ケイチャン
【2022年110冊目】
今回ご紹介する一冊は、
熊谷達也 著
『明日へのペダル』です。
もくじ
【感想】「風切る自転車に乗ったら、人生の回転数もギアが上がるんだ!」
年をとると嫌なものそれは・・健康診断ですね
フツーに元気に生きているのに
検診D判定が出るようになると
とたんに嫌になっちゃいます
さて主人公の本間優一(ゆういち)課長も検診結果に不安を抱く日々
ここは一念発起してスポーツでもと
部下の女の子に勧められたロードバイク(スポーツ自転車)
をちょっと見るだけとショップに行ってみたところ・・
ルビーレッドのロードバイク『デローザアイドル』に
心臓を撃ち抜かれてしまうのであった
もうどうしても、この自転車に乗りたい乗りたーい!
これは男の子あるあるですねww
卵が先かヒナが先か
あるいは
手段が目的化してしまうのか
美しい自転車に乗りたいがために
ロードバイクを始めるのです
新しいオモチャを手に入れた優一の
デローザアイドルが中心の日々がやって来る
少しずつ運転技術も向上し体力も増し
それにつれて体重が減少するという好回転が続く
ヒルクライムにアッタクしたり
100キロ走破に汗水流し
まさしく輝くような日々
同好の部下の女の子とも距離が近くなる
しかしコロナ感染拡大により業績が悪化した会社は
逆に負のサイクルに嵌ってゆくのだ
受注減からの人員削減
課員を1人辞めさせることを告げられた優一は
サラリーマン人生の一大決心をするのであった
毎日出社して当たり前
残業時間が評価の基準
昭和の感性を残したままの
石頭な上司とやっていけるだろうか?
中間管理職のお仕事小説でもある本作品
上司と部下の板挟みになり
責任をとる姿が勇ましいながらも
え!大丈夫ですか?と心配になります
だが部下を庇った優一は
このことで株を上げることになった
会社を立ち上げる部下達に誘われて
新しい人生の一歩を
共同経営者となった部下達とスタートする
企業小説のサクセスストーリーでもありました
希望が持てるラストシーンですので
安心しておススメできる1冊です
僕も心臓を撃ち抜かれるような
趣味に出会いたいものです
作品紹介(出版社より)
分断された平和な日々の再生を願って、明日へと続くペダルを踏み続ける
本間優一は、多少のさざ波はあっても大過なく仙台で会社員生活を送ってきた。50代半ばに差し掛かり、健康上の理由からロードバイク(本格的なスポーツ用自転車)に乗るようになる。部下の唯の指導を受けて、優一のロードバイク技術はめきめき向上していく。思えば本気になって趣味に打ち込むことは、いままでに経験のないことだった。おりしも新型コロナウイルスのパンデミックが仙台にも広がり経済にも影響を及ぼすように。そんな息苦しい状況にあっても、自転車を通して、優一たちは新しい扉を開いてゆく。直木賞作家であり、自ら愛車を駆りイベント入賞も果たす現在最も自転車に詳しい作家が、ロードバイク愛を込めて描く感動の物語。
作品データ
タイトル:『明日へのペダル』
著者:熊谷達也
出版社:NHK出版
発売日:2022/6/28
作家紹介
熊谷達也(くまがい・たつや)
1958年宮城県仙台市生まれ。東京電機大学理工学部数理学科卒業。
1997年『ウエンカムイの爪』で第10回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。
2000年『漂泊の牙』で第19回新田次郎文学賞受賞。
2004年『邂逅の森』で第17回山本周五郎賞、第131回直木賞を受賞。
他の著書に『海峡の鎮魂歌(レクエイム)』、仙河海シリーズ『ティーンズ・エッジ・ロックンロール』『揺らぐ街』、『エスケープ・トレイン』など。仙台在住。
熊谷達也の作品紹介
『ウエンカムイの爪』 1998/01/05
『漂泊の牙』 1999/10/05
『まほろばの疾風』 2000/07/26
『迎え火の山』 2001/08/01
『山背郷』 2002/09/26
『相剋の森』 2003/10/24
『邂逅の森』 2004/01/28
『荒蝦夷』 2004/10/01
『モビィ・ドール』 2005/01/05
『七夕しぐれ』 2006/10/21
『氷結の森』 2007/01/26
『箕作り弥平商伝記』 2007/07/10
『はぐれ鷹』 2007/10/12
『いつかX橋で』 2008/11/01
『オヤジ・エイジ・ロックンロール』 2009/11/20
『モラトリアムな季節 』 2010/03/19
『銀狼王 』 2010/06/25
『稲穂の海 』 2010/10/29
『翼に息吹を』 2011/03/30
『バイバイ・フォギーデイ』 2012/04/18
『光降る丘』 2012/09/01
『調律師』 2013/05/24
『リアスの子 』 2013/12/14
『微睡みの海』 2014/03/07
『ティーンズ・エッジ・ロックンロール 』 2015/06/04
『潮の音、空の青、海の詩』 2015/07/24
『希望の海 仙河海叙景 』 2016/03/04
『揺らぐ街 』 2016/08/17
『浜の甚兵衛 』 2016/11/16
『鮪立の海』 2017/03/28
『エスケープ・トレイン』 2019/02/19
『我は景祐 』 2019/11/27
『いつもの明日』 2020/10/15
『無刑人 芦東山』 2021/03/05
『明日へのペダル』 2022/06/28