ケイチャン
【2024年174冊目】
今回ご紹介する一冊は、
市街地ギャオ 著
『メメントラブドール』です。
もくじ
【感想】「承認欲求と認めたくないが、誰かに認めてもらいたい」
どのペルソナの私も
どうしようもなく私なのだ
現代に生きる若者の
欲望と怠惰の日常です
マッチングアプリで男を釣るところから
物語はスタートします
ケイチャン
ふつふつとたぎるような欲望が丸出しで
不穏当な雰囲気に、ゾクゾクします
そんな私は3つのペルソナを使い分けている
男x男の行為を晒す、裏アカ男子
大学院卒の若手正社員
そして『男の娘』コンカフェのキャスト
ところが裏アカが身バレしてから
3つのペルソナがうまく機能しなくなる
どのペルソナもどこか不足していて
しっくりこないんだ
こんな私をあなたは
どう思いますか?
ネットスラングが多用される文章から
現代に生きる若者たちの
息づかいが感じられるようです
ケイチャン
現代若者文学とでも言うのかな?
知らんけど笑
ケイチャン
僕が若かった時代は
若者たちは夜の街を徘徊したものですが
現代の若者たちはインターネットのSNSを
徘徊しているようですね
そんな彼らがリアルで集うのが
同好の士が集う場所です
本作では『男の娘』コンカフェが
舞台となっています
好きでやってるはずの『男の娘』も
ろくに化粧もせず、衣服もテキトーです
なんで???と当初は疑問でした
でも読み進めるうちに
ひょっとしたらと気づくのが
自分でもどうしていいのか
わからなくなってるんじゃない?
という答えでした
もう何が正解か、わからず
なんなら
みんな正解なんだよ!という
いい加減な答えが返ってくる始末
ケイチャン
けど、それなら
何でみんな私を認めてくれないのだろう?
そんな戸惑いを僕は感じました
インターネットのSNSを徘徊していたら
迷子になっちゃって途方に暮れている・・
ケイチャン
寄る辺ない若者の姿が
寂しそうでした
作品紹介(出版社より)
第40回太宰治賞受賞作&第46回野間文芸新人賞候補作!
私には幾つか顔がある。裏アカ男子、男の娘キャスト、院卒若手正社員――ペルソナたちがハレーションする新宿区在住20代♂の令和五年。第40回太宰治賞受賞。
なにもかも守れていないから
私のところに来るんじゃないの。
「私」にはいくつか顔がある。マッチングアプリでノンケの男を釣って喰っては「たいちょー」として行為シーンを裏アカに上げ、平日昼間はSIer企業の院卒若手正社員「忠岡」として労働しながら、新宿区住まいの家賃のために「うたちょ」の姿で男の娘コンカフェのキャストとして立つ元“高専の姫”ポジション――ペルソナたちがハレーションする、どうしようもない人間のどうしようもない梅雨明けまでの一ヶ月。
作品データ
タイトル:『メメントラブドール』
著者:市街地ギャオ
出版社:筑摩書房
発売日:2024/10/28
作家紹介
市街地ギャオ(しがいち・ぎゃお)
1993年、大阪府生まれ。大阪府在住。
2024年「メメントラブドール」で第40回太宰治賞受賞。
市街地ギャオの作品
『メメントラブドール』2024/10/28