの眠る墓地へ
歩く様子が描かれます

私とキイちゃんの対話劇が始まる

そこで語られる過去の私の姿に
驚きます

ええ?これは、なんだ!
とても主人公がすると思えない恐ろしい姿です

そして登場するのが
『恐竜の骨』です

キーアイテムとして登場する『恐竜の骨』はさまざまな解釈が可能ですが、僕は過去の象徴としてとらえました

時と記憶に晒されて
白く漂白され残った、骨

光りの中で並んで歩くように進む物語の中に
なにか怖いものがひそんでいるような物語でした

作品紹介(出版社より)

【第61回文藝賞受賞作】

墓参りに帰郷した「わたし」に語りかける、死んだ幼馴染の声。行方不明の母、蒙昧な神のごとき父、汚言機械と化した祖母……平凡な田舎に呪われた異界が立ち上がる。

十年ぶりに、坂と崖に囲まれた故郷の田舎町をおとずれた「わたし」。
墓地へと続く道を進むと、死んだはずの幼馴染「キイちゃん」の声が語りかけてくる。
行方不明の母、蒙昧な神のごとき父、汚言機械と化した祖母……
不確かな記憶が流れ込み、平凡な田舎に呪われた異界が立ち上がる。
圧倒的異才が放つ、衝撃のデビュー作!

作品データ

タイトル:『光のそこで白くねむる』
著者:待川匙
出版社:河出書房新社
発売日:2024/11/18

作家紹介

待川匙(まちかわ・さじ)

1993年生まれ。徳島県生まれ、滋賀育ち。会社員。
2024年、「光のそこで白くねむる」で第61回文藝賞を受賞。

待川匙の作品

光のそこで白くねむる』2024/11/18

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ケイチャン
ケイチャン
サラリーマン読書家
年間150冊以上の本(主に小説)を読む、名古屋で働くサラリーマン【ケイチャン】です。食べることが大好きな僕が撮影している「本のある日常風景」と共に、本の紹介と感想のブログをお楽しみください!オススメの本は?この本気になるけど面白い?…など、読む本に迷った方への参考になれば幸いです。好きな言葉は「花には水を、人には愛を!」【ケイチャンブックス】よろしくお願いします!一緒に読書を楽しみましょう!!
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